バレエ星
昨年、私が長年にわたって追っかけ続けていた漫画家・谷ゆき子の紹介解説本がでたという記事を書きましたが(2016年10月24日「「超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界」(立東舎)」)、今年いよいよ谷ゆき子作品の復刻本がでました。小学館の学年誌で連載していた作品では初の単行本化です。

谷ゆき子「バレエ星」 [完全復刻・超展開バレエマンガ] (立東舎)

谷ゆき子の作品は読まれていた学年誌の時期によって、それぞれ作品が違います(参照:Cafe Tsumire/谷ゆき子の世界)。私が読んでいたのは「かあさん星」でしたが、今回の新刊は1961年度生まれの人が1969年1月号の「小学一年生」から1971年12月号「小学四年生」まで読んでいた「バレエ星」、ちょっと残念。でも昭和な皆さんが当時読んでいたであろう谷ゆき子の世界を十分に満喫できる読み応えの作品です。なんたって上の写真、比較のためにちょっと大きめのヨーグルトと一緒に写真を撮ってみましたが、もう枕にもなりそうな厚さ!近所の書店で平積みしてあったので見てみたら他のコミックスが6冊から7冊積んであるところに同じ高さで「バレエ星」は2冊しか置いてなかったですよ。いや、厚さがアピールピポイントじゃないですけど。オリジナル原稿がすでに無いので連載雑誌からスキャンして編集さんがこつこつと形を整えて出来上がった本なので、細かいところまで連載当時そのままの形になっています。

今回もちょびっっっっとだけ協力させていただきました(つうてもまたもやほんの1%くらいだけど)。本屋さんで見かけたら、話のタネに年末年始の暇つぶしに(←まだはえーよ)是非お手に取ってみて下さい。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界
弊ブログでも何度か取りあげた事がある伝説の漫画家・谷ゆき子ですが(2006年2月7日「漫画家・谷ゆき子について」とか)、同人誌で谷ゆき子本を作る作るといっておきながら怠けに怠けていたら、プロの皆さんの手による非常にナイスな本が出てしまいましたよ。

 「超展開バレエマンガ 谷ゆき子の世界」(図書の家・編、倉持佳代子・協力、立東舎、160p、2016年10月25日発行)

帯には東村アキコによる「子どもの頃にバレエを習いたかったけど、獅子舞を習わされた私にとって、憧れの先生です」というフレーズが! そうなのよ、昭和40年代(特に前半)はバレエって夢の舞台だったのよね。それが結構ハードな世界である事を知るのはやはり山岸涼子の「アラベスク」だったけど。さてこちらの本には数々の資料写真(全作品の表紙とかグッズがみんなカラーで載ってるんですよ)やコラム、詳細な作品リストや作品解説だけでなく、小学館の学年誌に連載されていた「バレエ星」が2回分再録されているので、ドンピシャな年代の皆さん(1961年度生まれですね)には特にグッとくるかもしれませんが、そうでない皆さんにも谷ゆき子作品の超展開ぶりを堪能出来る1冊となっています。

実は私もちょびっっっっとだけ協力させていただきました(つうてもほんの1%くらいだけどさ)。本屋さんで見かけたら、冥土の土産に是非お手に取ってみて下さい(←おいっ)。いやあ、こんな日が来るなんて長生きはするもんじゃのう(遠い目)。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
ポーの一族
あの萩尾望都のあの「ポーの一族」の続編が40年ぶりに出るというニュースを聞いたのは、2ヶ月近く前のことだった(「ポーの一族:40年ぶり続編 フラワーズに読み切り掲載へ」)。情報をタレこんでくれたコミケの時の助っ人・同僚M様と予告カットを見て「どうなんでしょう、これ?」「やっぱ絵が違うよね。なんか、肉感的というか、夢の中の存在じゃない感じだよなー」などと言っていたのもすっかり忘れていた先月末の5月28日、所用があってたまたま外出しその帰りに立ち寄った本屋のレジ前に平積みされていた掲載誌フラワーズを目撃、もう10年くらい萩尾作品は読んでないけどとか迷ったものの、まあこれは宿題だしと思いつつ購入いたしました。

帰宅後に買った雑誌を取り出して40年ぶりとやらの「ポーの一族」の最初のページを開く。絵が違うのはもうそれは仕方がないことだから置いておいて。構図がなんか違う……。最初のキャラの見せ方も違う。昔の「ポーの一族」だったらまず遠景から入って、キャラも一つのコマでアップを入れたら他のコマはもっと他の情報がわかるように引いて描写していた……。特に今回のこの主人公、周りから浮いている感を際立たせるためにもっとポツン感がある描写になったはず……。

いやいやいや、続編といったって作品はその時の作者とその時代のもの、かつての作品と同じでなくてもかまわない、続編が作られるにいたった時間の経過も続編の作品の一部。続編には続編なりの描写があり世界がある。以前のものと同じものを求めるならそれはコピーでしかないし、新しい何かがあって、何らかの展開があってこその続編ではないか?

そんなこんなで結局3ページ目まで見て放置していたのだが、世の中はコレをめぐって結構大騒ぎであったようで、先々週は週刊文春の記事にまでなっていてビックリだ。

・コミケの助っ人・同僚M様は関東の端っこの県在住のため休みの日は何かイベントでもなければ家をあまり出ないそうだが、この日はたまたま絵画展を見るため朝から上京し展覧会の前に立ち寄った本屋で掲載誌を見かけて、「荷物になるよなあ」と思いつつも購入したとのこと。絵画展を見終わってからまた本屋に行ったらすでに売り切れになっていたという。
・同僚T田(お局歴30年、上の娘が今年就職したばかり)は発売日の翌週の月曜日に気がついて買おうと思ったらもうすでにどこの本屋にもなく、会社近くの大型書店3軒(ジュンク堂、三省堂、旭屋)にもまったくなくて予約も受け付けてもらえなかったとのこと。先日の重版でやっと入手したそうだ。
新潟の女教師S川も発売日に買いそびれてそのままだったため近所の大型書店に日参してやっと重版版を入手したとのこと。次を買い逃したくないので定期購読を申し込んだという。
・同僚M田(かつて「スラムダンク」全31巻を貸してくれたが、私が10巻目で挫折して本を返したら「だったら飛ばして最後の5巻だけ読めば十分だよ」というファンの皆様に確実に怒られる発言歴あり)も油断していたら買い逃してしまい、やはり都内の大型書店をかなり回ったそうだが入手できず、予約も受付不可でできなかったため電子書籍版を購入したという。あとで「あの付録の話ってさあ、どういう形の付録だったの?A5サイズとかB5サイズとかの別冊?」と聞かれて、電子書籍版だと付録感が全くないんだなと初めて知ったわ。
・大学のサークルの後輩は発売日の開店時刻に書店に行ったらすでに売り切れていて何軒か回ったものの入手できず仕舞い、断固として電子書籍ではなく紙媒体で読むと心に決めて、なんとか伝を頼って本編を読むことができたという。

いやあ、そんなことがあったとは露知らず。最近はめっきり漫画雑誌を買わなくなってしまい、唯一毎号買っている「MELODY」(隔月刊)ですら2ヵ月後の次号発売日直前に買うという体たらくで、今回もあの日に外出していなければ、そしてその時会っていたのが非常に濃い漫画研究関係の方でなければ、多分見逃していた事だろう。

「ポーの一族」単行本発売予告
(当時の「ポーの一族」初コミックス予告)

そんな訳で6月初めのとある平日、同僚M様と同僚T田で今回の「ポーの一族」について語るためランチをすることになり、「じゃ、当日までに全部読み終わっている事!宿題だから!」とT田に指示されたため、ランチ当日の朝に慌てて読了したのである。

M様「絵がね、やっぱり違うでしょ。エドガーなんかすごくリアルな感じで」
T田「そうだよねぇ、なんかこう、(バンパネラじゃなくて)人間みたいだよね」
私「エドガーはねぇ……。でも40年も経ってりゃ絵が違うのは仕方が無いよ」
T田「えー、そうなの? 漫画家の絵ってそんなに変わる物なの?」
M様「昔のコミックスと今の絵を比べたら皆それなりに少しずつ変わってはいますね」
私「今回の「ポーの一族」は絵だけじゃなくて構図とかお話の進め方とかキャラの見せ方とか描線のタッチとか、もう、何から何まで変わっているし。だいたいね、絵が変わっているっていうなら「小鳥の巣」(1973年)の連載が終わって萩尾望都がちょっとヨーロッパに行って帰ってきてから描いた「エヴァンズの遺書」(1975年)だって、もう絵がすごく変わっていてバリバリに違和感ありまくりだったよ。でもさ、絵なんて変わるのが当たり前なのよ。私はね、面白ければいいの。絵がどんなに変わろうとも何かの物語世界がしっかりあってお話が面白ければね」
M様「面白かったですかあ?」
私「まあ……、少なくともリアルタイムで昔の「ポーの一族」を読んだときのような、魂を丸ごと不思議な世界に持って行かれるような感じは全くなかったけどさ。でもそれは作者のせいばかりじゃなくて、もしかするとわしらがトシとったせいなのかもよ」(3人とも40代末〜50代)
M様「あー、それは確かにありますねぇ。若いころと同じようには読めなくなったというか、心身ともに色々ガタが来ているというか。大体本を読む時に目から離して読んだり」
T田「漫画家名だけじゃなくて作品名が全然出てこないよね」
私「そうそう、肝心の名前が出てこないのに、別の雑誌で連載していた作品がドラマ化されてその主演は誰だった、みたいな無駄な周辺情報ばかり色々思い出したりしてさ」
M様「昔なら気になってこだわってた部分もスルーして読めるようになりましたね」
私「でも本を読んでてもすぐ眠くなって全部読みきれなくなったわ」
M様「あります、あります。(通勤)電車の中でも昔なら一気に読めたのに今は熟睡しちゃいますもの。読み続けられる根性がなくなりましたよ」
私「でさー、今回のポーで私が一番気になったのは、お話の見せ方がすっっっっっごく説明的だったことなんだよ」
T田「説明的って?」
私「昔のポーだったら、ちゃんと絵で見せてくれて必要な事は必ずどこかに言葉ではなく絵で描かれていたから、いちいち説明されなくても見る所を見てさえいれば登場人物達の行動や背景や気持ちが読み取れていたのよ。それが今回はいちいち台詞や文章で説明されているのが気になったわ。あとどうでもいい事だけど、キャラのアップが結構多くてモブシーンや小さい物の描写が少ない感じで、もしかして萩尾望都は老眼のせいで小さい物が描けないのかなとか思った(←暴言!)」
T田「へぇー。なんか、私はよくわかりませんでした(キリッ)」
M様「今回、何も描いてないですよね? お話が何もないと言うか。期待が大き過ぎたのかなあ」
私「つか、大きな物語のプロローグだよね、あれは。まだ何も始まっていない」
M様「前後編で次は次号に載るんでしたっけ?」
私「当初は前後編だったみたいだけど、今回見てみたら"Vol.1"ってなっていたから3回以上はあるんじゃない? しかも次回は今年の冬って書いてあったよ」
M様「なんだ、そんな先なのかー」
私「でも次はもう都内の本屋のどこにもない、なんてことは無くなるかもね」

今回は思いのほか「ポーの一族」愛を掘り起こされた人が沢山いたことにびっくりだ。

「小鳥の巣」最終回予告
(別冊少女コミック1973年6月号の「小鳥の巣」最終回予告)

さて、「ポーの一族 春の夢」。どうにもこうにも考えがまとまらない。ランチの時は技術的な問題で暴言を吐きまくりだったけれど(ファンの皆さん、本当にすみません、、、)作品そのものに対してはまだ保留だ。まず続編の「春の夢」そのものがどうなのか。続編の意義とか意味ってなんなのか。シリーズの中でこの作品はどうなのか。そして、「ポーの一族」の「ポーの一族」(1972年)が連載された時にエドガーと同じ年だった私はずっと「ポーの一族」シリーズとともに年を取り、エドガーの年を越して40年以上が過ぎてしまった事に対して思うことがあったり(ま、他人は興味ない事だが)、あれらの作品をリアルタイムで読む事ができたのはなんて幸せな事だったかと思うし。夢の中の存在であったエドガーの軌跡を追い続け、年老いた自分の前に40年以上前と変わらぬ姿で現れたエドガーに対して、なんとか彼らの現実の片鱗をとらえようとしたジョン・オービン、彼の心情が自分に重なるお年頃なのにも色々思うことがあったり。うううううむ。多分、連載が終わらないと何も言えねえ(by 北島康介)(←結論はそこか!?)。
「ポーの一族」
(1976年「エディス」より。グレンスミスのように(笑)何度も何度も繰り返し読んだ最初のコミックスからスキャンしたのですっかり黄ばんでいるが)

また「続編」についても、映画「ハゲタカ」を見て以来、幸せな続編ってなんだろうと考えてきたので色々思うことがあるのだが、それはまた別の記事で。なんだ、結局40年ぶりの「ポーの一族」についてジタバタした事した事しか書いてないな(とほほ)。

<追記>(2016.7.3)
コメントでoha〜さんからタレコミがあったので朝日新聞の天声人語の記事を載せておきます。
天声人語(2016.07.01)
テーマ:感想
ジャンル:アニメ・コミック
中年女子画報
中年女子画報」(柘植文著、竹書房、2015年)読了。面白かった。40歳になったので「正しい中年道」を探し求めて色々チャレンジする真面目な著者…ではなくそれをネタにしてゆるゆる中年道をなんとなく楽しむのがいい。50歳をとっくに過ぎてそろそろ老年域に入っている自覚が全くない私だが。
05-04 10:18

中年女子画報の本棚
そしてたまたま同じ高さの本が並んでいるだけなのに、すごくダメな感じが漂う本棚になっている(笑)。
おおやちき展
昨日まで森下文化センターで「おおやちきの世界展」を開催していたので2月23日に見に行ってきました。いやあ、ため息をついてしまうようなおおやちきの元の原画の美しさもさることながら、展示してある関連雑誌資料が網羅的で、まさにこの資料の展示そのものが実におおやちき的と言ってもいいかもしれない。そして、3月2日にマンガ評論家の藤本由香里氏と漫画家の松苗あけみ氏によるトークイベントがあるというネタはtwitterから掴んでいたので申し込んでみたら、定員150名のところ141番目で、あともうちょいでアウトでした。

トークイベント「りぼん」と「ぶ〜け」とその時代
そんな訳で3月2日にちんたら会場に向かったら当然満員御礼で受付からずらーーっと人が並んでいる。その並んでいる行列の中から「Kさん!(←私のリアルネームね)」という声があって見てみたら、なんと大学の漫研時代の後輩の子達が4、5人いてびっくり。久しぶりすぎる。トークイベントの後に何人かと夕飯を食べつつ、懐かし話ではなく昔のようにマンガの話で色々盛り上りしゃべくりまくって楽しかったのは置いておいて。

トークイベントの方は非常に中身の濃い、聞きごたえのある充実したものでした。司会の藤本さんはともかく漫画家の松苗さんがあんなに面白いトークをする方だとは思わなかったですよ。しかも松苗さんの漫画に対する愛とか、他の作家さんの作品への洞察と理解がまた素晴らしい。以下、超簡単に備忘録として残しておきます。乱暴にメモしただけなので聞き取れなかった所も多々あり非常に雑な覚え書き、どうかご容赦のほどを。以下、敬称略、失礼(松苗さんと藤本さんはトーク中は当然普通に敬称をつけて話されています)。

ステージ上のスクリーンには次から次とおおやちき他の作家の作品や漫画雑誌の表紙などが投影され藤本由香里と松苗あけみのトークでイベントが進行、話の流れとしては大まかに、1、おおやちきの作品およびエピソードについて、2、雑誌「りぼん」→「リリカ」→「ぶ〜け」への流れについて、3、松苗あけみが一条ゆかりのアシスタントとして参加した前後の話、4、松苗あけみのデビューから現在まで、5、質疑応答、という感じ。なお、おおやちきは漫画家時代は「大矢ちき」というペンネームだったので、以下「大矢ちき」という表記をしておきます。

[トークより]
・(大矢ちきの)「雪割草」のラストシーンの点描は一条ゆかりが描いていたが、時間にうるさい編集が来ててギリギリだったのに一条ゆかりがまだ描くからといって2時間延ばした。
・リリカの編集部で初めて大矢ちきに会った時は歴史上の人物に会った、という感じがしたのに、本当に優しくて控えめな人だった。
・松苗あけみの高校の後輩がくじらいいくこで、彼女がデビューして間もない頃にりぼんに持ち込んだらデビュー前の内田善美の作品を見る機会があってファンになり、ファンレターを自宅に出して以降(くじらいいくこと内田善美が)親交を深めた。当時内田善美は一条ゆかりのアシスタントをしていたが女子美の卒業制作と重なって忙しくて後任をさがしていた。その時に内田善美と同じ女子美に通っていた(松苗あけみの高校の時の)先輩から声がかかって内田善美と知り合った。
・漫画家には2種類あって、絵が描きたくて漫画家になる人と物語を読んでもらいたくて漫画家になる人がいる。物語を伝えたいっていう人の方が長続きするような気がする。一枚絵で勝負できるような人が漫画を描き続けるのは相当つらい事なのではないか。内田善美と水樹和佳が「お互い、絵柄を呪った事ない?」「あるある」と言っていた。
・リリカに多士済々な作家が描いてたのはカラーで原稿料が高かったから。また小学館系の作家が多かったのは小学館には(当時どの出版社にもあった)専属制がなかったために自由に描けたから。
・リリカが1979年3月に休刊して、ぶ〜けの編集長からリリカが休刊するから描かない?と声をかけられたが、当時リリカの次の号の原稿を描いていたので驚いてリリカの編集にもう描かなくていいのか?と聞いたらそれは描いて下さいと言われた。
・ぶ〜け誕生にはりぼんコミックからの流れがある。りぼんコミックは作家性を大事にする雑誌でりぼんよりも売れてしまったが、ノンノを創刊する事になり予算の関係からりぼんコミックが休刊になった。その後りぼんからりぼんデラックス、ぶ〜けという流れができた。
・ぶ〜けはお金がなかったのでオールカラーでも三色印刷だった。色の再現をする印刷屋の職人芸がすごかった
。黒が使えないから茶色を使ったりした。
・松苗あけみがぶ〜けの表紙を描くようになってから、表紙(表1)と裏表紙(表4)と背表紙がつながった1枚絵になったが、原稿のサイズがでかくなって机の上にのらないくらいだった。

[質疑応答より]
・内田善美、八代まさこ、三岸せいこの消息は?
→内田善美は実家で元気に暮らしている。先輩の中には連絡をとって人もいるのでそのうち会えたらと思っていながらもなかなか……。でも会えたらせめて作品の復刊だけでもお願いしたいと思っている。八代まさこは編集の人から聞く程度しかわからない。三岸せいこはぶ〜け執筆当時学校の教師をしていたが、学校の仕事はどうしても辞められないので漫画を描き続けることは出来なかったとのこと。
→当時女性の漫画家は少女誌でデビューするしかなかったが今なら青年誌でデビューして活動することができる。青年誌なら臨機応変に描く事ができるので、内田善美も大矢ちきも青年誌という道があってそこに活路を見出していれば今も作家を続けていたと思う。大矢ちきも内田善美も登場が早過ぎたのかもしれない。
・(一条ゆかりの「デザイナー」の中で)大矢ちきが柾を描いていたり、松苗あけみが(一条ゆかりの
)「有閑倶楽部」で王子様を描いていたが、どういう時に他人の作品に描く事になるのか?
→先生が忙しいとき。描いている暇がないとき(笑)。
・ぶ〜けの三色分解印刷を初めて知ったが、原画を見てもあまりわからないが。
→本当に印刷屋の職人技がすごかった(笑)。原画は普通に描いていたが、でも色が出やすいように黒の部分を茶色で描いたり、黄色・ピンクが多いときは青は使わないとか、青主体の時は緑を入れたりという工夫はした。

……という感じで色々はしょりつつざっくりと。

おおやちき(大矢ちき)
「おおやちきの世界展」会場内は撮影禁止だったし、トークイベント中の撮影もマズイかと思って写真を撮っていなかったので、とりあえず大矢ちきの手持ちのスクラップをピックアップしてみました。↑光と影、陰影の中の色彩が非常に美しいシリアスな絵とポップでコミカルな絵を同時に描ける漫画家さんでした。……って、今もイラストレータとしては現役ですけど。

しかしまあこの会場(江東区森下文化センター「田河水泡・のらくろ館」)の蔵書のセレクトがまた素晴らしい。漫画好きをうならせる蔵書ラインナップもさることながら、どのコミックスも多分一番最初に出た形の単行本を収蔵しているのではなかろうか。私は本の初版には全くこだわらないが最初に出た単行本の形にはちとこだわりたい所があるのでこれまたなかなかうれしいラインナップ。

これはこの次のイベントにも是非とも期待したい所です。
テーマ:日記
ジャンル:日記
昨日の朝、復刊ドットコムからメルマガが来ていて、サブジェクトに「[復刊インフォ]【リニューアル直前、皆さまへのお知らせ/伝説の少女漫画家・大矢ちき、幻」という文字が見えたのである。サブジェクトが長すぎるので途中で切れているのだが、幻ってなんだ??と思ったら、今までに単行本されてなかった大矢ちきの「回転木馬」((りぼん、1975年4月~7月号連載)が初単行本化されるというニュースだった。

「伝説の少女漫画家・大矢ちき、
幻の名作『回転木馬』(157票)初単行本化!

157票もの熱い復刊リクエストが寄せられていた、大矢ちき先生の未単行本作品『回転木馬』の初単行本化が決定しました!
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68314634&tr=m

現在、イラストレーターとして活躍を続ける大矢ちき(おおやちき)先生が、1975年に「りぼん」誌上に発表した『回転木馬』。この美しく華麗な物語は、掲載当時大きな反響を呼んだばかりでなく、いまだ幻の名作として度々その名が上がるほど、読者に強烈なインパクトを残した少女漫画の金字塔といえる作品です。

復刊ドットコムでも、これまで157票ものリクエストが寄せられていましたが、長らくの間、刊行が実現しませんでした。そして、およそ35年の時を経た今年、待望の単行本化が決定。さらに当時の読者の思い出を忠実に再現する形で、雑誌掲載時のカラーページを含んだ完全復刻となることも発表されています。少女漫画の魅力を凝縮した、伝説の傑作をぜひご堪能ください!」(復刊ドットコムより)

大矢ちきの「回転木馬」、切り抜きを今でも持っているよ……。単行本化って本当にされてなかったっけ?と思ってチェックしてみたら何年か前に出た3冊セットの作品集にも収録されてなかったんだな。

大矢ちきはとにかくあの絵がすごかった。作品では「雪割草」が一番好きだったけど。白血病だかなんだかの不治の病に冒されながらも死ぬまで滑り続けるフィギュアスケーターと彼女を支えるコーチの愛の物語、っつーと全くメロドラマなのだが、これはそうじゃなかった。最後に滑り終えて崩れるように倒れるヒロインの姿を見ずに去っていく男の姿が本当に壮絶。それまでになかった「愛」の描き方を感じました。

あ、「回転木馬」の方ですが、話は「交通事故で母を失いシモオンの家に引き取られたギイが、シモオンのフィアンセ、ミュリエルを好きになってしまい悩み続けるが、ミュリエルへの愛を断念できない。いつしかミュリエルもギイの事を愛している自分に気づき、二人は愛し合うが、あることをきっかけにギイはミュリエルが自分の腹違いの妹だと知ることから、彼らの悲劇が始まり…」(復刊ドットコムより)とこれまたメロドラマですが、大矢ちきなので普通のメロドラマじゃあないんですよ。もう大分忘れちゃったけど。

復刊ドットコムでは結構色々な絶版作品を復刻していて、私は楽しみにはしているものの、ここではまだ一度も購入したことがない。なので本がどういう形の仕上がりになるのかも全く想像がつかないが、まずはポチッとしてみました。同時にAmazonで「マリオギャラクシー2」もポチしちゃったけどーー。

追記(2011/1/15):
Amazonでも普通に予約できる模様。
 「回転木馬 (復刻漫画名作シリーズ)」(大矢ちき、1,365円、小学館、2011/2/25発行予定)
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
ガラスの仮面45
昨日、近所の本屋で出ていたのを見てびっくりした「ガラスの仮面 第45巻」ですけどねー。うーん、もうそろそろ、本当に終わりにしましょーよー。去年9月に44巻が出てたみたいですからほぼ1年ぶりですが(2009年9月14日「「ガラスの仮面 第44巻」美内すずえ」)、相変わらず、「紅天女」の本公演どころか試演会も開催されてません。今更だが第1巻目から「もう長くない」と言っている月影先生はピンピンしているし、マヤと速水さんも相変わらずずっとすれ違っているし、紫織さまは邪悪な陰をまとい始め、亜弓さんの目の状況が刻々と悪くなっていって、それに気づいたお母様の歌子様がヘレン・ケラー編を思い出すような特訓をしています。もう、内容については突っ込みませんよ……(遠い目)。亜弓さんは目先の紅天女よりももっと先の事を考えろよとか、速水さんって恋愛面では中坊みてーとか。

この作品が完結するまで、私たちはお布施を払い続けなくてはならないんですね。じゃあやめろよって話だが、この「ガラスの仮面」って他の作品よりも格段に途中リタイアが出来にくいような気がする……(ただの気のせいか)。しかも出版社側はそれを逆手にとった一大キャンペーンを実施中。まずこのコミックスについている帯だが「1988年、「ガラスの仮面」初舞台化を演出/坂東玉三郎氏より悲願のメッセージ/長年の夢、紅天女はいつ見られるのだろう…。/奇跡の2ヶ月連続リリース!!/46巻は2010年10月29日(金)発売!!」ってあるんですよ。玉三郎も呆れているんじゃないのか。

しかも裏を見たら「新刊発売記念!!「ガラスの仮面」が3倍楽しめるプロジェクト!!」の大宣伝。

part1 マツコ・でラックス×光浦靖子×大久保加代子熱演
part2 「ガラスの仮面」全国統一模試開催中!!
part3 速水社長のツィッターSTART!

そんで公式サイトを見てみたら、マツコ・でラックスが月影先生、光浦靖子がマヤそして大久保加代子が亜弓というとりあわせでどどーーーんと登場しているんですよ。で、模試はとかくとどめは速水さんのツィッター、なーんかつぶやくというよりはぼやいてます。楽しい企画なのかもしれんですが、本編の内容がちっとも前に進んでなくて突っ込みどころだらけだと、全然乗れないですわー。お願いしますよ、とにかく終らせて下さい~~。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
映画「大奥」
二宮和也の演技力は評価するが(←エラソー)、今更だが、あの「大奥」(MELODY連載中)の、あの水野祐之進役に、あの二宮和也かあ……。
 
 映画「大奥」キャスト続報、将軍吉宗に扮した柴咲も登場(コミックナタリー)

この映画のキモは女将軍徳川吉宗(柴咲コウ)と水野祐之進(二宮和也)であるが、この二人を特に見たいとは思わないものの、何せ原作が面白いので、映画の方もなんとかいい感じに仕上がって欲しい。他のキャストは水野の幼なじみのお信(堀北真希)、大奥御中臈・松島(玉木宏)、大奥総取締役で古狸っつーことになっている藤波(佐々木蔵之介。古狸感はあまりなさそうに見えるけど)、将軍吉宗の側近・加納久通(和久井映見)、水野祐之進の母(倍賞美津子)、父(竹脇無我。なんか久しぶりに聞いた名前のような気が)、水野の同僚・杉下(阿部サダヲ)などなど。

なお、作者よしながふみによれば原作では15代将軍まで描くそうで、もしかすると幕末に向かって男女逆転化していた社会が本来の姿に収束して行くのではないかとも思うが、あの殺伐とした幕末をどう描くのかも楽しみだ。ま、今現在、将軍は6代家継なんだけどねー。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
今年も例によって手塚治虫文化賞が発表になったが。

 ・第14回手塚治虫文化賞発表(朝日新聞)
 ・手塚治虫文化賞大賞は「へうげもの」、新生賞に市川春子(コミックナタリー)
 ・米沢嘉博氏、「第14回手塚治虫文化賞・特別賞」受賞(米沢嘉博記念図書館報)

マンガ大賞 「へうげもの」 (山田芳裕、講談社)
新生賞   「虫と歌」 (市川春子、講談社)
短編賞   「テルマエ・ロマエ」 (ヤマザキマリ、エンターブレイン)
特別賞   故 米沢嘉博氏

「へうげもの」は読もう読もうと思いつつまだ読んでない。「虫と歌」は表紙が気になっていたのだが、これまた全然読んでない作品。そのうち見てみたい。「テルマエ・ロマエ」は真面目ギャグがナイスな作品。しかし今回一番の目玉は米沢嘉博氏の特別賞受賞である。なぜ米沢嘉博に授賞しないのだ!!っと私が怒っていたのは3年前ですよ?

 第11回手塚治虫文化賞 発表(2007年5月12日)。

その時の理由がまた、「マンガ評論家の故・米澤嘉博さんらを推す声もあったが、専門家の意見を参考に、朝日新聞社内で検討した結果、該当者なしとした」(2007年5月10日朝新聞朝刊17面より)という「この国は腐ってる!」×3、「なんじゃそりゃーーーーー! 今授賞しないでいつやるというんだ!!」と怒ってたもんさ。それが3年経ってやっとですよ。まあ、去年開館した「米沢嘉博記念図書館」の功績が大きかったんでしょうけど。

なお、4月22日には米澤氏が急逝直前まで連載していた遺作を単行本化した「戦後エロマンガ史」(青林工藝舎、本文320p、図版約2,500点、本体1800円)が刊行されます。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!! 新聞にも載ってなくてソースを確認出来ないんですけど。

 おくやみ:佐藤史生氏(訃報ドットコム)

デビュー作からずっと、好きでほとんどかなりの作品を読んで来た作家さんです。萩尾望都が切り開いて来た道とはいえ、当時はまだまだマイナーだった少女漫画のSFという分野でこつこつと作品を発表し、でもそれだけではなく、ありがちな少女漫画の世界でも一際背筋がすっと伸びたような、それでいて一歩引いて世の中を眺めているような主人公達の作品もまた楽しみでした。でもそれよりもなによりも「夢見る惑星」シリーズや「ワン・ゼロ」のような傑作を発表、夢中になってみていたものです。作品が載っていた別冊少女コミック増刊号や、プチフラワーやグレープフルーツを毎号どれほど楽しみにしていたことか。

ちょっとまだまだ書きたいことがあるので、続きは本日の夜、書きます。この訃報がガセであったらいいのに……。

謹んでご冥福をお祈り致します。
佐藤史生 佐藤史生
追記:いやー、今朝はビックリして記事を書いたので、書き直そうかと思ったのだが、まあ、その時の気分を残しておくのも大事かも、と思って見苦しいけどそのままにしてあります。なお、新聞記事についてはMackyさんからのタレコミにもありましたが、毎日新聞に訃報記事が、そして読売新聞にも載ってました。なんで朝日は載ってないのだ。私の探し方が悪いのか? 花見で浮かれすぎてて目が滑ってる??

 ・「ワン・ゼロ」漫画家・佐藤史生さん死去(読売新聞)
 ・佐藤史生先生の読者の方へ(坂田靖子ウェブサイト)

そんな訳で例によってわが家の化石発掘コーナー。実は佐藤史生のデビュー作あたりから「星の丘より」あたりの雑誌の切り抜きが保存してあるはずなので探してみたのだが、どうやら帯広の実家に送ってしまっていたようで見つからなかった。そこで別の切り抜きを。右は萩尾望都の「まんがABC」(1974年)の一部。この中で描かれている友人として、Pマークの服を着ているのが佐藤史生、Aマークの服が確か花郁悠紀子だったと思う。左の方の写真は作品のうち表紙だけ取ってあったもので、片方が佐藤史生の「夢見る惑星」シリーズの「天の足音」の連載当時の表紙、そしてもう片方は花郁悠紀子のもの。若くして亡くなった二人をわざわざ並べた訳ではない。今日、久しぶりに発掘してみたら、こんな風に並べてファイルしてあったのだ。

なんというか。花郁悠紀子の時もそうだったのだが、24年組の訃報を聞いたりしたらそりゃあショックだろうけど、でも24年組フォロワーの訃報の方がズシンと来るですねぇ。まだ若いというのもありますが、24年組の作家さん達の作品に夢と憧れをもち、なんとか近づくべく努力し、そして確かに近づき、さらにそれぞれが独自の作品世界を築き上げて来た作家さんだからなのか……。

うーん、色々と書きたい事はたくさんあったのだが、どうもうまくまとまらない。「星の丘より」「夢見る惑星」、好きだった。「一角獣の森で」の美しいラストにぐっときたなあ。「金星樹」、吾妻ひでおが「不条理日記」でネタにしてたよなー(佐藤史生の初コミックスって小学館じゃなくて奇想天外から出てたんだよなあ)。「ワン・ゼロ」、毎号毎号本当に楽しみにして読んでいた。自己学習型コンピュータ(人工知能)の「マニアック」の個性の素晴らしさ、電子世界をベースに描かれる神と魔の緊迫感ある対決と、そうきたか!というあのラスト。「世界は美しい……」と思ったものだ。確かこの作品は当時の人工知能研究者達の間でも非常に話題になった作品だったよなー。

若い時に佐藤史生の作品を読む事が出来て、本当によかったと思う。そしてもう、新しい作品を読むことが出来ないのが本当に残念である。ご冥福をお祈り致します。
テーマ:雑記
ジャンル:日記
忘備録:3月、4月発売のコミック新刊ラインアップ

3月23日 OL進化論 30[秋月りす]
3月下旬 パーム 33 蜘蛛の紋様 4[獣木野生]
4月9日 3月のライオン 4[羽海野チカ]
4月26日 のだめカンタービレ 24[二ノ宮知子]
4月下旬 うぐいす姉妹 海外うろうろ本[TONO]

のだめは23巻で完結したので(って、まだ全然読んでないけど)、多分番外編を収録?

◆今月の様子見
3月12日 おひとり様物語 2[谷川史子]
3月下旬 ひねもすハトちゃん[久世番子]
4月28日 中春こまわり君 2[山上 たつひこ]

「中春こまわり君」はとにかく見てみようと思っている間に、もう2巻が。

◆読まないでいるうちにどんどん巻数が!
3月12日 ちはやふる 8[末次由紀]

一応第1巻を、同僚のM様が読み終わったら借りる事になってます。

◆リタイアしちゃいました……
3月4日 バクマン。 7[大場つぐみ/小畑健]
4月30日 バクマン。 8[大場つぐみ/小畑健]

◆今月の「懐かしい……とは、ちと違う」
3月23日 アラベスク【完全版】 1[山岸凉子]
3月23日 アラベスク【完全版】 2[山岸凉子]
4月20日 天人唐草[山岸凉子]

買って読む訳じゃないんだけど、「アラベスク【完全版】」はかなり気になります。完全版って、何!?

◆まだやってない宿題
4月22日 鋼の錬金術師 25[荒川弘]

皆様に散々オススメされているのに、まだ全然手をつけてません。「百姓貴族」の第2巻ならすぐに読んじゃうのにー。

◆今月の「これ、何?」
4月23日 島耕作クロニクル 40th -1970~2010 サラリーマン生活40周年記念エディション-[弘兼憲史&モーニング編集部]

以前に「1970~2008版」が出ていて、そちらの内容紹介には「島耕作社長就任記念出版 島耕作の全仕事・全事件・全女性! 高度成長・バブル・平成不況を経て、激動の21世紀へ!日本経済とともに歩み、ついにトップへと登り詰めた男・島耕作の38年間を仕事・事件・女性の三面から徹底追究!」とありますよ。なーんか、上司の机の引出しの中にこの本があったりしたら、もう口をきかないかも。

◆今月の「お見それ」
4月2日 こちら葛飾区亀有公園前派出所 169[秋本治]
4月5日 ゴルゴ13 156[さいとう・たかを]

169巻に156巻ですって。

◆4月末が楽しみだっっ!
「花咲ける青少年」(樹なつみ)Melody6月号から長編読切(4号連続連載)(白泉社)
4月号は若き日のユージィン編の「フルール・ド・グラス」。でも樹なつみブログによればもうしょっぱなから話が長くなりすぎてユージィン編は前後編に変更との事。ほほほ、その調子で他のキャラクタ編もどんどん描いちゃってください。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
よしながふみ「大奥」
よしながふみのあの「大奥」がSFの賞を受賞したようです。

 ・よしながふみ「大奥」、米のSF賞「ティプトリー賞」に輝く(コミックナタリー)
 ・ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞サイト

「よしながふみ「大奥」が2009年度のジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞(以下ティプトリー賞)を受賞した。ティプトリー賞はジェンダーに対する理解を深めることに貢献したSF・ファンタジー作品に与えられる賞。ティプトリー賞の公式サイトによると、審査員は「疫病によって日本の若い男性の4分の3が死亡し男女の立場が入れ替わった、パラレルな封建社会の日本」という設定に惚れ込んだとのこと。この設定を用いて、男女間の微妙なパワーバランスで成り立つ社会を巧みに描き出した、と評価している」(コミックナタリーより)。

去年は手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞していますが、いやー、素晴らしいこってす。なお、本誌「MELODY4月号」では、6代将軍家宣編が連載中(2月号までの5代将軍綱吉編がまた物哀しゅうございました)、そして今秋公開の映画キャスト情報も載っています。8代将軍吉宗に柴崎コウ、水野祐之進に二宮和也というのは随分前に発表されていましたが、他のキャストに玉木宏(大奥御中松島)、阿部サダヲ(杉下)、大倉忠義(鶴岡)、堀北真希(お信)など。まあ、映画を見に行くかどうかがかなりビミョーですが、今さら言うまでもなく、映画原作の「大奥第1巻(吉宗編)」は歴史ミステリーとしても読み応えがある魅力的な作品です。おススメ。

参照:
2005年9月30日「「大奥 第1巻」よしながふみ
2006年11月29日「「大奥 第2巻」よしながふみ
テーマ:日記
ジャンル:アニメ・コミック
忘備録:2月発売のコミック新刊ラインアップ

6日 文鳥様と私 10 [今市子]
10日 海街diary(うみまちダイアリー)3[吉田秋生]
16日 エロイカより愛をこめて 36[青池保子]
19日 Real Clothes 9[槇村さとる]
24日 つづきはまた明日 2[紺野キタ]
下旬 魔法使いの娘 8(完)[那州雪絵]

今月の目玉は「海街diary」かな。そういえばこの間の土曜日の「君たちに明日はない」(NHK総合、21時)を見て、「Real Clothes」を思い出してました。あれもフジじゃなくてNHK土曜ドラマ枠でドラマ化してくれればよかったのに~。

[様子見]
5日 路地恋花 1[麻生みこと]アフタヌーンKC
25日 新・鉄子の旅 1[ほあしかのこ]IKKI COMIX
25日 限界集落温泉 1[鈴木みそ]ビームコミックス

「路地恋花」は「そこをなんとか」の麻生みことの本なので読んでみたいが、中身がどう言う代物なのかさっぱりわからない。もちろん「新・鉄子の旅」もさっぱりわからん。前の「鉄子の旅」は全部読んだけど。

[今月の宿題]
鋼の錬金術師1~24[荒川弘]
青い花1~5[志村貴子]

ハガレン、24巻かあ。道のりはなげーなー。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
百姓貴族1
私は「鋼の錬金術師」は全く読んだ事がないが、同じ作者によるこの本「百姓貴族」(荒川弘、新書館、714円、2009年12月発行)を手に取ったのは、本屋で見かけたこの本の表紙と腰巻きの文字「私の血には牛乳が流れているのだよ……!!」「知られざる農家の実態を描いた、ウシ年最上級霜降りコミックエッセイ登場!」というおバカなコピーに惹かれたからである。ちなみに裏表紙には「百姓万歳!!!! マンガ家になる前は北海道で7年間、農業に従事していた荒川弘。牛を飼い、野菜を作り、クマに怯え、エゾシマリスに翻弄される-ー年中無休で働き、切ない想いも多々あるハードなお仕事。「水がなければ牛乳を飲めばいいのに」。なんたって”百姓貴族”ですから!! 知られざる農家の実態を描いた、日本初☆農家エッセイ登場!!」とあります。

ところでこの作者が通ったという十勝地方の農業高校って一体どこだ?と思ってWikipediaを覗いてみたら、「名前や作風から男性と間違われやすいが、女性である」と書いてあってびっくりだ。この内容で女性だったのか。不覚。なお、狂牛病問題で牛肉の輸入がストップした時の台詞は「牛がなければ羊を食べればいいのに」である(笑)。

ハガレン荒川弘の農家エッセイ漫画 「百姓貴族」1巻発売(アキバBlog)

いやー、同じ北海道の同じ十勝地方の出身ですがね……北海道、すげーなーって思っちまうよ。とにかくワイルド。しかし私もこの著者とほぼ同じ地域に住んでいたはずなのに、クマが出没するから遠足が延期になった、なんてことはまったくなかったよ。そういえば隣町(帯広市芽室町)の出身であるTBSアナの安住紳一郎もクマがいかにおそろしいか小学校でさんざん叩き込まれたために、ハイキングに行った先で(もちろん関東圏内での話だ)「クマ出没注意」の看板を見たか話を聞いたとかで、クマに異常に怯えながらハイキングをしたというネタを「日曜天国」で話して、また大げさなと思っていたが、もしかして私が小学校でのクマ危険教育を忘れているだけなのか?

そして荒川一家ですよ。確かに私も氷点下20度になることもある帯広の冬場に素足にサンダルで外に出る事もあったが、さすがに風呂上がりにパンツ一丁で真冬の牛舎に行く荒川父には負けた。さらに荒川家のサバイバル状況に笑いながらも圧倒される。この一家なら北海道、独立出来るかもな。そして実は書いてある事は結構マジメなのに(食料自給率とか生産調整の話とか命あるものを食料にして生きて行くという事とか)大笑いしながら読んでしまうのでそれを感じさせないのは……いいことなのか??

この本の続きを読みたいのはもちろんだが、今まで全く読んだ事がなかった「鋼の錬金術師」も読んでみようかな、などと思って見たものの、最新刊は24巻か。だめだな、こりゃ。最近長い漫画が読めないんだよな(しみじみ)。
テーマ:漫画
ジャンル:アニメ・コミック
現在北海道帰省中で、義妹のK子ちゃんの新しいiMacを使いながら書いているのだが、新発売のマジックマウスがすごく使いやすくて面白い。これはいいですよ。すっげーほしいのだが、今自宅で使っているMacBookに対応しているのかな?とチェックしていたら、ついでにPC自体もモニタがでかいiMacに買い替えたい気分になってきて、やばい……。

というわけで1月のコミック新刊をチェック。

4日 バクマン。 6[大場つぐみ/小畑健]
4日 夏目友人帳 9[緑川ゆき]
15日 おうちがいちばん 5 [秋月りす]
19日 なんて素敵にジャパネスク 人妻編 9[氷室冴子/山内直実]
23日 大東京トイボックス 5[うめ]
29日 チャンネルはそのまま! 2[佐々木倫子]

どうもいつも同じようなコミックスばかり読んでていけないな。来年(2010年)はもっと新規開拓をしないと。

ところで、「大奥」(よしながふみ、Melody連載中)実写化映画(来年10月1日公開、金子文紀監督)のキャストは水野役に二宮和也、徳川吉宗役には柴咲コウだそうですよ。ううむ、これは……。

二宮和也主演、男女の役割逆転の大奥描く(朝日新聞)
・映画「大奥」公式サイト
・雑誌Melody「大奥

2009年最後のシメの記事は映画「ハゲタカ」ネタにしようと思っていたのだが、結局漫画になっちゃったよ。それでは皆様、よいお年を~!
テーマ:日記
ジャンル:アニメ・コミック