4月5日、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2007年本屋大賞」の発表が行われた模様。

 「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2007年本屋大賞」(公式ウェブページ)

1位は「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子、講談社)、評判のスポーツ青春小説。読んでみたいと思ったものの、3冊もあるのかーと思って図書館にリクエストもしていない。最近本当に根性が無い。3巻どころか上下巻になっている本ですらかなりハードルが高くなってきている。2位は「夜は短し歩けよ乙女」(森見登美彦、角川書店)、読んだ事無いどころか本屋でも目に入ってきた記憶が無い作品だ。内容は「天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都」。3位は「風が強く吹いている」(三浦しをん、新潮社)、おお、これまたスポーツ青春小説だ。読んでないけど。

1位から10位まで読んだことがある本が一冊も無い。どれも聞いた事はあるメジャーな作品ばかりだけど、「図書館戦争」と宮部みゆき以外はそんなに読む気にならない本ばかりかも。ちなみに現在私が図書館にリクエストしている本は、「ハリウッド100年のアラブ」(村上由見子)、「白洲次郎占領を背負った男」(北康利)、「ダイナスティ 企業の繁栄と衰亡の命運を分けるものとは」(デビッド・S.ランデス)、「女子と鉄道」(酒井順子)、「ハゲタカ」(真山仁)、「渋松対談Z」(松村雄策)、「私の夫はマサイ戦士」(永松真紀)……見事に何も考えてないラインナップかも。
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さて北海道への長旅の間に読んでいたのがこれ、「まほろ駅前多田便利軒」(三浦しをん、文藝春秋、334p、1,680円)。天下の直木賞受賞、中身は男二人の付かず離れず物語? そしてその直木賞授賞式で堂々とBL大好き宣言したといういわくつきの作品ですよ。Amazonに載っていた作品紹介では「東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語」ということでもしかして結構ハードな話か? と思いつつ読んだが、まあ、そんなことはなく、読んでいる間はなんとなく「池袋ウエストゲートパーク」(石田衣良)に近い読み心地のような気もした。

でも後半の山場的な場面で、もしかして三浦しをんは「BANANA FISH」(吉田秋生)のラストを変えたかったのではないのか? と思ってしまったのだが。話も登場人物のキャラも全く違うけど、あの「彼」には生きていてほしかったんじゃないのか(それは、もちろん私もそう思うけど)、と一瞬思ってしまいました。ま、私の勘違いだろうけど。

これは結構漫画やTVドラマにしやすい作品かも。このラストから行くといくらでもシリーズ化も出来そうだし。多田便利軒の多田には「ハゲタカ」の大森南朋とかトヨエツ、江口洋介あたり(←でもトヨエツや江口だと設定よりかなり年上かも)、行天にはオダギリジョーでも……ああ、でもオダジョーも設定より多分年上すぎかも。でもオダジョーがどっちかの役をやってくれたら、多分作者の三浦しをんは鼻血大絶叫もんだろうなあ。

軽くサクサク読めてようございました。でも三浦しをんはエッセイの方がもっと面白いけど。
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本屋で見かけてこのタイトルで買ってしまった本、「リビドー・ガールズ 女子とエロ」(神谷巻尾編、パルコ出版、2007、1,470円) は、女子だって欲情するという当たり前のことを堂々と主張しながら、ではそんな欲情する女子のためにどんなものがあるかと言うことをジャンル別に分けて教えてくれるご本。なかなか面白うございました。

「私のようなイタい女たちに贈るAVガイド」や「女の子のためのロマンポルノ鑑賞ガイド」などは全く知らない世界なだけにへぇーへぇーであるが、「エロ小説 脳で感じるエクスタシー」はちょっとどうかなあと、私は思う。ここは本気で実用的なエロ小説を紹介していただきたかったところなのだが、どうも斜めに読んで笑えるエロ小説をピックアップしていて、例えばオヤジのエロファンタジー小説「愛の流刑地」(渡辺淳一)とかが紹介されているのである。ちょっと残念。でも文章は楽しめるのでいいけど。

「少女たちは欲情する?エッチ系少女マンガの現在」では現在のエロエロ全開な少女漫画の定番作品(先日お亡くなりになったすぎ恵美子センセとかまゆタンとか)が紹介されている。昨今のこの状況には非常に苦々しく思っていた私であるが、例えばレイプ礼賛みたいな少女漫画に対しては「昭和期のような抑圧はないものの、男同士のようにオナニー話に明け暮れるほどには解放されていない少女たちにとって、エッチ系少女マンガは「こんなトンチキなことを考えているのは自分だけかもしれない」という不安を緩和する心強いメディアなのかもしれない。問題視されるところのレイプ(未遂)シーンの多さも、「強引に押し倒されたから仕方なく……」という言い訳がないと性交シーンに感情移入できない少女たちの奥ゆかしい性欲の発露とみれば、過激というのもはばかられるほどだ」といご意見にはなるほど~でしたよ。

でも、やっぱり少女漫画のレイプ物をファンタジーとしてみることなんかできねーけどな。BLのトンデモぶりは「あれはファンタジーだから」とスルーできるのに、なんで少女漫画だとスルーできないのか。それは自分が娘を持つおばちゃんだからなのか。それとも少女漫画歴40年の蓄積の重さからなのか。はたまた自分の根っこに多少のフェミが入っているからなのか。うーむ。

「やおいとスラッシュが出会った時代にツカまって」は日本のやおい・BLと海外のスラッシュの違いについてファンたちの交流の発達ぶりとその声を交えて丁寧に解説・紹介してあり、非常に興味深い物でした。「一度お願いしたいと思う有名人アンケート」はたまに巡回するテレビドラマレビューサイトbaddreamfancydresserさんのアンケート記事がそのまま掲載されていた。このアンケートがアップされたときはいきなりな設問に驚いた物だったが、アンケート結果が結構面白くて人様の妄想ってこんな風に結構楽しめるものなんだと感心した記憶がある。

執筆者の皆さんの座談会も楽しめたのでもう少しこの座談会のボリュームがあってもよかったと思う。しかし、「今熟女ブームなのは何故か」(え? いったいどこにそんなブームが?)の答えが「今や熟女しか恥じらわないから(若い子はあっけらかんと「マジ、やりてぇ」とか言ってたりするらしい)、熟女に恥じらいを求めている」というのにはびっくりだよ。私もトシだけなら十分に熟女の範囲内なんだがなー。
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この本はもう、このタイトルが決まった時点で勝ったも同然じゃないのか? 「あなたの町の生きてるか死んでるかわからない店探訪します 」(菅野彰、立花実枝子、新書館、840円)。「「なんでこんな企画がもちあがったんだろう…」。連載が進むにつれ、関係者をことごとく煩悶の渦に投げ込んだ、捨て身に絶望的な衝撃の体験エッセイ!!世に数多のグルメエッセイはあれど、あえて「死んでる店」探し(?)をしているのは菅野彰と立花実枝子だけ!?その体当たりぶりを、著者の怒りのコメントを、たーんとご賞味あれ!!世の中、ホントにこんなスゴイ怪店があるのです…。」(Amazon Book紹介より)

いやー、よくやるわ~というのが一番の感想だが、それにしても訪問したとんでもない店(しかも必ず飲食店)で必ず完食をし、その結果お腹を壊したりオールリバースしてもまだ次なる目標に立ち向かうプロ根性、おいしい店ならネタにならないと残念がったり、すごいけどこれっぽちも見習いたくねー。文章に微妙に内輪受け感漂うのは掲載誌が「ウンポコ」であるせいか? それとも店の訪問記よりも濃いオタクである著者二人の珍道中の方がメインになってしまっているせいか? でもなかなか面白く読めました。あと、著者2名がリアルな猫キャラで描かれているので、もしかして猫フェチな皆様には楽しめるかも。
さて先日本屋で迷子になったあげく(11月2日「久しぶりに本屋で迷子になる。」)ゲットした「シュミじゃないんだ」(三浦しをん、新書館、1,470円)は先日の母との奈良・京都旅行の最中にずっと読んでいた。奈良の都の古寺で厳しい表情をうかべる阿修羅像にみとれながらふとホモネタエッセイ本をひもとき、薄く色づく秋の京都の山深い趣きある風景の中にたたずみながらボーイズラブ(BL)への深い愛と考察に満ちあふれた本を開く、優雅な休日……。こんなことでいいのか!? 

いや、いいのよ。ボーイズラブにはまったく興味がない私だが著者のあまりにも熱すぎるボーイズラブへの飽くなき情熱はよーーーーくわかった。興味はないけど各章で紹介されているボーイズラブ作品の推薦の辞が素晴らしく、ふとした気の迷いでついうっかりご推薦の本(もちろんボーイズラブだ)を手に取ってしまいそうになる気さえする。だいたいタイトルの「シュミじゃないんだ」だって、好みじゃないという意味ではなく、履歴書の趣味欄に「読書」と書いているけど自分にとって読書(含漫画)はそんな生易しいもんじゃないんだ、「生きる」という事すべてなんだという叫びな訳だが、いくらなんでもそんなことまではわからんよ。当初私だって「こんなBLは嫌だー」(by 鉄拳)みたいなノリの表題なのかと思ったくらいだからな。

それにしても三浦しをんの作品に対する真面目さと(他の人から見たら厳しいくらいにも思えるかしれない)倫理観にもヒジョーにうなずける。男と男がただくっついていればいいというものではない、重要なのはそこに描かれる関係性であるという事、またむやみやたらと安易にコトに及ぶのは「作品をただ消費だけされてゆく「商品」にしてしまうんじゃないだろうか。私は消費したいのではない、物語を味わいたいのだ……!」という主張には納得だ。彼女の場合は果てない読書の大海の中で漂流して流れ着いたところがたまたまボーイズラブと言う名の島だったのね。

しかしBLを読んだ事がない人へのガイドブックとしても最適、とかってどこかに書いてあったが、しょっぱなからのテーマが「リバーシブル」なのに、いいのか!? もちろん「リバーシブルという在り方は、「なぜボーイズラブを描くのか」「なぜそれを読むのか」ということを考えていく上で、重要な題材になると思うのだ」とは書いてあるけどな。スキー初心者を山のてっぺんまで連れて行っていきなり滑ってみろと言っているような気もしないでもないが(←私はスキーが全く出来ないのだが、大昔会社の旅行でスキー場そばのホテルに行ったときにいきなりこれをやられたのだ)。

でもなんだかんだいいつつ、まずは推薦本の「ジェラールとジャック」(よしながふみ、白泉社)は読んでしまいそうだ。
テーマ:つぶやき
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今朝会社でマンガラブーの川原和子さんのサイトをチェックしたら、なんと三浦しをんのエッセイの新刊「シュミじゃないんだ」が出ているとのネタが。三浦しをんの文学の方はほとんど読まないがエッセイはほとんど読んでいる私だ。今回も勿論買いだ。しかし中身はなんと、BL(ボーイズラブ)ネタエッセイとな? うーむ、BLに興味がない私にはちと読みづらいかもしれんが、しかし明日から子連れでうちの母親と3人で奈良に行ってくるのだ。電車の中で読むにはいいかもしれん。でも明日は朝一で家を出るので本を買っているヒマもないし、今からAmazonに注文しても届くのは明日の昼以降、間に合わないので会社を午後3時くらいに早退する事にする(←そんな事で!)。ついでにデジカメ用の予備のSDカードも買っておこう。

大お局様のK池さんに「今日、早退するから」というと、「どこか体の調子が悪いの?」と心配してくれる。どうも私達がいるフロアの私達がいる島の近辺の社員が次から次と体調を壊してみんな会社を休むので、ここいら一帯は「呪われた島」と呼ばれているのだ。しかし私は別に呪われる事もなく(は! もしや肥満化は呪いのせい?)午後3時には無事会社を抜け出して本屋に向かった。まずは池袋ジュンク堂に行こうかと思ったが、そういえばそろそろカレンダーの季節、じゃあ池袋東武の中にある銀座伊東屋でカレンダーを買い、本は同じフロアの旭屋書店で買うことにしよう。デパートカードのポイントも付くし。しかしカレンダーを買った後に旭屋エリアに入ると……

ひ、広い……。旭屋、広すぎだよ。今まで行った大きな書店は池袋ジュンク堂も丸善東京本店も何階もある大きなビルだったが、各フロアはそれぞれジャンル分けされているのでジャンルの目星をつけて行けばそのフロアで迷う事はない。しかし旭屋はすべてワンフロアに入っていてしかもだだっ広いのだ。うおーーーー、本が探しにくいじゃないかーー。

まず出たばかりの本だから新刊コーナーをチェックしてみるが、ない。話題書コーナーにはノーベル賞受賞作とか芥川受賞作とならんで今年直木賞を受賞した三浦しをんの「まほろ駅前多田便利軒」は並んでいたが、「シュミじゃないんだ」はない。ネタがネタだからなー、もしかしてBL本コーナー? と思ってみて見るがない。漫画コーナーにももちろんなかったが、ここには先日出た「暴れん坊本屋さん 第3巻」(久世番子、新書館)に書いてあった池袋書店巡りネタに出て来た通り、久世番子のサイン入り色紙やポップが並んでいた。

もしやエッセイコーナーかと思って見てみるがここにもない。まさかサブカルコーナー? しかしここにもない。そうこうしているうちにコンピュータ関係コーナーで今月こそは買おうと思っているMacBookの参考書を何故か手に取ってしまい、あやうく買ってしまう所だった。さらに今友人に頼まれて彼女の仕事のウェブページを試しに色々作ってみているのだが、それ用についスタイルシートの本なんかも読んでしまう。ちがうちがう、私が探しているのはここじゃない。

うーん、どこにあるんだろう、と闇雲に雑誌コーナーとか実用書コーナーまで見てしまうがギブアップ。ついに店員さんに聞く事にする。もちろん、久世番子様のいいつけを守って「新聞に載っていたアレ」とか「ウェブページに載ってたアレ」とかは言わずに、ゆっくり丁寧に、書名と著者名と出版社名を伝える。こんだけ広いと店員さんもさすがにすぐには分からないらしくレジで検索して教えてくれた。探していた本があった場所は……なんと現代文学だった。盲点だったよ、ママン……。

という訳で目的のブツを手に入れて帰宅し、明日の準備を始める。実は昨日「いまさら人には聞けない 大人の常識力トレーニングDS 」も買ったので明日はこれも電車の中でやる予定だ。って、ホモネタエッセイ本とゲームソフト持参で何しに奈良にいくつもりなんだか、まったく。
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ただひたすら懐かしいだけの本、といえなくもない「ちびっこ広告図案帳70’s-AD for KIDS:1970‐1974」(おおこし たかのぶ編集、オークラ出版、415p、2003年発行)。1970年代前半に子ども向け雑誌や広告媒体に載せられた広告をそっくりそのままデジタル復刻し収録、四〇〇点以上の図像で構成された本。しかし高いよ、なんと7,800円! でも、いいの。こうして私みたいなおバカさんがちゃんと買う事で、次の本もきちんと出るようになるんだからさー(泣)。今回この本が出たのだって、きっと一番最初に出た「ちびっこ広告図案帳-ad for KIDS:1965‐1969」(おおこし たかのぶ編集、オークラ出版、311p、1999年発行)を私がちゃんと買ったから、と思うことにしているし(←自分が世界を動かしていると思っている)。当時の子ども文化がよくわかる資料本としても秀逸なのよ(きっと)。

まあ、まずは中身を見てみないとわからないと思うけど、これは1970年の雑誌広告でサンスターのスパイメモ(水につけると溶けちゃうんだよね)とか、象が踏んでも壊れないというアーム筆入れですよ。アーム筆入れもスパイ手帳も買ってもらったよなー(遠い目)。

1970年のスカーレットちゃんの万博コスプレ広告。この本には当時(今も、か)圧倒的に人気だったリカちゃん人形の広告の方が沢山入っているのだが、私はスカーレットちゃん派だったのだ。しかもこのトシになってもいまだに「やっぱり着せ替え人形はリカちゃんよりスカーレットちゃんだよな」とか思ってたりするし。だって表情が微妙でいいんですよ、スカーレットちゃんは(←バカ?)。

こちらはTV番組の広告。東京12チャンネル(現在のテレビ東京)で放映された「おさな妻」と「ハレンチ学園」。「おさな妻」の東京での放映時間帯がいつだったのかは知らないが、北海道では確か昼すぎ頃放映していたので学校から帰ってからたまに見た記憶がある。もしかして土曜日だっただろうか。でも多分夜やっていたら母親なんかに「見るんじゃありません」とか言われていたんだろうなあ。まあ、言われなくても「ハレンチ学園」も「おさな妻」もそんなに面白くもなかったからめったに見なかったが。

これは1970年の大阪万博の三菱未来館の広告。私は当時北海道の小学生だったので大阪で開催されていた万博なんざテレビで見るだけだったが、大阪の子ども達はもちろんの事、東京の子ども達も修学旅行などで見に行ったという話を聞いた。「君をタイムマシーンで紀元2020年の日本へ!」って、あと14年でこんな風になっているんでしょうか。

この当時子どもだった同年代の友達が3、4人集まって見たら結構話が弾む本だと思うけど、でもその3、4人がまた、このトシになるとみんな忙しくてなかなか会えないわけだけどね。
最近は本を読むのが本当に遅いのに読みたい本が次々と目について買ってしまい積ん読本が増える一方だ。先週「メモリー」をやっと読み終えて(9月26日「メモリー」)積ん読本を少し減らせたと思ったのに、また新しい本に手を出してしまった。「イン・ザ・プール」(奥田英朗、文藝春秋、269p)。「トンデモ精神科医伊良部登場! 深夜のプールに忍び込みたいと思ったこと、ありませんか?水泳中毒、ケータイ中毒、持続勃起症…ヘンなビョーキの博覧会。新・爆笑小説」(出版社内容紹介より)。

とんでもない精神科医が出てくるというのだけは知っていたし、映画化されたときのキャストが松尾スズキだったのも知っているし、テレビドラマ化された時のキャストが阿部寛だったのも知っているけど、とにかく見てなかったので内容はまったく知らなかった。しかしこの内容でしかも「伊良部」というこのちょっと珍しい名前からしたら、どうしたってあの野球選手の伊良部を想像しちゃうし、作者もきっとあっちの方を想定して書いているよなあ。少なくとも阿部ちゃんは違うだろ。いや変人ぷりは大丈夫だろうけど。読んでいると野球選手の伊良部が、悩める患者に対して幼稚園児みたいな対応をする様が浮かんでしまってどうしようもないのだが。

しかし読み終えると、もしかして伊良部って名医なんじゃね? と思えてくるから不思議だ。言っている事は我が儘で迷惑な事ばかりだけど、理不尽じゃないし納得できるような事も多いし、しかも患者は皆、伊良部に振り回されて疲れ果てたあげくちゃんと直ったり、それなりに病気とつきあっていけるようになってしまっているのである。

別に「爆笑」はしなかったが楽しめた1冊だ。続きの「空中ブランコ」も読んでみたいが、その前に積ん読本をなんとかしなくては。
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子どもの夏休みの親子読書感想文が終わってほっとしていたのに、担任の先生ときたら今月もまた、親子読書感想文を出せと言ってきやがったのだ(いや、すごくいい先生なんだけどね……)。親子読書感想文というのは、親が子どもに本を読んであげて、子どもが感想と絵を描き、親はどういう点を読み取って欲しいかとか読んであげた感想などを書くという極悪な代物だ。何度も書いているが、学校を卒業して感想文を書かずに済むようになってほっとしているのに、親に感想文なんか書かせるなっつーの!!

しかし今は便利なことに、こんなサイトが。
小学生・中学生のための 著作権フリー!! 自由に使える読書感想文
【例文つき!】5分で完成!読書感想文
夏休み特別企画 よいこの読書感想文 小川洋子『博士の愛した数式』

もちろんどのサイトも「感想文を書いて無駄な時間をすごすよりももっと有意義な夏休みを過ごして欲しい」とか「まるままパクっちゃうと色々大変なんだよ」と注意事項が載っていて、これまたナイス。自由に使える読書感想文サイトさんなんか、PDF形式の感想文(PDFってところがまた素晴らしい。簡単にコピペはできないっつーことだもんね)の前に感想文を書くポイントなどが簡単に書いてあるのだ。

「さて、『羅生門』のように、読むこと自体が苦痛となる作品が課題図書になっている場合、感想文中に「おもしろくない」や「読む気がしない」などのマイナス表現の使用は避けるようにしてください。教えて系のサイトで、「思ったことを書くのが読書感想文です」や「つまらないと感じたらそれを正直に書くようにしましょう」などの回答を見かけます。しかし、これは自分が評価される立場にいない外野の人間による無責任な回答です。「おもしろくない」「つまらない」「読む気がしない」「分からない」と書いた時点で、読書感想文は負けです。読書感想文は自分の考えを主張する作文ではありません。センセイをよろこばし、高い評価を得るために書くものと理解してください。」(羅生門)

「ある程度の年齢を重ねた僕のような人間には、どうしてもあの友情劇がウソっぽく見えてかないません。「ほんまかいな?」というのが正直な感想です。そこで、ここに掲載してある読書感想文は、定番の「友情賛美」ではなく、人を信じることのすばらしさと、人にだまされる現実の間に揺れ動く心を描写してみました。ただ、『走れメロス』を課題図書に選ぶセンセイは、純粋に「友情のすばらしさ、人を信じるすばらしさ」を子どもたちに理解してほしいと思う純朴な方たちです。これを選ぶかどうかは、センセイの性格を考慮してください。」(走れメロス)

などなど。肝心の感想文のほうはたまたまなのかわざとなのか「お探しのページが見つかりませんでした。」というページが出現してしまうのだが、これらの紹介文だけでも読書感想文という名の創作として非常に楽しめていいですよ。

しかし、親子読書感想文は「親はどういう点を読み取って欲しいか」「読んであげた感想」を書かねばならないので、ストレートな読書感想文よりも性質が悪くて、しかも丸写しやパクリができないんだよなー(しみじみ)。先日行った小学校の保護者会のときにクラスの他のお母さん達が書いた夏休みの分の親子読書感想文を見ることが出来たのだが……、みんな、すごいよ。ちゃんと先生に受けるポイントを押さえてて、しかも短文ながらなかなか完成度の高い文章ばかりで感心することしきりである。あーあ、明日が提出締切日なんだよな。やだなー、もうっ(←子どもかっ!)
ロイス・マクスター・ビジョルドのマイルズシリーズの最新刊「メモリー 上巻
メモリー 下巻」がやっとでた。本国ではすでにこの後4冊も出ていて、なおかつ日本での翻訳の方も順調に進んでいるのに、すぐには出せない出版社の事情って一体なんだ。2年以上も空白があったんだから次はサクサクと出して欲しいものだ。

さて、今回は今までの宇宙活劇とは打って変わって、マイルズがしでかした大きなミスによって今まで10年以上も努めて来たバラヤー機密保安庁の職務を失ってしまう。何よりも失いたくなかったデンダリィ隊に二度と戻る事が出来なくなり失意のあまり館にひきこもってうじうじするマイルズに、皇帝の婚約話とかつての上司イリヤンの身に起こったとんでもない事件の解決にかかわり、無事解決したときに彼には新しい道が開けていた。

この物語、あの活動的だったマイルズが未だかつてないほどうじうじしまくり(いや、内省と考察の日々?)なのだが、それでも引き込まれ読ませられるのはやはりビジョルドの描く世界とキャラクターが実に魅力的だからだ。今回は主役マイルズがうじうじしている分、皇帝ぶりが板についているグレゴールとか、相変わらずのイワンのバカとか、その他なじみのキャラの行動や発言がまた楽しい。私としてはマイルズシリーズの一番最初の物語の「名誉のかけら」と物語的にはその次の物語になる「バラヤー内乱」が一番好きなので、今回マイルズの母のコーデリアと父のアラールの出番が非常に少ないのがちと残念だ。

中盤からの、マイルズの元上司イリヤンを襲った奇禍を解決すべく皇帝グレゴールからオールマイティな力を授けられて事件を解決してゆくあたりは、SFミステリーとしても楽しめる(でも犯人はやっぱり最初に予想した通りの人物だったけど)。そして最後にマイルズには今までとは違った道が開けてきて、新しい章がこれからまた始まるような終わり方をするに至る。30歳になって、宇宙での秘密任務の遂行に熟練してきたのにもかかわらず、今までのような気持ちで隊を率いることが出来なくなっている自分を実は自覚していたマイルズだが、ここで折り返し地点に入ったということだろうか。

次回からは新たな中年(?)マイルズの活躍が見られると思うと楽しみだが、次こそはさっさと出してほしいものだ。
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先週末、というか今週初めというか9月10日にJR池袋駅東口にあった新栄堂書店が閉店してしまった。手ごろな場所にあった手ごろな大きさの書店で、非常に重宝していたのですごく残念だ。閉店してしまってから入り口の扉に貼ってあった挨拶文を見てみたら、「60年間ありがとうございました」と書いてある。あーーー、終戦直後からずっとここで本屋さんやってたのね、初めて知りましたよ。この本屋さん、1階から4階までの店舗なので町の小さな本屋さんよりは大きいサイズの店だが、こじんまり具合が実に手ごろで、新刊や雑誌、話題の本やメジャーな本を探す時には本当に便利だった。コミック売り場は3階にあり、なおかつエスカレータがないので3階まで階段を上ると息切れしたもんだが、小さな店の癖になかなか憎い品揃えだったし、手作りポップもナイスだったし、1階の文庫本の棚は出版社別ではなく、完全に著者名別に並べてあったのでこれまた著者が分かっているときなど便利だった。クロワッサンや日経エンタテインメント、TVブロス、オレンジページCookingなど出たらすぐ買う雑誌は全部ここで買っていたし。

池袋は何せ書店激戦区で、超大型書店のジュンク堂(アジアで一番の売り場面積だったっけ?)、芳林堂、リブロ、東武百貨店の旭屋書店と大型書店が並ぶ中、このこじんまりぶりでは勝てなかったのかなー。一応閉店理由のところには建物の老朽化のためと書いてあり、すぐ隣の同じビルのドトールも閉店しているから、ビル自体の建て直し計画はあるのだろうけど。私のようなフルタイム会社員でなおかつ子どもがまだ小さいとなると実のところ本屋もろくろく行けないので、会社の帰りがけの5分、ちょっと立ち寄れる店は本当に便利だっただけに残念だ。他の店は、店が広すぎて目的の本にたどり着くまでに時間がかかるし、デパートに入っている本屋はその本屋にたどり着くまでに5分以上かかってしまうのでなかなか行きづらい。また戻ってこないかなー。

さて、池袋といえばジュンク堂だが。私は今まで地下のコミック売り場に行ったことが全くなかった。理由はコミックはコミック専門店(まんがの森とか芳林堂コミックプラザとかその他色々。まだ乙女ロードを物色したことはないが)で買えばいいやと思っていたのと、開店当初(1997年)のコミック売り場の評判はそれほどいいものではなかったということ、そしてジュンク堂は駅からちょっと遠くて(といっても5分くらいだが)行く時はあまり時間がないので目的の単行本を探す時だけほとんど1階~2階を瞬間的に眺めて電光石化で本を買っていたのだ。しかし、今日仕事の都合で目白警察によったついでに(え? ついで??)初めてジュンク堂のコミック売り場に行ってみたのだが。

ジュンク堂コミック売り場、すげーーーー。コミック、漫画文庫本、ライトノベル、画集、イラスト集、ゲーム攻略本、漫画関連図書の数が沢山、っつーだけじゃない。平台だけでなく棚差しの本も半分以上表紙を見せる形で置いてあってわかりやすいし、色々ポップや内容見本、原画見本などがついていて読んでみたいという意欲が非常にそそられる。久世番子の「暴れん坊本屋さん」なんか内容見本の他に出版社のポップが2個もついていてそのうち1個には「早く買わないと売り切れる!!!…ってことはないけれど、返品されるわよ!!(←一番大きい文字)」と書いてあるのが泣ける。ここがこんなに充実してたとはなー、いやはやうかつでしたよ。展示してあるサイン入り色紙はともかく、貼ってある原稿原画は期間ごとに替えているのかどうかはしらないが、今日は「サルまん」の原稿がずらっと展示してあり、しかも竹熊健太郎のスク水表紙で話題となった雑誌IKKIの、その表紙の拡大垂れ幕のようなものまでありましたよ。

そういえばコミック売り場ではないがついこの間まで「萩尾望都ラララ書店」というイベントを開催していて、萩尾望都がセレクトした本屋コミックが置いてあり、たまに萩尾望都が店長として顔出しをしてたりしたらしい。他にも(もちろん参加できないけど)イベントが色々あるし。ここがせめて、新栄堂の位置にあったら、毎日通うんだがなーーー。残念。
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底辺女子高生会社帰りに何気に手に取ってみたエッセイ本「底辺女子高生」(豊島ミホ、幻冬舎文庫、2006年、246p、520円)、内容は「「本当の私」なんて探してもいません。みっともなくもがいてる日々こそが、振り返れば青春なんです―。「底辺」な生活から脱出するため家出した高校二年の春。盛り下がりまくりの地味な学祭。「下宿内恋愛禁止」の厳粛なる掟。保健室の常連たち。出席時数が足りなくて、皆から遅れた一人きりの卒業式。最注目の作家によるホロ苦青春エッセイ」(Amazon商品紹介より)。

あまりにも地味すぎる青春時代を送った著者のその地味青春時代を描いたエッセイなのだが、現在23歳(執筆時。現在は24歳)で、ここまでちゃんと振り返って面白おかしく描けるっていうのは結構才能があるんだろうなぁ(←えらそー)。現在このお年のお嬢さんが高校時代はテレビを見ずにラジオを聴いていたとか(しかもリクエストはがきをバンバン出していた)、球技大会では地味女子が集まって卓球をやったとか、高校生時代にクラスの男子としゃべったのは3回だけだとか、ホントにそりゃ地味だよねって話だ。もちろん基本は高校時代のクラスの中に自分の居場所がなくて(「見つけ出せなくて」ではなく「なくて」)、いたたまれない日々を過ごしてしまった著者の「底辺女子高生」時代をヒジョーにネガティブに描いているのだが、でも面白おかしい。そして本人が後書きで書いているように、今振り返ってみれば本人が当時思っていたほどには全然どん底じゃないし(だいたい「女子高生」であるだけでもう、非どん底は保証されているようなもんだしな)。でも書いてあるエピソードの一つ一つが、40代のババァにもそうだったよなぁと思わせられるのはなかなかのもんですよ。本人が描いている挿絵もなかなかナイス。

著者のメッセージは「今すごくつらくても、そのうちなんとかなるよ」ということで、現役の学生さんが買えるようにと文庫で出したそうだ。でも、全部ウェブで見られるんだよな……(私も本を買ってから気がついたよ)。ま、私は文章はウェブで読むよりも紙媒体で読むほうが好きだし、自宅でいちいちPC立ち上げる時間あんまりないし、本だと電車の中で読めるからいいんだけど。

 ・底辺女子高生(幻冬舎ウェブマガジン)
 ・告知板としま(豊島ミホサイト)
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今朝新宿駅構内のY書店にいつものように立ち寄ってみたら「ハチミツとクローバー」最新刊(最終巻)が入荷していた。手にとってレジに行こうとしたら、行列でしたよ! Y書店はほんとーーーっに小さな書店なので行列っていったっていつもなら2、3人なのだが、今日はなんと8、9人ほど。しかもみんな手に「ハチクロ」持ってるしー。おまけにそのうち3人くらいがオヤジだったーー(←でも多分私より年下だ、きっと……)。

いや、まったく関係ない話だが。

 世界の美しい図書館(Fresh News Delivery)
 Red-Hot and Filthy Library Smut

ため息が出そうでございます。もっともここに置いてあるような本を私が読むことなど一生無いと思うが。東京駅前にある丸善本店のような新しくて明るい本棚もいいけれど、こういう趣のある落ち着いた本棚も実に美しい~。

しかし。本好きが嵩じて一応図書館司書の資格を持っていたおかげで、私が今の会社に入るときには「図書室のおねえさん」として(え?)入社したはずだったのに、いつの間にやら会社の図書室もなくなってしまい、今じゃ健康診断のおばさんになっているとは何事か?
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あの痛快だった「文学賞メッタ斬り!」が帰ってきた、その名も「文学賞メッタ斬り!リターンズ」(大森望、豊崎由美、383p、PARCO出版、2006.08、1,680円)。「2004年刊の第2弾。メッタ斬りコンビが帰ってきた! 文学賞に喝! さらに賑わう文学賞界隈を、ますます冴えた刃で徹底論破。第1回メッタ斬り!大賞の発表や最新受賞作全採点「文学賞の値うち」付き。」(Amazon商品説明より)。

私なんざ子供時代からずっとSFやミステリー、ノンフィクション、エッセイばかり読んできて文学的基礎教養がまったく無いわけだが、そういう素養も知識もなくても全然OK(多分)。もちろん前回の「文学賞メッタ斬り!」の方を未読でもOK(多分)。ベストセラーや話題作の名前ぐらいは知っていたほうがより楽しめるだろうし、結構な読書家ならなおのこと楽しめる1冊だ(でも文学に思い入れがある人にはムカつく内容かも)。あまりのメッタ斬りぶりに(もはや斬殺レベル?)「人の事いえるのか!?」という声もあるようだが、これはこれでこういう芸として成り立っているんだからいいのである。それにどれほどひどい悪口雑言であろうともこのお二方、面白い小説を読みたいんだ!という飽くなき探究心と愛(え?)があるから、批評ぶりも実に面白くてなおかつ(多分)的確、面白い作品なら素直に読んでみたくなるし、そうでない作品も「そんなにひどいならちょっと読んでみようかな」とさえ思うくらいなのだ。もっとも、これは言われた本人にはかなりダメージがあると思うけど、でも基本的に新人には言ってないし(言ってもちゃんとアドバイスも兼ねている)、毎度の事ながら大丈夫なのか??というくらい大御所を叩いていて痛快。しかね、直木賞選考委員の渡辺淳一が候補作に「人間が描けてない」といちゃもんつけて落とし続けているという話には「人間が描けてないのはおーまーえーだーろーーーーー!!」と叫んだのは私だけではないはず(参照:8月31日「立ち読み15分、「失楽園」渡辺淳一)。

飛ばすトヨザキ社長と割と冷静っぽい大森望、しかしその実ちゃんとドカスカダメージを与えている点、大森望の方が世間一般で言われているようにやはり腹黒なのかも。もちろん世間一般ではこういうのを「大人の態度」というのかもしれないが。しかしね、この本の何がいいって、やはりわかりやすいということだ。たまに新聞の文芸時評なんか読む事があるが、私が頭が悪いからし方がないのかもしれないとはいえ、とにかく何言ってんだか全然わからないことが多い。でもこの本の中に登場する各作品に対する批評は(特に巻末特別付録の「文学賞の値打ち」掲載の各作品評など)とにかく簡潔明瞭、なおかつスパイスの効いた作品紹介が結構読書意欲をそそるものにもなっていてナイスですよ。例えば芥川受賞作の「グランド・フィナーレ」(阿部和重)なんざ「ロリコンのダメ男が故郷に帰ってくる話。前半はその情けなさがいい味を出してますが、後半は「それなんてエロゲ?」的なシチュエーションにはまってゆく。(後略)」(大森)、「受賞発表直後のNHKニュース7における畠山智之アナいわく、「特殊な性的趣味を妻に知られて離婚され、失意のうちに田舎に戻った男性が、ひょんなことから頼まれた女子児童への演技指導を通じて、現実とのつながりを取り戻してゆく様子を描いた作品」。ロリコンと言えない苦しさは理解できますが、「現実とのつながりを取り戻してゆく」話とまとめるのはいかがなものか。(後略)」(豊崎)ってな感じ。

いやあ、楽しゅうございました。

参照:2005年2月10日「「百年の誤読」岡野宏文、豊崎由美
テーマ:雑記
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今さら渡辺淳一の「失楽園」を読むわけないんだから、実はジュンちゃんじゃなくてミルトンの方じゃないのかとか、漫画マニアなら当然諸星大二郎の方じゃないのかとか、もしかして「釣りバカ日誌 鈴さん、南の失楽園へ」(やまさき十三、北見けんいち)とか「三毛猫ホームズの失楽園」(赤川次郎)の間違いじゃねーの? と自分に突っ込みたくなるくらいだが、もちろん、あの渡辺淳一の方の「失楽園」だ。ただし本屋で上巻を立ち読みしたのみだが。

先日本屋で真面目な本を漁っていたら(←珍しく主に純文学の棚を見ていたのだ)、ふとこの本が目に付いたのだ。そういえばこの本て、評判もストーリーも映画化キャストもテレビ化キャストも知っているのに(TV版は川嶋なおみと古谷一行ってだけでもげんなりなのに、みのもんたと小柳ルミ子まででてくると言うすさまじいまでのくどさと脂ぎりようはどうなの。ま、一度も見なかったが)、肝心のオリジナルの方はまったく読んだことがなかったなーと思って手にとって見たのだが。いやー、驚きました。

渡辺淳一は高校・大学時代にそこそこ読んだ事があるのだが、そのころの渡辺作品は割とクールというか、非常に涼やかで、美しい読後感を得られる恋愛物が多かったように思うのだが、「失楽園」はぜんぜんっ、違ってたよ。かつての面影はすでになく、クールな美少年が脂ぎったエロジジィになって「ねぇちゃん、パンツの色、何色?」って聞いてきているような感じと言おうか(←非常に下品で不適切な例えです)、行間からにじみ出る脂っぽさと無駄な気取りがたまらない。

そして問題は、ストーリーの方はもうどうしようもないから置いておいて、キャラクタである。主人公の薀蓄たれのジジィ(50代の壮年男性は老け専の私から見ればまだジジィではないが)がヒジョーに鬱陶しい。なにかにつけちゃどうでもいい薀蓄をたれ、講釈し、セックスにかこつける。おまえはフロイトかっ! 10代の男子じゃないんだから、あれみてもナニ、これ見てもナニってなんだよ。だからリストラされるんだよ。おまけに相手の女の立場も考えず常に身勝手にやっちゃう(←ここら辺がまた不愉快ポイント高し)。

しかし相手の女のほうも、何言われても「そうね」「そうかしら……」「わからない……」とばっかり言っていて、いつの時代だよっ!とつっこみたくなるような30代後半の女性。こんな人形みたいな女いるか?という以前に、たとえフィクションで夢の女性だとしてもこんな女性といて楽しいかなぁ(はたまた書いてて面白いかなぁ)と不思議に思うのだが。でも若くてきれいで逆らったりせず自分の薀蓄をちゃんと聞いて感心してくれて(多分オヤジギャグにもちゃんと笑ってくれることだろう)いつでもセックスOKなら(←ここが一番のポイント?)別にかまわないのか? あ、もしかしてこれって女性がBL読むように男性が読むその手のファンタジーだったのか。

まあ元々日経新聞に連載していた話だから、読者層のオヤジにはこの設定とストーリーで受けていたのかもしれんが(とか言いながら私も日経は読んでいるが)、小説として面白いのかなあ? もしかして下巻になると格段に面白く、登場人物も生き生きとして魅力的になり、そしてあのとんでもない心中をしちゃうのか? 疑問は多々あれど、下巻を手に取る気にはなれそうにもないのだった。