川崎市市民ミュージアム「少女マンガパワー!展」昨日の夜は、会社で派遣のMさんの送別会があったというのに、彼らを見送りつつも8時まで残業をしていた私だ。そして今後のスケジュールについて打ち合わせをしていたら、5月中旬くらいまでいっぱいいっぱいでとてもじゃないけど会社をおちおち休んでられないことが判明して絶望的な気分になり、……今日は前々から行きたいと思っていた川崎市市民ミュージアムの「少女マンガパワー!展」に発作的に行ってきてしまいました。

普段とにかく出歩かない私は基本的に首都圏の交通機関をろくすっぽわかってないので、渋谷から乗った東急東横線でSUICAが使えることに驚き、そして武蔵小杉の駅前から乗った市バスでもSUICAが使えたことにも驚いている始末。駅前の市民ミュージアム行きのバス停からは行列が長く伸びていてまたビックリ。こんなに大勢の客が皆、もしかして「少女マンガパワー展」を見に行くのか? しかもここで乗ったバスの乗客層がなんだかデジャブー。盆と暮れに東京駅から乗る有明行きのバスの乗客層に非常に似ているような気がしたのだが、……もちろんそれは気のせいだったよ。みなさん、終点手前の等々力スタジアム周辺でごっそり下車し、結局終点の川崎市市民ミュージアムで降りたのは私を含めて7、8人程度だった。

館内に入ると中2階のようになっているフロアへ続くエスカレータが目に入ったのだが、「少女マンガパワー!展」の展示は2階と書いてある。そばにいた警備員の人に「このエスカレータは2階につながっているんですよね?」と聞くと、「こちらは直接は2階にはつながってないんですよ。マンガに行くのは奥のエレベータを使って下さい」と言われてしまう。おいっ、2階は他の展示もあるのに、何故私が見るのはマンガと決めてかかるのだ。もちろん、見るのはマンガだが。

館内の展示場には時系列ごとに少女マンガの原画や関連グッズが並べられ、原画やイラストの横には非常に丁寧で秀逸な解説や説明書きがついていて、順路通りに進むとそのまま少女マンガの歴史を辿ることができる。一番最初に展示されているのは手塚治虫の「リボンの騎士」、そして松本零士の「銀の谷のマリア」などだが、こうして見ると彼らの絵ってまんま50年前の萌え絵なのね。それに「リボンの騎士」の中で、男の子のフリをしているサファイヤがもしかして女の子じゃないかと疑われるシーンにしみじみ時代を感じる。女物の靴を履いているから女に違いないとか、ピンクのハンカチを持っていたら女かもしれないとか言っているの。手塚センセも今のテレビのバラエティ番組を見たらびっくりだな。

手塚治虫や松本零士はさすがに懐かしくもなんともない私だが、牧美也子の「銀のかげろう」とかわたなべまさこの「ガラスの城」はやはり懐かしい。牧美也子の原画のそばには、牧美也子がデザインした主人公の女の子が着ていたワンピースをプレゼントすると言う当時の雑誌の企画ページと、そのデザインを元にファンの方が再現されたというワンピースが飾ってあったのだが……これは私が当時の小学生だったら欲しかっただろうなあという代物だ。

ところで展示されている原画はオリジナルの原画と、原画を精巧に複製した原画ダッシュ、そして普通の複製原画の3種類があった。この原画ダッシュというのは実物に近づけるべく研究してつくられた複製原画で、その説明のために竹宮恵子の原画と原画ダッシュの同じ絵が並べてあったのだが、確かにこれが原画に限りなく近い代物なのだ。原画の墨ムラからホワイトから写植の浮きまで言われてみないとわからないくらいに原画に忠実つくられていてビックリだよ。

でもなー、やっぱオリジナルの原画は違うのよ。漫画は印刷されて一つの作品になってなんぼのものだから原画だけをありがたがるのもどうかと思うのだが、やっぱり本物の原画を見ちゃうとその絵から当時の作者の思いが伝わってくるような気がするし(もちろんそんなのは私の勝手な思い込みだが)、見ている私の当時の記憶や思い出も一緒に蘇って来るのだ。……とかいいながら、実は原画ダッシュがあまりにも精巧なもんだから「あれ、これ原画だったっけ? ダッシュの方だったっけ?」と入り口の所に張ってある原画の区別の注意書きを見に行ってはまた展示原画をしげしげと眺め、そのうちやっぱりまたどっちが原画だったかわからなくなって入り口に行って、というのを何度も繰り返している時点でダメダメだがな。

会場内には原画や関連品(よしながふみなんか同人誌も展示してあった)の展示だけでなく、会場の真ん中には展示してある作家の作品集が収められた本棚と椅子があった。だから絵を見て本を読みたくなったらそこでその本を読むことも出来るのである。ナイスだよ、川崎市民ミュージアム(ちゃんと本の背には懐かしい「禁帯出」のシールが貼ってあった)。作品としての漫画が読めなくちゃ意味ないもんね。ただ、出来れば会場内に少女マンガ年表みたいなものもあるともっとよかったけれど。販売していたカタログの方にはちゃんと載っていたが、ちょいと高め(1,500円)なので誰もが買う訳じゃないし、やっぱりこの年表、会場内にもほしかった。

さて、去年の12月にこの展示企画のお知らせを見たときには「出展漫画家の数が少なすぎるんじゃないのか?」とか思ったけど、内容が濃いのでこれはこれでいいのかもしれない。またこういう展示会があったら、出不精で面倒くさがりな私だが頑張って見に行きたい。今度は、見たあとに会社に休日出勤して仕事するようなことはもうしないと心に誓いつつ(しくしく)。