鳥獣戯画展 東京国立博物館
東京国立博物館といえば私にとっては映画「ハゲタカ」の幻のオープニング画面(カットされちゃって本編に入ってないからね)↑のロケ地というのしか頭になかったんですが、まだ一度も行った事がないんですよ。そして風の噂に鳥獣戯画展を開催するにあたって各地に散らばっていた資料もまとめて展示すると聞いて、なんたって私が子どもの頃は日本の漫画のルーツは鳥獣戯画だという説に「えーーーー、そんなわけないじゃんっ!」と思った記憶もあって、まあ一生に一度くらいは見てみないとね、と思っておりました。

そんな事をコミケの時に色々助っ人してくれている同僚M様に話したら、先々週の平日に行ってきたけど余りの混雑にラスボス(違)の甲巻は見ないで模写だけ見てきたとかで、「twitterで「鳥獣戯画展」混雑状況お知らせというのがありますよ!」との情報が。甲巻というのは甲乙丙丁と4部作の鳥獣戯画のうち、一番有名な蛙と兎が飛び跳ねている場面があるパートです。これ、見てみたらさー、平日なのに朝9時から300人待ちとか、土曜日の朝は1,300人待ちとか、入ってから甲巻展示にたどり着くまで180分待ちだとか、色々とんでもねーイベントだったのね。いやー、どうなの? この混雑ぶり……。ううううむ、行列は嫌いだが、これは50年来の漫画者としてやっぱり見ておかなくちゃダメなんじゃね?と半ば義務感で5月27日に会社の休みをとって東京国立博物館に向かいました。

鳥獣戯画展 鳥獣戯画展
鳥獣戯画展 鳥獣戯画展
当日の予定は、午前中に鳥獣戯画展を見て、時間があれば常設展も見て、それからもちろん「ハゲタカ」のロケ地の東京国立博物館(東博)本館に立ち寄って、天気がいいから新宿御苑で紫陽花あたりを見てから、夕方にゴジラで有名なTOHOシネマズ新宿で映画「セッション」を見ると言うスケジュール。なんて充実した休日なの。

でも9時過ぎに東博に着いたら博物館に入るまでの炎天下の行列で50分待ち也。この日の最高気温は30度、もちろん自前の日傘、帽子装備、水分補給のペットボトルのお茶、扇子と汗拭きタオル持参で準備万端。なんかあの夏のイベントに似てなくもない? でも東博側でも貸し出し用の日傘があったりウォーターサーバーがあったりと結構至れり尽くせり。

鳥獣戯画展
あと待ち時間の暇つぶし用にパズルまであったり。

しかも入口で入館待ちの観客を仕切っていたADさん(違)の前説が面白い。毎日同じ事を喋ってはいるんだろうけど「今、甲巻までの待ち時間は130分です。時間だけ聞いているとそんなんでもないように思えるかもしれませんが、実際の時刻に置き換えて考えてみて下さい。すっごく長いです。皆さんも待ち始めて最初の20分、30分はわくわくドキドキして楽しみなんですけど、これが1時間になったあたりでどんどん不安になってきます(笑)。そして2時間になるともう意地です(笑)。ここまで待ったんだから見ないとと意地になっちゃう。いいですか? 選んだのは皆さんですよ(笑)。どうか意地で時間を無駄にしないよう。どうか楽しんでみて下さい」(←ざっくりこんな感じ。正確ではない鴨)。

鳥獣戯画展
そんな訳でやっと10時に入館、館内は空調が利いているので過ごしやすい〜。この時点では甲巻待ちは110分との表示。まずは甲乙丙丁以外の展示をざっくり鑑賞。線画の曼荼羅とか十二神将図とかそのままTシャツとか壁紙にしてもいいくらいポップで結構面白い。そして10時30分、甲巻展示の行列に並び始める。この時点で130分待ちとの立て看板あり。えーと、2時間10分後という事は12時40分には入れるっつー事? ああ、去年の皇居乾門通り抜けといい今回の鳥獣戯画展といい、私は何十年も前から花見で駆け回っていたし、美術展だってこれまた何十年も機会があれば見るようにしてきて、昨日や今日、流行っているからちょいと来ましたてな感じで見ている訳じゃないのにーーーっ! と、どこにぶつけていいかわからないささやかな憤懣に鼻息が荒くなったり。

鳥獣戯画展
待ち行列は甲乙丙丁巻が展示されている会場内で、一番外側の壁の展示が乙巻、丙巻、丁巻となっていて、真ん中の甲巻展示をぐるっととりまくように行列ができている。行列長い。少しずつだけ前に進むけど道のりは遠いわー。もうひたすら待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ、待つ。これ、途中でトイレに行きたくなったらどうなるんだろ。一旦列から離れたら元の場所に戻れないような気がするけど。そんな訳でやっと、甲巻展示に到着、13時20分也。結局2時間50分(170分)待ちだよっ! ふぅ……。

鳥獣戯画展は前期(4月28日〜5月17日)と後期(5月19日〜6月7日)で甲乙丙丁の巻がすべて半分ずつ展示されているので、甲巻ももちろん前半部分は写真で後半部分が本物ですよ! うーむ、これ鳥獣戯画展が終了した後、元々管理している高山寺に行ったら全部本物を見られるのか? それはともかく。いやぁ……興味本位と半分義務感だったけど(←おいっ)、本物の描線は本当に生き生きとしてすごく魅力的なタッチでした。堪能致しました。後、絵巻物って巻物の形で手に持って、次々と解いて行く形でみると全くもってアニメだよなあ、とか。

しかし。甲巻を見終わった後、乙、丙、丁を見たらもう14時、まずい、時間がない、常設展とか模写がある所とか全然見る時間ナッシング。もちろん映画「ハゲタカ」のロケ地、東博の本館も見るどころじゃない。そさくさと昼飯を食べて新宿に行き、映画「セッション」を見て、本日のデューデリ終了(違)。なんか、ただ待っていただけなのにすごく疲れました。

なお、映画「セッション」は予備知識なしに見たので音楽物で鬼軍曹と才能ある新兵のスパルタ成長ものかと思っていたら、全然違ってたYO! ……これ、格闘技物だと思うの。ラストの性格捻曲がっている鬼軍曹と超生意気でやな性格の新兵との二人のセッションがすごいっちゃあすごいんだけど、そこに至るまでの設定つか描写が突っ込みどころ満載じゃね? 見終わった後ちょっと時間があったので次に「脳内ポイズンベリー」か「メイズ・ランナー」か「天才バカヴォン〜蘇るフランダースの犬〜」を見ようかと思ったけど、もう鳥獣戯画と「セッション」でヘトヘトになったのでそのまま帰宅致しました。美術展と映画を見ただけなのにーー。やれやれ。