半神萩尾望都パーフェクトセレクションも最終巻の「半神」が出たので買いましたよ。私は萩尾望都の単行本は実は初期のもの(「ポーの一族」「トーマの心臓」、文庫本4冊)と、あとはSF系(「スターレッド」「マージナル」「銀の三角」「A-A'」など)しか買ってなかったし、今まで全集が2回出ていたと思うが色々とどうかなあと思うところがあり、2回ともまったく買っていなかった。だからちゃんとした(?)初期以降の短編集を買うのは実は今回が初めてだ。しかもここ20年は連載作品はともかく短編等はリアルタイムではほとんど読んでいなかったので、知らない作品も結構収録されている。そんなわけでどの作品が収録されているかという予備知識すら仕入れずに最初っからたんたんと読み進んで行ったのだが。

やっぱり昔読んだ作品を今年取ってから読むとまた一際味わいが違うのね。「半神」もリアルタイムで読んだ時はこんなに残酷な話(ストーリー自体は全然残酷ではない。主人公の気持ちの問題)だとは思わなかったし、名作と名高いあの「イグアナの娘」も当時は普通に面白く読めていたけど、今読むとなおのこと母と娘の葛藤が当時よりももっとくっきり刺さってきて私も主人公同様に泣けてきちゃったよ。ごく普通に自立した一人の大人の女性だったら自分の母親との(時に長く苦しい)戦いの歴史を持つと思うが(参考文献・氷室冴子「冴子の母娘草」、よしながふみ「愛すべき娘たち」など)、それをこういう形で描ききりなおかつそれをああいう形で昇華させてしまうのが本当にすごいよなあ。

しかしこれを収録するなら「小夜の縫うゆかた」を入れなくちゃダメじゃないか?と思ったら、最後の方にちゃんと入っていましたよ。「小夜の縫うゆかた」は1971年の作品だから他の作品と比べると明らかにタッチもストーリーも全然違ってて浮いてしまいかねないのだが、それでもちゃんと収録してあるのが(著者が一番好きだと言っていた作品だとは言え)なかなか憎いよ。

この本に収録されている短編を読み進むと、これは「家族」がテーマの作品集なのか?と思ったけど実はそうじゃなくて(家族も含む)何かの深い絆で結ばれ人たちのお話なのね。ただしそれが家族の場合には逃れられない苦しい関係であることの方が多いみたいだけど。

さて、このパーフェクトセレクション、常々当時連載していた形で収録すると謳っておきながらタイトルロゴが当時の物を使っていないのが不満であると主張していた私だが……この最終巻のあとがきにちゃんと書いてありましたよ。当時の表紙原稿はほとんど手元にないために、雑誌からスキャンしてパソコンで表紙原稿を修正して収録したのだと言うことが。いやー、すまんかった……とか一瞬思ったけど、なんだよ雑誌原稿から今回のこの本の原稿を起こしたんだったらスキャンしたまま当時のロゴをそのまま使えばよかっただけじゃーん。無理することなかったのに~。
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テーマ:マンガ
ジャンル:アニメ・コミック
コメント
「半神」は切ない話で、(読んだ当時も)泣けたが、「イグアナの娘」はけっこう重いテーマをカラッと描いてる感じだと思ったが、なるほど読み手の年齢に応じて、印象も変わるものよねぇ。
「イグアナ」は川島なお美と菅野美穂のドラマも記憶にあるわね。漫画があえてさっぱりと描いてるのに対し、なんたってあの川島なお美がお母様役ですから、ねっとりと娘をいじめてたような・・・。その中でひとりお父さん役の草刈正雄がKYでノー天気な味を出してたっけ。

ー自分の母親との(時に長く苦しい)戦いの歴史を持つと思うが

ほんとだよ。今ではこっちの方が大人になって、オババをやり過ごしているが、相変わらずわがまま・ジコチュウ・マイペースな母親で周囲を振り回してくれるよ。
反抗期の娘とのバトルもあるものの、娘世代は我々世代よりかわし方がうまい、というか。我々世代は純朴に真っ向からぶつかり過ぎた、というか・・・。

2008/04/14(Mon) 16:58 | URL | oha~ | 【編集
>なるほど読み手の年齢に応じて、印象も変わるものよねぇ。

昔すごーーーーーく怖くてたまらなかった楳図かずおの「赤ん坊少女」も今読むとタマミちゃんの哀しい話だったんだよねぇ。昔の漫画を色々読み返してみるとそれぞれ印象が全く変わってそれはそれで面白いかもね。もっともそれに耐えられるだけの名作でなきゃだめだけど。

>我々世代は純朴に真っ向からぶつかり過ぎた、というか・・・。

まあ、我々は過渡期の世代、とか言われているよね。私達の母親の世代と私達では時代も考え方も女性の生き方モデルもあまりにも大きく変わりすぎているからっつーんで。その点私達とその娘世代だと、もちろん同様に変わってはいるものの、その大きさは私達と母親の比でないとか。
2008/04/15(Tue) 06:57 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
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