ハゲタカ1えー、決して私がハゲ専だから見て来たと言う訳じゃありませんよ(←当たり前だ!)。2年前にNHKで放映していた「ハゲタカ」が面白かったからだ。もちろん、なんで今、映画化? しかもNHKドラマ作品を?? という疑問もあったのだが、何よりもガッチリとした手堅い経済ドラマで見ごたえがあり、なおかつ主役の鷲津政彦を演じた大森南朋がこれまた渋くてよかったので結構楽しみにしていたのだ。そしたら同僚の練馬のS嬢がさっさと先に見てきて、、、

S嬢「あれさー、もしかしてテレビ版を見てないとわからないんじゃないかなあ。私はテレビ版は見てないけど原作は読んでいたからなんとかわかるけどさ、ところどころでなんでこういう描写になるんだろう??って場面があってさ。映画版はもしかして原作(ハゲタカ第3部「レッドゾーン」)の映画化じゃなくてテレビ版の続編みたいな感じになっているのかなあ」
私「まあ、私は映画の方はまだ見てないからなんとも言えないけど、もしかするとそうなのかもね」
S嬢「でもテレビ版を見てなくても結構面白かったよ」
私「へー。テレビ版は面白かったよ。すっげー画面が暗かったけどね」
S嬢「それでテレビ版も見て見ようと思ったんだけど、レンタルは全部貸し出し中になっていたから思わずAmazonでDVD-BOX買いそうになっちゃったよ」
私「えーーー、そこまで!?」
S嬢「私、あの主役の人全然知らなかったけど大森南朋っていいね」
私「でしょ? 私もハゲタカは大森南朋萌えなのよ」

と言う訳で国粋系マッチョ邦画好きの練馬のS嬢と、ハゲ専で老け専でなおかつおバカドラマ好きの私の意見が珍しく一致した映画なのだ(←共通点がどこにもない……。ちなみに練馬のS嬢はその後「真夏のオリオン」と「劔岳 点の記」を見て、今週は多分「アマルフィ」を見る予定、さらに「蟹工船」を見たいと言っててびっくりだ。私は時間が合えば「ROOKIES」、もしくは「ウルトラミラクルラブストーリー」か「グラン・トリノ」あたりを見て見たいけど……そんな時間、ねえ……)。で、一昨日会社を午後休とって見に行ってきました。時間があればその後に「ROOKIES」も見ようかと思ったけれど、「ハゲタカ」を見終わったらそんな気は全く無くなっちゃったよ。


[映画紹介]かつて瀕死の日本企業を次々と買い叩きながらも、日本のマーケットに絶望した鷲津(大森南朋)。海外生活を送っていた彼の元へ、大手自動車メーカー「アカマ自動車」を、中国系巨大ファンドによる買収危機から救って欲しいと、かつての盟友・芝野(柴田恭兵)が頼みに訪れる。名門「アカマ」の前に突然現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華/リュウ・イーファ(玉山鉄二)。巨額の資金を背景に鷲津を圧倒し続ける劉。彼の本当の狙いとは何か? 世界金融危機前夜に幕を開けた“ハゲタカVS赤いハゲタカ”の壮絶な買収戦争。「日本が中国に買い叩かれる!?」という未曾有の危機に、鷲津はどう立ち向かうのか?(映画「ハゲタカ」ウェブページより)

で、映画の方だが、面白いんだけどこれはテレビ版をみていないと確かに辛い作品かも。この映画で初めて「ハゲタカ」を見る人のためには、例えばテレビ版キャストの西野治(松田龍平)や三島由香(栗山千明)は削った方がよかったのかもね。この映画の方の物語では彼らを出す必要がない(あの立場にいる関係者が彼らである必要性が感じられない)。もちろんテレビ版を見ているものにとっては懐かしいキャラとの嬉しい再会だが、そうでない観客にとってはそれぞれの間に流れる微妙な関係とベースが見えにくくて、事情ありげなキャラの癖にほとんど説明が無いからなんか消化不良になりそうな気がする。まあ、鷲津(大森南朋)が終始無表情でクールで余計な説明をしなくてあまりにも何を考えているんだかわからないキャラだから、テレビ版キャストがいることでなんとか鷲津の行動の背景や心情を補完することになってるんだろーけど。

ハゲタカ2ところでこの、チーム・ハゲタカの面々(←鷲津ファンドのメンバー)の渋いこと渋いこと。じじぃ萌えの私にはたまりません。ただでさえ大森南朋が主役とは思えない地味っぷり炸裂な上に、嶋田久作志賀廣太郎ですよ。また大森南朋をサポートする仕事っぷり(嶋田久作は徹底調査、志賀廣太郎は秘書というか執事っぽい役回り)にもうっとりですたい。さらに、チーム・ハゲタカ以外もボンクラ社長役の遠藤憲一もいい塩梅だし。

で、映画の内容の方はちょっと折り畳みます(たいしたことは何も書いてないけどネタバレあり)。
こういう情報戦略ものはかなり好きだ。劉一華(玉山鉄二)が中国政府からの潤沢な資金を元にどんどんTOB(株式公開買い付け)価格を跳ね上げていくのに対して、後手後手にまわりがちで対抗して価格をどんどん跳ね上げてゆく様にさすがの鷲津も焦っているんじゃないか?とか思わせといて、実はどんでん返しがドドーンと来て、今度は劉サイドがどんどん追いつめられていくのが実に痛快。もちろんお話だからなんとかなっちゃうんだろうとは思ってしまうし(←屈折気味)、ドラマ版の最終回のニュアンスからいっても後味の悪い終わり方にはならないんだろうとは思っていたけど。

この決して暗くはない読後感というかどこか希望の残るラストの持ち味は多分、現役のこの業界の人がこの映画を見たら甘々なのかもしれない。劉一華がかつて歩んだ中国の田舎の一本道を、彼が生存した証を確認するかのようにじっと、遠い先を見つめる鷲津の姿で終わるエンディング……。劉一華にはすでになくなってしまった未来が、鷲津にはまだまだ目の前に広がっていて、そしてそれをしっかりと見据えて歩んでいかなくてはならないのが彼の「使命」なのかもね。

かつて銀行員時代に上司と部下の関係だった柴野(柴田恭平)と鷲津の関係をなぞるかのように、銀行を辞めた後にニューヨークのホライズン社で活躍していた鷲津を憧れの視線で見つめていた下っ端時代の劉一華が描かれる。さらにどん底で這いつくばる派遣工の守山(高良健吾)を利用するためとはいえ劉が言葉を交わし親交を深めていく様は、柴野ー鷲津、鷲津ー劉と続いてきたように、そのままいけばもしかして新しい「前の世代ー次の世代」の組み合わせとなったのだろうか。

劉も最初はペラいキャラだなーと思って見ていたんだけど、守山に対して「誰でももいい誰かではなく(他には替えがきかない)誰かになれ」と檄を飛ばしつつも、そう言った劉の方は「(他には替えがきかない)誰か」にはなったものの、結局ニセモノの「誰か」だった様を演じきったのだから、あれはあれでいいのかもね。今回、ちょっと玉山鉄二を見直してしまいました。ただ、どん底から這い上がりさんざん苦労してあれだけの地位を手に入れた本物の中国人だったら、もっともっとしぶといような気がするけど。でも、劉から受け取ったお金を(多分)なにかの運用に使って成功し這い上がることができた守山の中には、銀行員時代の鷲津にとっての柴野のように、あるいはホライズン社時代の劉にとっての鷲津のように、劉の陰のような何かが残ったかもしれない。もしかして新しい時代のこれからのハゲタカになるのは守山なのかも。

ところで無闇に熱い男・柴田恭平、若い頃からそのまま(熱いまま)オヤジになった感じなのにはしみじみ感心。笑顔をまったく見せないクールな大森南朋と実に対照的でいいコンビで、二人ともキャラ的には地味すぎるものの、設定としては腐女子の皆様へのアピールポイント大きいなあとか思った私は、半分腐りかけているんでしょうか。

さて、映画を見終わった後考えに考えてもう一回「ハゲタカ」を見ようかと思ったものの、時間の都合が付かなくてあきらめる代わりに、「映画版のサントラCD(映画ハゲタカ オリジナル・サウンドトラック)を買おう!」と思ってCDショップに行ったのに、どこに行っても売り切れでしたよ! マイナー映画だから最初から置いてないとかではなく、「映画版ハゲタカサウンドトラック」とちゃんと見出しつきで平台に置き場所があったのにも関わらずだ。誰だ、一体誰があんなマイナーなCDを買っているんだ(←オマエだ)。しかたなく家に帰ってからAmazonをチェックしたら昨日は「1ヶ月~2ヶ月待ち」と表示がされてガックリだ。こんなCD、一体誰が買うんだ!(←だからオマエだ)。

参照:
6月26日「映画「ハゲタカ」」(1回目鑑賞)←いまここ
6月28日「映画「ハゲタカ」2回目鑑賞
7月2日「映画「ハゲタカ」3回目鑑賞
7月5日「映画「ハゲタカ」4回目鑑賞
7月8日「映画「ハゲタカ(字幕版)」5回目鑑賞
7月13日「映画「ハゲタカ」6回目鑑賞
7月15日「映画「ハゲタカ」6.5回目鑑賞(ハゲタカ映画祭)
7月17日「映画「ハゲタカ」7回目鑑賞
7月20日「映画「ハゲタカ」8回目鑑賞(DLPスクリーン)
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コメント
リンクしてあった予告編見た直後に、柴田恭平と大森南朋が腐女子用の設定とかtsumireさんが言うから、頭の中に今見たばかりの二人がモヤモヤやっちゃって、腐っちゃったよわたし!
志賀廣太郎はねぇ、「アンフェア」でラスト犯人役をやったときから、渋いオヤジだぜ!と注目しておりました。「医龍」の、意外と頑張り屋さんって役どころも良かったかなぁ。
それにしても、コンスタントに映画見てますねぇ。わたしはなんだかレンタルに行く気もおきないし、WOWOWもやめちゃったから、最近映画からとんとご無沙汰。まぁ「ハリー・ポッター」くらいは行くかも。
2009/06/30(Tue) 06:43 | URL | suika | 【編集
>頭の中に今見たばかりの二人がモヤモヤやっちゃって、

でもこの映画的には多分劉(玉山鉄二)×鷲津(大森南朋)が王道なのかも。私はどうもなー、そっち方面の妄想力に欠ける事を今回も実感したよ。

>志賀廣太郎はねぇ

とにかくこの映画、男しか出てないんだけど(栗山千明が本当に紅一点)、オヤジ比率が高いのもいいですよ。……若い女子と余裕のある団塊世代には受けそうにないから映画的にはヒットしないだろうけどね。

>それにしても、コンスタントに映画見てますねぇ。

えーー、半年に1回くらいだよー。今回見に行ったのはドラマ版が好きで楽しみにしていたというのが一番だけど、でももしかして逃避もあったかも……。
2009/06/30(Tue) 06:44 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
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