ハゲたか上 ハゲタカ下
NHK土曜ドラマ版「ハゲタカ」および映画版「ハゲタカ」にハマった者なら誰でも通る道、原作読破ですよ。なんとか読みました、「ハゲタカ(上) (講談社文庫)」「ハゲタカ(下) (講談社文庫)」。

[内容紹介]
ニューヨークの投資ファンド運営会社社長・鷲津政彦は、バブル崩壊後、不景気に苦しむ日本に戻り、瀕死状態の企業を次々と買収する。敵対するファンドによる妨害や、買収先の社員からの反発を受けながらも、鷲津は斬新な再プランを披露し、業績を上げていく。企業買収、再生の真実を克明に描いた問題作。(Amazon作品紹介より)

あちこちでドラマ版とは設定が全く違うと言うのは聞いていたので、鷲津政彦のキャラが違っていてもそれはもちろん想定の範囲内ってやつですが……まずしょっぱなから関西弁をしゃべる小男という設定で距離を置いてしまいそうになってしまいましたよ……。そしてそれよりもなによりも母親から「まーくん」って呼ばれているのが、もう……。いや、「ま」がつく名前の男の子はそりゃ「まーくん」って呼ばれるよね。大人になっても母親にだけはやっぱり「まーくん」って呼ばれるよね。それはわかっているの。でも。でも! 鷲津政彦が「まーくん」!!!! ちょっと打ちのめされてしまいました。いや、ま、この衝撃の一発で確かにドラマ版と原作は全く違うんだという認識が出来て(ショック療法?)、それはそれでよかったのかもね。

さて物語の方は小難しい経済用語がバンバン飛び出てくるのにも関わらず、経済物のゲーム(って、何だ?)のステージを少しずつクリアしていくかのような面白さがあり、上巻はともかく下巻に入ると一気に読み進んでしまいました。元銀行員の芝野健夫(ドラマ版のキャストは柴田恭兵)とジャズピアニスト上がりのファンドマネージャー鷲津政彦(ドラマ版キャストは大森南朋)という全くタイプの違う二人の企業再生家と、老舗ホテルの女性経営者・松平貴子(ドラマには出てこない)の足跡が少しずつ交差し紡がれてゆきそしてラストへと一気に収束してゆく。うーむ。しかしね、せっかくの読み応えのある物語なのにもかかわらず人物の存在感がすっげー薄いの。なんか登場人物が話を進めるためのコマに過ぎない感じがするのである。

特に鷲津政彦。まあドラマ版のキャラクタに思い入れがあるからそこらへんを割り引いたとしても、なんか非常にとらえどころの無いキャラに見えてしまいます。もちろんこの物語の中ではそれなりにリアリティがあると感じられる人物造形なのだけど、でもなんか納得できない。私は常々ドラマ版鷲津ってコミュケーション能力というか対人スキルが低すぎるんじゃないのか?と思っていたのだが(メディアに対しても他のことに対してもあんなに敵対的態度に出て交渉を行うって、それはないわーと思うわけですよ。まあ映画版ではずいぶんと大人になっちゃった気はするけど)、原作版の鷲津はその点ひじょーにオトナ。にこやかな笑顔と低姿勢で相手の懐に入って行き、気がついたらぐっさりと刺されるような、そんな感じ。でもなんだろうなあ、物語が進むにつれ、どんどん鷲津の個人的事情の描写が増えるのにも関わらず、なんかピンと来ない感じがする。やっぱりドラマ版鷲津フィルターが邪魔をしているのか。でもも作者もこの作品を書いた時点ではもしかして鷲津はまだまだ使い捨てのキャラだったのかなあ。

ところでドラマ版の方では芝野ばかりが企業再生家として注目を集めているけど、土曜ドラマ版第4話のオープニングの三島(栗山千明)の説明を聞いていると、芝野よりも鷲津の方が格段に企業再生家として優秀なんじゃないのか? 実際にはちゃんと結果を残しているのにもかかわらず余計なことを言わないどころか誤解されても無駄なことは一切言わない対人スキル低っっっな鷲津の偽悪者ぶりに、まあ私なんかすっかりやられちゃっているわけですよ(笑)。でもこの原作版では鷲津は外資のハゲタカファンドとしてやっぱり嫌われているものの、利益をきちんと上げるためにも、ちゃんとしっかり企業再生という目的に前面に出し、表のルートから裏のルートまで伝手を使いまくり交渉技術の限りを尽くして物事に当る、実に真っ当なキャラです。……もしかしてこの真っ当ぶりが気に入らないのかな、私は。

いや、でもラスト近くの鷲津と貴子の会話シーンはようございました。この物語の中で淡々とハゲタカになりきって仕事を押し進める鷲津には納得できなくても、ジャズピアニストであり一本筋が通った理由によってハゲタカであり続けた鷲津には納得できると言うことだろうか。あるいはきちんと描かれているので、ここでやっとドラマ版鷲津政彦を無視することができたと言うことか?(だめじゃん)

また芝野健夫がなんかうっすーい感じ。この人の場合この物語の中では鷲津政彦よりもさらに物語の「コマ」感が強く、せっかく鷲津と対比されるべき設定のはずなのに存在感が薄いので、浮いている感じすらすることがあるのは気のせいか? それに引き換え描写はそんなにないものの魅力的なキャラクタなのが松平貴子だ。この人の登場シーンはもっと多くても良かったかも。そしてこの物語の中で一番存在感があったのは脇キャラであるはずの三葉銀行の飯島亮介(ドラマ版キャストは中尾彬)ですよ。このダークヒーロー飯島はちょっと見逃せない。

まあ、そんな訳で今日は早速続編の「ハゲタカ2(上)」「ハゲタカ2(下) 」も買ってきたので、これから読み始めるところだ。あれ? 原稿は一体いつやるんだ?
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コメント
関西弁の小男で「まーくん」でジャズピアニストのファンドマネージャーって!?
そのままでやるとしたら主演は誰だろう?

>ドラマ版鷲津ってコミュケーション能力というか対人スキルが低すぎるんじゃないのか?と・・

ホントそうだよね。
でもその辺は大森南朋のイメージ通りじゃん。口べたでシャイそうなイメージを打ち破り、役者として幅を広げるためにも彼が原作通りの鷲津にトライするってどうでしょ?
それでもKさんが7回見るかは分からんが。

2009/07/19(Sun) 14:14 | URL | oha~ | 【編集
>関西弁の小男で「まーくん」でジャズピアニストのファンドマネージャーって!?

まあ、普段は関西弁は出ないので大丈夫なんだけど、でもなー、鷲津政彦に関西弁は……。いや、やっぱり「まーくん」が……(←しつこい)。

なお、原作版鷲津のキャストは、若い頃の小日向文世とかどうかなと思ったけど、大森南朋でもいいような気がするな。結構原作キャラの方が難しいかもしれないけど。でも原作版鷲津は女たらしだよ。
2009/07/19(Sun) 14:36 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
原作
6月6日の初回の映画ハゲタカを観て
本屋へ行き
まず上下を購入して隣接してるドトールコーヒーにて読んでたら
読み終わったので
Ⅱの上下を購入・・・
で!!
レッドゾーンは文庫本出るまで待とう
として立ち読み読破!!
んで
2回立ち読みしたら・・・
やっぱ欲しいとなり
6月20日にレッドゾーンを上下と購入して
その日にやはり読破

読むのめちゃ早いですけど
何度も読むのです私

続き出ないかなぁ~
そうすれば映画?テレビ版のハゲタカが楽しめるのに

『TV版ハゲタカ』完全ノベライズ本は来週には購入したいけど・・・
何度も立ち読みしてるので(汗)
今月は貧乏なので来月かなぁ~
2009/07/21(Tue) 17:30 | URL | 朋 | 【編集
私の方はこのところ本を読むスピードがすっごく遅くなってきていて文庫本を読み終わるのにも1ヶ月くらいかかることがざらだったんですが、……さっき「ハゲタカII」を読み終わりました。私としては異例の早さです(笑)。

そして、「レッドゾーン」を図書館にリクエストしようかと思ったけれど待ちきれず、一旦Amazonでポチりかけたものの発送が明日になるという表示を見て「そんなに待ってられない!」と、さっきジュンク堂で「レッドゾーン」を買ってきてしまいました。今月は本当にハゲタカにリターンのない出資をし続けております(笑)。

続きもしくはスピンオフの短編は出ているみたいですよね(読んでないから具体的にどんな話だか判ってないですが)。
2009/07/21(Tue) 22:04 | URL | tsumire→朋さん | 【編集
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