シナリオ2009年9月号
本屋でたまたま月刊誌の「シナリオ 2009年 09月号」を見たら表紙に「ハゲタカ」の文字が。おおっ、「ハゲタカ」のシナリオ(の一部)とか載っているの!? と思って見てみたら、映画評でした。「柏原寛司の映画館へ行こう 創り手たちの映画評 ゲスト 鈴木則文(映画監督 脚本家)」という連載もので、脚本家である柏原氏と鈴木氏による最新映画評対談の模様。取り上げている作品は「いけちゃんとぼく」「ディア・ドクター」「真夏のオリオン」「ハゲタカ」「劔岳 点の記」の5本。私は邦画をあまり見ないのでこのおじさん達のポジションが全然わからないのだが、言っている内容からしてこの世界の重鎮なのか? もしかして「踊る大捜査線」でいえば和久さん(いかりや長介)みたいな感じ?

さて肝心のハゲタカ評は概ね高評価な方なのだが(「いけちゃんとぼく」「ディア・ドクター」は絶賛、「真夏のオリオン」は「戦争をセンチメンタルで括ってる」と低め、「劔岳 点の記」は「監督の執念、情熱を感じる」とそれなりの評価の上に脱線し放題)、どうやら絶賛とはいかないものにしている原因として、もっと現実のドロドロした部分とかえげつないところ、金には絶対つきものの酒と女をもっとしっかり入れた方が映画に深みが出るのに、ということのようなのである。

……現場のおじさんたちのささいな言葉尻をとらえて文句言ってちゃダメだとは思うのだが、この「ハゲタカ」にそんなドロドロやヌトヌトが必要なのかな? もちろん、別に「私の鷲津様が女といちゃいちゃするなんて、嫌! 許せない!」というのではなく(笑)、面白くなるんだったら原作みたいに女とやり放題な上に(←非常にお下品な表現です)それで足元すくわれそうになったって、別にかまわないのである。物語として成立しているなら主人公が死んでもそれは仕方が無いと思う。でもさー、この「ハゲタカ」にそんなドロドロって、本当に必要なのか?

そりゃ緑色や青色ばかりの風景画の中に正反対の色をほんのすこし入れるだけで絵に深みが増す事もあるし、あまーーーいおしるこに少し塩を入れる事で甘みだけでないおいしさが引き立つ事だってあるというのはわかる。フェミニスト気味の私も確かにこの映画は女が少なすぎるとは思うけどさ、でも必要なのかな? そんなありがちな現実の話を私達は求めているのかい?

なーんか読んでいるとだんだん眉毛が八の字になってくるのよ。それでもここまではまだいい。でもラストへの言及でちょっと、ですよ。

鈴木 それで主人公がトップシーンの田舎の一本道で佇むところで終っているよね。あれがなんとなくNHK的でね。どうせ、あそこへ来させるなら、資本主義そのものの象徴の中国製の最高級車が砂ぼこりををあげ走って来させたい。
柏原 確かに画的にはいいんですけど、監督(注:ゲストの事)のいうように非常にNHKスペシャル的な画ですよね(笑)。
鈴木 彼の悲しみを引き受けて佇む主人公、で終ると、だからどうなんだよ!ってことになる(笑)。

ちょっとちょっと、おじさん達! 鷲津があそこでただただ劉の悲しみを引き受けてつったってると思ったら大間違いだよ! だいたい中国の山奥に来るのになんで鷲津が着崩しているとはいえスーツを着て来ていると思っているのよ。いくら鷲津でも、ただ単に劉の思い出にひたるためだけになんかあの場所には行かないっつーの。彼は自分が火をつけた焼け野原を見渡すため日本を出て、これからその荒れ地でまた新たな戦いに臨むため、かつていたもう一人の戦士(劉)の志を拾い上げるためにあの地に赴いたの! あそこにいたのはただ単に友を悼む一人の男ではなく、新たな決意を胸に秘めたファンドマネージャー鷲津政彦なの! そこで鷲津は劉一華からの思いも引き継いだの。だから場にそぐわないスーツを着ていやがるし(笑)、だから最後の最後のシーンであの眼鏡をかけて終るの! ……ふぅ。つい興奮しちゃったぜ。

えー、まあ、でもおじさんたちは最終的には「でもまあこの題材をよくちゃんと映画にしましたよね」「お金の、資本主義におけるマネー戦争を映画にして、これだけ面白くするのは脚本も演出もなかなかいいんじゃないの」「色々欠点もありますけど、これで終らずにもう1本、踏み込んで次をやって更に面白くして欲しい」ともおっしゃってます。次の「ハゲタカ」にも期待したいというところは、私も大賛成でございます。
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コメント
>金には絶対つきものの酒と女をもっとしっかり入れた方が映画に深みが出るのに、

え~っ、それはあまりにおじさん的発想じゃない?
批判の仕方が”NHK的”という辺りが、ある意味ステレオタイプだわ~。

とはいえ私も鷲津さんには少々不満があるのよ。私は鷲津さんにはもっと笑って欲しかったわね。作戦通りうまく行ったときに人の見てないところで、にまっ~と笑ったりして、ファンドマネって仕事がなんやかや言って楽しいって感じを出して欲しかったかな?・・・なんちゃって、きゃーKさんすみません、鷲津さんにいちゃもんつけるたぁ、100年早かったか?

そうそう「キネ旬」にもなんか出てたよね。私も図書館でバックナンバー当たってみようっと。
2009/08/04(Tue) 23:30 | URL | oha~ | 【編集
>批判の仕方が”NHK的”という辺りが、ある意味ステレオタイプだわ~。

ま、実際おじさんだから仕方ないのかもね。そんなありきたりなリアルが本当に必要なのかよ、って感じだ。

>私は鷲津さんにはもっと笑って欲しかったわね。

そりゃ私だって鷲津の笑顔をもちろん見たいわよー。でも今の時点ではファンマネの仕事を楽しんでいる感じじゃないよなあ。やりがいはものすっごく感じているし自分にはこれしかないというような思いもあるんだろけどさー。まあ楽しんでいたとしても人前ではそんな表情は見せないヤツなのよ。

>きゃーKさんすみません、鷲津さんにいちゃもんつけるたぁ、100年早かったか?

ふふふ、いいのよ、だって鷲津はまだ生きてるんだもーーーーん。

>そうそう「キネ旬」にもなんか出てたよね。

えっとキネ旬は6月下旬号に映画評(テレビ・タイムトラベラー)と特集(「何故支持される?ハゲタカの魅力を探る」)が、5月下旬号に「ハゲタカ撮影現場ルポ 」が載ってたよ。他に図書館で見られるような雑誌だと、ハゲタカがらみではアエラ6月15日号と日経マネー7月号、日経エンタテインメント7月号に大森南朋インタビューとか載ってたよ。玉鉄は女性誌に結構ひっぱりだこだったみたいね。
2009/08/05(Wed) 00:06 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
こんばんは

映画評論家のおじさん達も
「ハゲタカ」には触れないほうがいいんじゃないかな~等と思ったりしてます。
それじゃ仕事にならないだろうけど、明らかに廃人の方が読み込んでいるし
そんな廃人いっぱいいるもんねー!

ドロドロやヌトヌト(笑)は御自分で妄想して脳内補完してください。
そのために行間たっぷりあるんですからね。
ラストシーンも
ROAD TO REBIRTH~His Wings~拿羽
と来ているのは「逆襲」なのさ!

……ふぅ。私もつい興奮しちゃったぜ。(笑)
って私、その雑誌も読んでいないのに…すみません
 
2009/08/05(Wed) 01:13 | URL | BOOKO | 【編集
おはようございます。

>そんな廃人いっぱいいるもんねー!

ふふ。そうですよね。アニメ映画だとよくあることでしょうけど、この題材のテーマの実写の邦画で、観客がここまで濃いファンになるのが続出ってちょっと考えられない事態ですよね(笑)。

ドロドロやヌトヌトは現場が長いおじさんたちのリアルなんだろうけど、そんなありがちな現実の物語を私達は求めてないつーの!

>ROAD TO REBIRTH~His Wings~拿羽と来ているのは「逆襲」なのさ!

おおお、そうですね、その曲の並びは! 気がつきませんでした(いやはやまだまだ全然見たりない……)。

そういえばBOOKOさんはお盆に新宿に行かれるんですね。私も最終はそこ(あるいは渋谷か?)を目指してみようかと思っております。でも私もレイトショウって行った事が無いので、またもや寝ちゃいそうな予感……。
2009/08/05(Wed) 07:07 | URL | tsumire→BOOKOさん | 【編集
昼間上映していて欲しかったです。
レイトショーは2戦2敗なので…(苦笑)
さすがに休みなので寝ないとは思うのですが(これで寝てしまったら単にお子様体質ということです)
気持ち入れるために、鑑賞前にロケ地でも巡って来ようかしら。
心の中でお花供えてくるとか(笑)
2009/08/05(Wed) 23:10 | URL | BOOKO | 【編集
私もレイトショウは酒を飲んだとき以上に(笑)寝る確率が高そうな気がします。多分私は確実にお子様体質だな。ギリギリまで昼間もやってほしかったですねえ(←昼間見ても寝ていた訳だが)。

>気持ち入れるために、鑑賞前にロケ地でも巡って来ようかしら。

東京・丸の内エクスクルーシブツアーですね。私も多分あともう1回で本当の最後だと思うので、せめてマンダリンを遠くから眺めてみようかなあ。
2009/08/05(Wed) 23:35 | URL | tsumire→BOOKOさん | 【編集
そーだそーだその通りだーtsumireさんのコメントの通りだー!!
「あなたは私なんだ!」tsumereさん、私の言いたい事、全く同じです!
あの、最後のシーンで鷲津が劉に呼びかける幻聴まで聞いちゃったくらいだし(笑)

そして、次回作に続く・・・ですよね!!
2009/08/06(Thu) 00:02 | URL | み~ | 【編集
ふふふ。批評をしているおじさんたちにハゲタカ廃人達の総ツッコミがもし届くようなら、とっくの間にノックダウンしているところですね(笑)。

あのラストを生温い感傷ととらえているようじゃ、まだまだ見方が足りなさすぎですよね。

>そして、次回作に続く・・・ですよね!!

そう、あのラストは「ハゲタカ」第二章のオープニングですからねっ!
2009/08/06(Thu) 00:09 | URL | tsumire→み~さん | 【編集
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