私は映画は映画館で見たい人間である。なので映画「ハゲタカ」を映画館でみるために、全国の映画館上映情報や学園祭情報、映画祭情報、名画座スケジュールなどをしつこくチェックする毎日だ。だから先月中旬、11月の池袋文芸座の上映スケジュールに「気になる日本映画達2009上半期ベストセレクション」の文字を発見したときは、「こ、こ、これはもしや、アレをやるのでは!?」と小躍りしましたよ。しかしその時点では文芸座のウェブページには詳細が載っていないために電話突撃、そしてついに「ハゲタカ」上映の情報をゲットし、スタンリー・BWP調印式の時の劉一華(玉山鉄二)のごとく無駄にほくそえむ私だ(参照:10月18日「11月の映画「ハゲタカ」上映スケジュール」)。

さてその後。私とMackyさんの挑発に乗った(笑)中部地区廃人見習いのsuikaさんが上京して今回のハゲタカ祭りに参戦することになり俄然勢いづく私(勢いづくっつーか、調子に乗っちゃったつーかね)。2日間で4回上映する「ハゲタカ」のどの回を見て、その合間にどこのロケ地巡りをするのか、超アバウトな打合せをしてあっという間に11月23日を迎えることとなった。しかしこの間、うちの近所では新型インフルエンザウイルスが猛威を振るい小学校の学級閉鎖と学校閉鎖が交互に続という事態に。子どもの一番の仲良しさんや、いつも一緒に登校しているおなじみさんが次々とインフルエンザでお休みした時は、「頼むからーーー、11月23日と24日だけはインフルエンザにならないでーーーー!!」と祈り続けていたのは言うまでもない(←ひ、ひどい……)。

今回は直接お会いしたことがあるハゲタカ廃人の方数名にも声をかけて、映画鑑賞後にロケ地めぐりをすることにした。しかしせっかくなので「秋の(ハゲタカ)遠足のしおり」でも作ろうと思っていたものの、色々忙しくて挫折。ま、いっかあと思っていたのに、前日の22日に夕食を外で食べて酔っ払って帰宅したら「やっぱ、遠足はしおりがなくちゃ~」と酔っ払った勢いで夜中の2時頃まで作っていたおバカな私だ。したがって翌日私が一番心配していたのは、初めてお会いするsuikaさんと無事落ち合うことができるのかとか、映画館が満杯で入れなかったらどうしようとかではなく、2ヵ月ぶりの「ハゲタカ」だというのに「(寝不足のため)ちゃんと寝ないで見てられるかどうか」だったのである(←非常に問題な態度)。

そして、11月23日午前10時過ぎ東京駅。初めて会ったくせに昨日も会ったばかりのような会話を交わす2人の廃人が、聖地・池袋を目指したのだった(うち1名は自己申告によると廃人ではないとのことだが、そんなの、自覚症状がないだけである)。この日の映画「ハゲタカ」昼の部の上映開始時刻は12:15、14:30に終了した後は「劔岳 点の記」の木村監督によるトークショーと「劔岳 点の記」の上映があり、その間一旦外に出て茶でもして17:50から「ハゲタカ」夜の部鑑賞、その後はロケ地であるマンダリンオリエンタル東京で茶というスケジュールである。まあ監督ご本人が来るともなればやはり混み合うだろうけど、名画座だしね、もしかすると立ち見になるかもしれないけど、昼の部は仕方がないかも……などと暢気に考えて文芸坐にたどり着いた私達だったが。

文芸坐
入口に「ただ今満席です。お立ち見のスペースもございませんので、現時点ではご入場をお断りしております。15:20「劔岳 点の記」の回からご覧下さい。お早めにロビーでお待ちいただくことをお勧めいたします。」との看板が! はぁ? なんだ、これ? と思って文芸坐が入っているビルの3階に行ってみたらばすっげー混雑ですよ。なんと立ち見待ちの行列がずらーーーっと階段の下まで続いているのである。しかも映画館のスタッフが頻りに「現在非常に混雑してます。立ち見でも入場出来ません。お一人帰られたらお一人は入れますが、どこまで入場のご案内を出来るかわかりません」と言っている。なにーーー! 私が事前に何度も確認した時には「邦画ですからそんなに入りませんよ」などと言っていたくせにーーー。

こりゃダメかも。suikaさんがわざわざ中部地方から来てくれたのにこんなことになろうとは。諦めつつも立ち見待ちの行列に並ぶ。すると弊ブログにコメントを下さる一連の方々も次々と参戦し半ば諦めつつも行列に並び始めた。映画の方は本当なら12:15からのはずなのに余りの混雑のために上映開始が遅れているらしい。じゃ、12:30くらいまで様子を見ながら並んで、ダメだったら茶でもしてましょうかね、などといいつつひたすら待つ。この日の上映スケジュールは9:45「劔岳」→12:15「ハゲタカ」→14:40トークショー→15:20「劔岳」→17:50「ハゲタカ」→20:15「劔岳」という2本立て上映で、午前中の「劔岳」を見終わった客はそのまま昼の「ハゲタカ」も見る可能性が非常に高く、したがって帰る客も少ないはずである。ましてや「ハゲタカ」の後に木村監督のトークショーという本命が待っているのだから、帰る訳がない。

しかし思い切りのいい客も多かったのだろうか。思いのほか帰る客も多かったらしく、私達はなんとか中に入れたのである。それでロビーに長く続いている行列にまた並んだのだが……これがなんと男子トイレ待ちの行列でしたよ。この日の客は見渡す限りの圧倒的な数のお年寄りばかりで、そしてお年寄りはトイレが近いためにその待ち行列がすごいことになっていたのだった。びっくりだよ。男子トイレ待ち行列からはずれてシアター内に入ってみたが、もちろん空いている席などなし。どこの座席も「劔岳 点の記」を楽しみにされているらしいお年寄りで埋め尽くされている。そうかあ、こんなにも愛されているのか、「劔岳 点の記」は。でも「ハゲタカ」だって負けないんだからっ!(←誰に言っているんだよ)しかしなんだ、ハゲタカ廃人の中では高齢者である私だが、この観客の中ではまだまだ若造だったな(←比べる方が間違っている)。

そんな訳で立ち見をせざるを得ないのだが、もう、立ち見が出来るようなトシじゃない(泣)。思い切って床に座り込む。スクリーンがかなり上の位置になってしまうが仕方がない。見られないよりはましだ。しかし今まで映画「ハゲタカ」を24回見て(「ハゲタカ映画祭」を入れたら25回)、色んな見方をしてきたと思っていたが、床に座ってみたのは初めてでしたよ。新機軸?(笑)

そしていよいよ映画本編が始まる。スケジュールが押しているせいで予告編なし。あの懐かしい、東宝のロゴが、nepのロゴが、黒バックに「ハゲタカ製作委員会」の文字が浮かび、「幻鷹」の曲が流れて茨城県湖南省(←違います)の農村の風景が広がる。懐かしい。何もかもが懐かしい……。この夏何度も何度も見た場面。だけどこの2ヶ月見る事がかなわなかった風景が、人物が、場面が目の前に広がってゆく。誰がどんな台詞を言って話がどんな風に進むのかなんてわかりきっている。なのに何度見てもどうしてこんなに新鮮に楽しめるのだろう。乾ききった砂地に水が染み込むように、「ハゲタカ」が体のすみずみに染み込んでくる。ああ、もしかして今度こそ無我の境地で「ハゲタカ」を見る事ができるのかしら。

……あら、鷲津ファンド会議室の中に鷲津(大森南朋)が入って行くとすかさず手下の青年(え?)が鞄を受け取って奥の方にしまいに行く。おや、これは気がつかなかったなあ。おっと、この場面で劉一華(玉山鉄二)の名前の英語の綴りをチェックしておくんだった。うーんと? Liu Yi……おっと見逃した。マンダリンオリエンタル東京の38階から37階、この間通り抜けしたんだったなあ(10月15日「東京・丸の内「ハゲタカ」ロケ地ツアー」)。あれ? 第一ホテル東京の鷲津の立ち位置、記憶と違っていたよ。芝野が劉一華調査報告書を読む場面、デスクの上に乗っている書類の一部に日本語で書かれた手紙があるけど、これは誰が誰に出したことになっている手紙なんだろう。文字から言って女性のような気がするけど。おや? この間常盤橋門跡に行った時に張ってあったロープが緑色だったので「映画の中ではもっと茶色い色だったよねー」などと言っていたのに、映画の中のロープも緑色じゃん。なんだ、映画を見ているようで全然見てなかったんじゃないのか?

……全然無我の境地になんかなってませんでした(泣)。相変わらず煩悩まみれの私です。そして私と来たら、ラスト近くのあの劉の伝言メッセージの時の鷲津の大森南朋に、これだよ、これ、この演技だよっ、台詞が全くないこの場面で、表情だけですべてを語ってくれる、やっぱり大森南朋すげーよ、って感嘆していたはずが、気がついたら電話をかけ直す場面のところで「「笑う警官」のバカやろーー!!」って心の中で叫んでいましたよ(笑)。なんてこったい。夏の間は「ハゲタカ」しか見てなかったけど、この2ヶ月は「サマーウォーズ」とか「南極料理人」とか「フィッシュストーリー」とか色々見た上での、今回の「ハゲタカ」だからなあ。しかも直近で見たのが「笑う警官」……。比べるなと言われてもやはり比べてしまいますわね。意味ねーけど。

さて、「ハゲタカ」が終ったとたんに、「劔岳 点の記」の木村監督が登場して舞台の上にあがり、私達がしみじみする間もなく、すごい勢いでしゃべるしゃべる。どうやら「劔岳」のためにこれほどの客が集まった事が単純に嬉しかったらしく「もう、「ハゲタカ」なくていいから。全部「劔岳」でもいいから」「このあとサイン会をやるけど、「劔岳」の上映が終った後もまたサイン会やるから」なんて言っている。そりゃこんだけの客が集まっているのは「劔岳」のおかげなのかもしれんが、ここにいるのは「劔岳」のファンだけじゃねぇーーー!(数は圧倒的に少ないが(笑))。まったくもう。

こうして11月23日24日と続く「ハゲタカ祭り」の幕は開いたのだった。つづく。
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コメント
そうなんだよねぇ、思わず挑発に乗っちゃったんだよねぇ。もちろんそれで大正解だったんだけど。まぁでも一番の収穫は、tsumireさんとお会いできたことですよ。ほんと初対面にもかかわらず、最初からタメでハゲタカ関連の会話三昧。今までのわたしの人生には無かったことでございます。これは、これまでのブログのコメント欄で培った篤い友情がなせる技なのか、はたまた鷲津中毒という病気による同病相憐れむ的なものからきてるのか分からないけど。(でもこの病気、そもそもtsumireさんからうつされたものだけどね)
それにしても、ほんとひやひやものだったね~、初回の「ハゲタカ」。まさか、「劔岳 点の記」にあんなに高齢の熱心なファンがいようとは!いや~、見通しの甘さでは、映画館のスタッフのことをとやかく言えないわ。(とはいえ、やっぱりわたしも「文芸坐、甘いよ~」と、心の中で突っ込んでたけど)しかも高齢ということは、一回の入場料で二回劔岳を見ようとすると、どうしても途中に休憩(睡眠)が必要になるみたいで、それを「ハゲタカ」上映時間で補おうとするから、いびき一歩手前の荒い寝息や、声の出る大あくびが聞こえてくる始末。そういう意味では、この二本を抱き合わせた文芸坐の罪は重いよね。
わたしも鷲津の鞄は「Washizu Style」で紹介されたものかどうかチェックしてやるぞ~と、あのシーンをガン見してたんだけど、ほとんど映らないうちに、部屋に入っらお約束のように子分がさっさと持っていってしまったので、鷲津、どんだけ荷物を持つのが嫌いなんだと思いました。ドラマの時(大空電気の工場見学)でも、書類ですらすぐ後ろのアランに渡してたから、きっと鷲津にお仕えする人達は、まずここから仕込まれるんだろうなぁとか思っちゃったよ。
それにしてもtsumireさんを見てると、無我の境地と深い愛って両立するのかどうか疑問だよ。もしかして、無我の境地は無関心と親戚かも。
2009/11/27(Fri) 21:35 | URL | suika | 【編集
ふふふ、私もお会い出来て本当に楽しかったです。やはり長年のコメントやメールでのやり取りがあると、初対面でも全然違うんだね。つくづく半年くらいメールで文通していた男女が実際に会ったらすぐに結婚、っつーケースもこりゃリアルなんだなと感心したよ(←ええっ、そこ!?)。

>まさか、「劔岳 点の記」にあんなに高齢の熱心なファンがいようとは

あれなー、確かに11/23は「劔岳」が多かったんだろうけど、11/24を見る限りではもしかするとシニアの文芸坐の固定客と名画ファンも多いのかもね(あの人たち、いつでも1,000円のシニア料金で利用出来るから)。

>無我の境地と深い愛って両立するのかどうか疑問だよ。もしかして、無我の境地は無関心と親戚かも。

えー、「深い愛」を超えた先に「無我の境地」があるんじゃないかと思っていたんだけど、そうか、表面上は「無我の境地」と「無関心」は確かに同じかもな。

なお、今日はやっとTSUTAYAのキャンペーン動画を見つけたので載せときました。音声がない(松村と竹中元大臣達がしゃべっている)のが残念だが。
2009/11/28(Sat) 08:24 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
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