ゴールデンスランバー
友人から試写会のお誘いをいただいて見に行ってきました、「ゴールデンスランバー」。原作(「ゴールデンスランバー」伊坂幸太郎、新潮社)は読んでないし、映画のあらすじすらチェックしてなくて、うすらぼんやりと緊迫感のあるサスペンス物なんだろうなあと思っていたのですが、違いました。そして一昨日の昼飯時にこの映画を見るって話を同僚にしたら、どういう話なのかと聞かれたので「堺雅人が無実の罪で追われて逃げ回る話らしい」と言ったら、私を含めて皆の意見は「逃げなきゃいいのに」でしたよ(笑)。いや、それじゃ映画にならないから。でもまさかあんな風な話とは思わなかったなー。ところで上映開始前に「上映時間は2時間19分になります」とアナウンスされた時は、思わず「ハゲタカ」より長いじゃんっ!とつぶやいてしまいました。

[あらすじ]
「なぜ!誰が!何のために! 首相暗殺犯に仕立てられた無実の男の大逃亡劇、絶望の逃亡者を誰が救えるのか……。野党初の首相となった金田が、仙台市内で凱旋パレードを行うその日、数年ぶりに大学時代の友人・森田に呼び出された青柳は、森田から「お前、オズワルドにされるぞ」「逃げろ。とにかく逃げて、生きろ」という忠告を受ける。爆発音がしたかと思うと、警察官たちが、二人が乗っている停車中の車に駆け寄り躊躇なく発砲する。青柳は、反射的に地面を蹴り、仙台の街中へと走り出す……!」(東宝映画紹介ページより)

1月30日(土)の公開まで沈めとこうかと思ったんですが、30日ってもう明後日じゃん。っつーことで気にせず書いてますよん。ネタバレを含むため折り畳みます。まだ映画を見てない、よいこは見ちゃだめだよおお。
緊迫感のある、ハラハラドキドキのジェットコースターサスペンス……かと思ったら、なんというか、逃亡ロードムービー? 逃亡劇にしちゃあ不思議なテンポの映画なんだけど、でも別にモッタリとしているわけではないし、第一この映画のテーマを描くために必要な"間"(のりしろ??)がしっかり描かれている。極上のまどろみという意味の"ゴールデンスランバー"が、今回の主人公青柳雅春(堺雅人)の学生時代の日々を指すのと同時に、ちょっとへんてこなリズムでとんとん拍子で進んで行くこの逃走行自体のことも指すんだろうなあ。しかし堺雅人、走りまくり。大変なお仕事だなー。

ちなみにタイトルの「ゴールデンスランバー」は、ビートルズの事実上のラストアルバムと言われている「Abbey Road」に収録されている「Golden Slumbers」から来ている。そしてこの物語は、ビートルズのメンバーが4人で構成されていたように、学生時代のサークル仲間、青柳雅春(堺雅人)、樋口晴子(竹内結子)、森田森吾(吉岡秀隆)、小野一夫(劇団ひとり)の4人が核となって物語が進む。

あちこちに散りばめられた伏線が本当によく効いている。細かいところまで神経が行き届いていて、きちんと作っている作品なんだと思う。まあ、無実の罪で追われて逃げまくるって大筋で、一瞬「笑う警官」を思い出した私を許してくれ(笑)。

また、渋い役者さん達がすごくいいですよ。主人公・青柳を執拗に追いつめる刑事・佐々木役の香川照之(仕事しすぎだよ)、青柳の父親役の伊東四朗(このとーちゃんはいいですよ)、手助けするヤクザ(?)役の柄本明、花火屋のオヤジのベンガル、青柳の先輩ドライバー役の渋川清彦(「外事警察」次男だっけ?)などなど。まあ大森南朋も竹内結子(樋口晴子役)の夫役で出てるけど、ほんの一瞬なので大森南朋目当てで見に行くと当てが外れる事確実。そして連続殺人犯・キルオ役の濱田岳の存在感。自由自在に飛び回りほんの気まぐれで青柳を肝心なところで助けてくれる小さな魔法使いのような男。殺人犯なのに非常に魅力的なキャラでした。

しかしね、エレベータの中の男、誰だっけ? 誰だっけ?と思ったら、エンドクレジットに「滝藤賢一」と表示されてて、これかーーーーーーっ!と納得。映画のハゲタカ廃人にはおなじみの役者さんですよね。映画「ハゲタカ」のDVDオーディオコメンタリで大森南朋が「僕、この間共演しましたよ」って言っていた作品は「ゴールデンスランバー」だったのか。共演って……ほんの数秒だけど(笑)。あ、滝藤賢一も「外事警察」(三男?)か。

結局、なぜ青柳が犯人に仕立て上げられたのかとか、犯人は誰だったのかという謎はこれっぽちも解決しないし、解決しないまま青柳が逃げ切って別人として人生を送ることになるというラストに、サスペンスミステリー好きとしてはすっきりしないものを感じないでもないが、でもこれは結局サスペンスミステリーが一番のテーマではないのだから仕方がないんだろうなあ。青柳が言っていたように「僕の武器は信じること」を描いた作品なのだとすると、その「信じること」を、「信頼するということ」「人と人とのつながり」をちゃんと目に見える形で表現して、作品として完成させたのはやっぱり見事なんだと思う。ま、やっぱり真相は知りたいと思うけどね。

じゃもう1回みたいか? と言われたら? うーん。脇の俳優さんたちやキルオがよかったし、逃亡の仕掛けも色々面白かったし、笑わせどころも結構沢山あって楽しめたし、そこの部分は見てみたいかも。
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テーマ:邦画
ジャンル:映画
コメント
おお、わたしも試写会の抽選に当たって見てきましたよ。(確率的には絶対に「笑う警官」が当たって、こちらが外れると思ったのに、分からんもんですなぁ)
わたしもおもしろかったです。堺雅人は嫌いじゃないし、伊坂幸太郎原作というところにも惹かれたんだけど、そもそもは、映画の冒頭部分15分をネットで無料公開してたときに見て、興味があったんだよね。(大森南朋の父親振りが大変自然。ほぼこの部分で出演終了だけど。で、当たり前のことながら、いいところで無料分は終わったけど)
わたしは永島敏行が不気味で良かった(笑)何されても死なないような感じ。で、ネットで一度冒頭部分を見ていたせいかもしれないけど、試写会で二回目となる最初のエレベーターのシーンを見たときに、すぐに滝藤賢一が分かっちゃった自分が恐い(この時点ではほとんど顔が出てないのに)。これって、「龍馬伝」で、半平太の頭頂部を見ただけで気づいたのと似てる………いや、ちょっと………今、手一杯なんですけど………
見てない方には、映画館に行くことをお勧めします。(でもわたしももう一回見に行くかと言われれば、ウ~ン………)

ところで奥様、先日リンク貼ってくれた「正しい土下座 ラーメンズ偏」、めちゃめちゃ面白くてあのシリーズを続けて見てたら、そのままラーメンズにもはまっちゃって、最近YouTubeばっかり見てるんですけど。

2010/01/29(Fri) 07:51 | URL | suika | 【編集
まぁ、ということはtsumireさんもよみうりホールにいらしたんですね?
me,tooです。

原作を読んだとき、禁じ手に驚いちゃって、
まさか、そのまま映画化になるとは思ってなかったんですが、ほぼ、そのままでした。
赦されるんですねぇ、こういうストーリー。

回りの役者さん方は、ホント素晴らしい!いい仕事してます。
伊東四朗さん、ホントいいですねぇ。
でも、ああいう形で息子を失って、これからの人生、どうなんでしょう・・・

映画は原作より若干わかりやすくなってると思います。
南朋さんの役は、原作の方が1.1cmくらい深いです(←ビミョーですが。)

面白かったんで、1回は見たほうがいいと思います。2回はねぇ、suikaさん?
ま、私は前売りを買ってあるので、見に行きますが。
2010/01/29(Fri) 14:58 | URL | Macky | 【編集
そういえば堺雅人、主演で、しかもスクリーン内をあんだけ縦横無尽に走り回っていたのにすっごく印象が薄いわ~。なんでだろう。脇が手堅すぎるから? それともやっぱり私が堺雅人に興味がないからか。

>わたしは永島敏行が不気味で良かった

おお、すっかり忘れていたよ。なんかあの永島敏行は「怪演」という言葉がぴったりだったねー。「ターミネーター2」を思い出したよ。

>すぐに滝藤賢一が分かっちゃった自分が恐い

あらー、奥様、店を広げすぎなんじゃあございませんか(笑)。

>先日リンク貼ってくれた「正しい土下座 ラーメンズ偏」

あ、忘れてた。他のシリーズも見ようと思ってそのままだった。あのシリーズいいよね。私もちゃんとチェックしてみようっと。そういえば昨日は同僚のNさんに「今、"やや嵐"にハマっているの」と言われてYouYubeで見ようと思ってこれも見るのを忘れてたんだった。
2010/01/29(Fri) 21:29 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
来週末くらいに観に行きたいと思っているので、岩崎弥太郎なみの意思の力を発揮して、後半のご感想や、皆様のご高見は未読の、良い子な美冬です。
もう、上にスクロールしたくてしようがないのを我慢しとるぜよ。

でも、コメント投稿フォーム欄に下りて来る途中に、皆様の間に漂う冷たい空気が感じられ、公開が迫るにつれて膨らんでいる私の心配に、更に拍車がかかっております。

お気に入り(ファンとは言えない超ゆるゆるレベル)の堺雅人さんの主演映画、ぜひ観たいと思って、ずいぶん前から楽しみにしていました。
が、例の「笑うせえるすまん」じゃなくて何だっけ?…えーと…というくらい記憶を消去したい某映画のトラウマもあり、なんだか怖いんてすよ。
「笑う…」では、作品について、ある程度、事前に覚悟が出来ていたのですが、今回は作品として、というより堺さんが活かされているか、という点が心配で。
残念な仕上がりになっていて、tsumireさんに一刀両断されていたら、どーしよー。

しかし、公式HPのキャストのページを見ただけで、地味に渋くて豪華なメンツなので、これだけでも一見の価値アリ、と期待しているのも事実。
先日、『徹子の部屋』に堺さんが出演した際に、徹子さんが絶賛していたパパ役・伊東四朗さんが楽しみだし、世界一忙しい俳優・香川照之さんがまたまた働いてるし、柄本明さんとか、ベンガル(さんざけだとヘンなので呼び捨て)とか、クセモノが揃っているし。
で、キャスト紹介のページの隅々まで見ると、およよ、『外事警察』でも『ハゲタカ』でも気配を消してグレイトな仕事ぶりを見せていたタッキー(笑)も出演してるじゃないですか。
おー、ますます気になる。

で、ですね。
こうなってくると、主演の堺さんは元々、アクがない薄めの方なので、周囲の濃さに負けてるかも?って、とっても心配なのですよ。
『ジャージの2人』でも『南極料理人』でも『クヒオ大佐』でも、全く心配なんかしなかったのは、これらのような小ぢんまりした(褒め言葉)作品で、ひっそりじんわりと演ってこそ、堺さんが活きるような気がするので、『ゴールデンスランバー』みたいな、大掛かりな娯楽大作で走ったり潜ったりする主役は馴染まないんじゃないか、と。
…ああ、心配…。


監督が、どこぞのイイタビューで、「青柳は、周囲の人が自然と助けたくなるような人柄が滲み出る人でないとダメ、ということて堺さんを起用した」とおっしゃっていたので、そこがこの映画と青柳という役のキモなのかな…と思って、覚悟を決めて、心頭滅却の心境(オオゲサだな)で観に行きたいと思っています。
観たら、即、tsumireさんのご感想を確めてみたいです。
…でも、やっぱり心配です。
すみません、心配のあまり、いつも以上に意味不明なコメントで失礼しました。

2010/01/29(Fri) 21:50 | URL | 美冬 | 【編集
近所のシネコンで2月末まで年賀状持ってくといつでも1000円というサービスをやってるので、1月だけで4本も映画を見てしまったヒマ人oha~です。

堺雅人、私の身内に約一名、山南さん以来のファンがいて、つられて私も親しみは持っているものの、私の中では「怪優」なんだよね。
初め見たとき、「えっこの微笑みどういう意味!?」「えっなんでここで笑ってるの?」とすごく面喰らった俳優さん(笑)。
あっ美冬さんすみません。決して嫌いじゃないんですよ(笑)。
彼の経歴は知らないけど、ヤンキー高校とかヤクザの世界とかにいたら、「なにニヤニヤしとるんじゃー!」と胸ぐらつかまれてボコボコにされそうなタイプに見えるのに、なぜかいつもいい役振られてる不思議な俳優・・という感じ(笑)
堺雅人・・・不思議なヤツ。
早速来週1000円で見に行こうっと♪


2010/01/29(Fri) 22:41 | URL | oha~ | 【編集
ふふふ、残念ながら私は新宿の厚生年金会館でした。「ゴールデンスランバー」、直前試写会の数も多いように思うし、無料公開映像(最初の17分全部)といい、結構景気よく宣伝やってますねぇ。

>赦されるんですねぇ、こういうストーリー。

もしかしてそのためのあのテンポ、なのかもしれんですね。小説もあの映画と同じ筋立てとしても、小説ならアリだとは思うけど、あれを映画でやるのはとんでもなく難しいですよね。少なくとも通常のリズムで作られたのなら(通常の収束を期待されちゃうから)、納得できないんじゃないのかなあ。

>南朋さんの役は、原作の方が1.1cmくらい深いです

ふふふ。少なくともあの映画のあの登場ぶりじゃあ、原作の方でどう深くなっているんだかまったくわからんです(笑)。

>2回はねぇ、suikaさん?

まあ、時間がまた2時間19分と長いしなー。
2010/01/30(Sat) 08:15 | URL | tsumire→Mackyさん | 【編集
大森南朋愛爆発のMackyさんといい、堺雅人しみじみ愛?の美冬さんといい、生身の愛する人を見守ると言うのは実に神経がすり減るものみたいですねぇ(笑)。体力気力のない私にはもはや無理なのかもしれんです。

>皆様の間に漂う冷たい空気が感じられ

ふはは。大丈夫ですって。私も含め、皆さんちゃんと面白がってますから。「母」の心配には本当に限りがないですね。

>残念な仕上がりになっていて、tsumireさんに一刀両断されていたら、どーしよー。

えー、なかなか「笑う警官」レベルまで行く作品はないですよ。そういう意味でやっぱり「笑う警官」はすごいのかもなあ(あれ?)。ましてや「ゴールデンスランバー」はちゃんと作品として完成されてますから、安心しみていいですよ。ただ最後の方のアレに(自粛)

私は堺雅人には興味はないので、ついついいつものように脇キャラやジジィキャラの方に目が行ってしまいますけど、確かに「周囲の人が自然と助けたくなるような人柄」が出ていていいんじゃないですね。だから他の役者さんと比べてみて薄いように思われても、この作品のテーマからいったら主演俳優の個性が強すぎるのもダメでしょうから、それはそれでいいんじゃないんですかね。

>『ジャージの2人』でも『南極料理人』でも『クヒオ大佐』でも

こんだけ見てて「ファンとは言えない超ゆるゆるレベル」? しかもこんだけ心配してて。相変わらず自己認識が甘いぞっ!(笑)

>観たら、即、tsumireさんのご感想を確めてみたいです。

すみません、大したことは何も書いてないです。いつもと同じです(笑)。私は美冬さんのブログの堺雅人絶賛レビューを楽しみにしています(うふ)。
2010/01/30(Sat) 09:27 | URL | tsumire→美冬さん(ネタバレはないですよ) | 【編集
>近所のシネコンで2月末まで年賀状持ってくといつでも1000円というサービス

おおお、そういえばそういうサービスがあったね。すっかり忘れていたよ。
http://www.tohotheater.jp/campaign/campaign00000086.html
じゃあ私ももう少しあちこち行ってみようかなー。

>「なにニヤニヤしとるんじゃー!」と胸ぐらつかまれてボコボコにされそうなタイプに見える

なるほど、素晴らしい表現(笑)。私は堺雅人が出ている映画ってあとは「南極料理人」くらいしか見た事ないけど、結構連続殺人犯役とかイケそうだと思うな。あの濱田岳がやったキルオの大人役とか。
2010/01/30(Sat) 12:07 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
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