龍馬伝 第8回
龍馬伝第8回(2月21日放映)。今回は弥太郎(香川照之)と龍馬(福山雅治)の友情(??)物語が柱かと思ったら、今回の目玉は吉田東洋(田中泯)! ……しかしそうきたか。「わしは殴ってもええがじゃ。わしは天才じゃき」。うひゃーー。凄まじいまでの迫力と傲岸さ。ここを見るとちゃんと描くべきところはちゃんと描いていて脚本悪くないと思うんだけどなー。もしかして福田さんは武市半平太(大森南朋)を描くのが苦手なんじゃなくて、嫌いなんじゃないのか?(笑)

[あらすじ]
「弥太郎(香川照之)の父・弥次郎(蟹江敬三)は、治水をめぐって庄屋と大げんかをする。龍馬(福山雅治)は弥次郎が男たちに殴られているのを目撃し、岩崎家の問題にかかわることになる。弥太郎は江戸から駆け戻り、奉行所に庄屋の不正を申し立てるが相手にされない。龍馬は弥太郎を誘い、土佐藩の有力者である吉田東洋(田中泯)に直訴する。しかし、東洋にもとりあってもらえず、弥太郎は奉行所の門に不正を訴える落書きをする」(NHK番組表より)

ま、今回はまるでマンガみたいだった弥太郎、おざなりだった半平太シーン、圧倒的など迫力だった吉田東洋、につきる。

弥太郎父(蟹江敬三)の怪我を知って江戸から土佐まで駆けつけた弥太郎の早回し描写がまるでマンガみたいでナイス。この描写とこの後の親子のシーンとの対比もまたいいですね。先週の加尾(広末涼子)に振られたシーンや今回の早駆けシーンのマンガチックな描写といい、全体のまったり感といい、これが今回の演出さん(渡辺一貴)の特徴?

いやま、弥太郎には純粋に楽しませていただいてます(えらそー)。これは香川照之が本当に岩崎弥太郎をしっかり掴んでて見せてくれるだけじゃなくて、この香川弥太郎に脚本も演出の方々もすっかり引っ張られているもんね。スタッフもこの香川弥太郎に魅せられているのがよくわかる。ノリが違うよ。弥太郎が剣をとっくのまに捨てている様なんかも、刀がさび付いて鞘からなかなか抜けなかったり、本来なら武士の魂であるはずの剣で門扉に落書きをしたあげくに売り払ったりしているという様で描いちゃってていいですよ。門に刀で落書きをしているときは「ノミとか彫刻刀でやった方が効率的だよぉ」と思ったけど、ここはあのさび付いた刀でやることが重要。また弥太郎を見守るファンキーな弥太郎父もいいけど弥太郎母(倍賞美津子)の眼差しがいいですよね。

しかしなんだ、それに対して今回の龍馬ですよ。中途半端に女に期待もたせて待たせる優柔不断なヤなやつー(あら、こういうのを「優しい」って言うんだったかしら)。それにすぐ人に影響されてあっちフラフラこっちフラフラしててさ(あ、これは「柔軟性がある」ってやつだったっけね)、まあまだ若い(ということになっている)からしかたないんだろうけど、迷って悩んで逡巡しているというよりも、なーんか流されている感じがするんだよなー。軽いから? 薄いから? せっかく常に恵まれた境遇にあるものの居心地の悪さが描かれていたのに、福山龍馬からはそこんとこがあんまり見えてこないんだもんなー。弥太郎がやりすぎな感もあるからさらにそう見えてもしまうんだけどさー、今回は弥太郎に便乗して龍馬の存在感を出せるいいチャンスでもあったのにー。大河ドラマの主役をやるって本当に大変ねー(棒読み)。

さて半平太ですよ……。このおざなり感は一体何かしら。弥太郎に色んな意味で反感を持っているから助けたくない気持ちはわかるけど、それをさー、「弥太郎に関わって何の得があるかじゃ」ですと!? 攘夷論で拒否するならまだしも損得勘定で弥太郎を拒否するのは半平太のキャラじゃないぜよ!! 「こんまいことに関わっちゅう暇はないぜよ」……ほんにこんまい男になっちゅう……(泣)。でもって「わしには120名を越す門人がおる。土佐一番の道場主が江戸に剣術修業に行きたいといえば、藩もほんなら行って来いと言うがじゃ。それどころか金まで出してくれたぜよ」ですってよ。前に弥太郎に「龍馬が帰ってきたら弟子はそっちの方にみんな行っちゃうよーん」って言われていたから龍馬に対してもライバル意識をもやしているんだろうけどさー、もうここのところは花のお江戸で天狗になった鼻っ柱を思いっきりへし折って反省させるための前フリ?とでも思わなきゃ納得できないぜよ! 婆さま(菅井きん)だけでなくわしらもあの半平太には泣いてるよ。

龍馬が光で半平太が陰ならば、きちんと陰を描いてこそ光の部分も輝いて見えるんじゃないのか? あのあまりにもステレオタイプで平坦な、つまらない国粋主義者像は勘弁して~。

……で、気を取り直して今回のメインイベント、吉田東洋。一番最初に見たときはびっくらこいて「えーーーっ! 半平太に殺されても仕方がない人物ってことにしちゃうの!?」とか単純に思ったですが、2回目によく見たら全然違いました。まず押しかけてきた龍馬と弥太郎の人となりを知らないのにも関わらず(それぞれ文武の文の方の秀才と武の方の秀才の噂ぐらいは聞いていたかもしれないけど。さらに弥太郎の意見書も読んでいたかもしれないけど)、何も持っていない弥太郎には「おぬしは何を持っちゅう」、迷ってふらふらしてて何も出来ていない龍馬には「おぬしは何が出来る」と聞いている。この人は鷲津みたいに物の本質を見抜くことに長けているんでしょうね。

まあ、「わしは天才じゃき」というご発言には本当に圧倒されて、テレビを見ているときにひっくり返りそうになりましたが(笑)、その後の「何の力もないもんは黙っちょるしか仕方ないがじゃ。それが世の中ぜよ」という東洋の台詞ですよ。「何の力もないもんは黙っちょれ」ではないんです。そういう世の中であるとクールに淡々と言っている。あの顔で言われると「黙っちょれ」と言われたような気になるけど(笑)そうじゃない。これはさー、物の本質を見抜ききっている東洋の俯瞰の台詞でもあるんだね。でも東洋はそこで立ち止まったりはしない。お殿様(近藤正臣)は自分を必要としているはずと確信して蟄居している。すっげージジィだ、吉田東洋。

でさ、ここを見ると脚本はちゃんとしているんじゃねーの?と思うんですよ(超エラソー)。これは田中泯や演出の力だけではない場面です。そしたらさー、なんで半平太はああなのよ。やっぱ嫌いなんじゃないの?(笑)。あーあ。来週は結構半平太の登場シーンが多そうなので、もうちっくとちゃんと描いていてくれることを期待してみるぜよ。
関連記事
テーマ:龍馬伝
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
>弥太郎の早回し描写がまるでマンガみたいでナイス。
>「わしは殴ってもええがじゃ。わしは天才じゃき」。
わたしの中では、今週はこの二つのフレーズで語りつくされた感あり。
まあ、龍馬はいつもどおり透明感溢れた感じだったけど(出来るだけ福山ファンを刺激しない表現を試みてみました)、半平太………(泣)
ばさまを置いて江戸へ行くのは、侍のすることではないのではなかったのか?それでも行かざるをえない、理想に燃えた、あるいは切羽詰った状況には全然見えなかったよ。道場も評判いいし、藩から許しも出たし(当然!って顔してたな)、「ぼちぼち行くか」みたいな軽いノリで出立したように見えたなぁ………
いくら大森南朋が誠実に武市半平太を演じようとしても、脚本が誠実に書かれてないから、我々半平太ファンクラブのメンバーは、ハンカチをかみしめて悔し泣きするしかないよね。今のところ完全に半平太さん、ブレてます。(まさか脚本家、わざととか言うんじゃないだろうね?)
それにしても奥様、二回みると東洋はそんな深いことを言ってたんだということが分かるんですか。わたしゃ一回しか見てないので、「えーーーっ! 半平太に殺されても仕方がない人物ってことにしちゃうの!?」という奥様の初見時の感想と同じことを思ってこの回は終了しちゃってましたが、そうかぁ、見直すとそういう深い見方も出てくるわけかぁ………
来週からはいよいよ江戸で黒ボスの片鱗が現れてくるみたいだけど、半平太、今のところ愛されてないからなぁ、どうなんだろう………不安。
2010/02/25(Thu) 00:18 | URL | suika | 【編集
食事中見てたんだけど、弥太郎の涙と涎と鼻水全開シーンに思わず「うっ」と箸を落としそうに(笑)

半平太、たしかに魅力的ではないけれど、考えてみれば情報も少ない何百年も封建思想でやってきた中、龍馬や弥太郎や東洋がものすごく特殊な人たちな訳で、半平太が正しい江戸時代人な気もするぜよ。
まぁ、ここ(tsumire宅)は初めから趣味と発想が特殊・・・あわわ。

主役の福山龍馬にもたまには言及すると(笑)、昨日会った主婦仲間は福山を褒めちぎってたし、私も「ガリレオ」の時の福山はムカつくが、このフラフラと人のいい福山龍馬は許せる。
なんといっても透明感溢れてるのがナイスね(笑)
うん、今度から福山ファンの友人と会う時は「透明感溢れる」、このフレーズ使えるね!suikaさん♪

2010/02/25(Thu) 12:15 | URL | oha~ | 【編集
>oha~さん

あざーす♪ヾ(*^。^*)ノ
2010/02/25(Thu) 13:52 | URL | suika | 【編集
>龍馬はいつもどおり透明感溢れた感じだったけど

大人になるとこういう言い回しが出来るっていうのもすんばらしいわね。透明感溢れる主役かー。大河やるって本当に大変だな(笑)。

>今のところ完全に半平太さん、ブレてます。

本当だよ。このままで突っ走る気かなあ。せめて大友Dならもう少しなんとかして見せてくれるような気もするけど。まあ大友Dは大友Dで話をすっとばしていきなりだったりする事もあるけどさ。あるいは「ハゲタカ」と「外事警察」の演出をやった堀切園Dとか。

>そうかぁ、見直すとそういう深い見方も出てくるわけかぁ………

見れば見る程妄想の度合いが増してくるんだよ。一応毎回、日曜8時と10時と土曜の再放送をリアルタイムで見るようにしているけどさ。

>半平太、今のところ愛されてないからなぁ、どうなんだろう………不安。

半平太の行動に胸を痛めるんじゃなくて、描かれた方に胸を痛めるって間違っているよなー(はぁ……)。
2010/02/26(Fri) 07:26 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
>食事中見てたんだけど、弥太郎の涙と涎と鼻水全開シーンに思わず「うっ」と箸を落としそうに(笑)

今回は弥太郎が主人公なんすから食事中に見ちゃダメ。あと二日酔いとか病み上がりの場合も見ちゃダメ(笑)。

>半平太、たしかに魅力的ではないけれど、考えてみれば情報も少ない何百年も封建思想でやってきた中、龍馬や弥太郎や東洋がものすごく特殊な人たちな訳で、半平太が正しい江戸時代人な気もするぜよ。

いやいや、奥様、半平太がキレまくって攘夷思想で突っ走っちゃっていたりするのがいかがなものかとか、ラブリーまさひこちゃんと違って全然魅力的じゃなくってそんなのいやーん(笑)とかいう問題じゃあないっす。

どんなキャラでもOKなのよ、ドラマなんだから。でもさ、それを納得させるためにはちゃんとディテールを描いてほしいわけですよ。別に来週いきなり切腹でもOK、でもそれを納得させるための描写はちゃんとしてくれという話っす。今のままじゃただのキレキャラ、ただの井の中の蛙。もちろん当時の日本人はほとんどが井の中の蛙だったわけだけど、だからといってそのほとんどの日本人がみんなテロリストになったかというとそうじゃないわけじゃないですか。やはり半平太は当時の日本人の中でも、龍馬や弥太郎とは違ったベクトルで普通じゃなかったんですよ。

それでも半平太が特殊な人ではないというのなら他の普通の人がどうなのかをちょこっと入れる、あるいは普通の人がいかに普通じゃなくなっていくのかをもう少しちゃんと描写してほしい。または半平太の突っ走りぶりが時代的にそれはもうどうしようもないものだったという時代背景の描写を、もう少しだけ丁寧に描写してほしい。あんなに真面目で婆さま思いの半平太が家族を捨てていきり立って江戸に行かなきゃならないというなら、半平太の内なる何かが変わってしまったとか、あるいはそうせざるを得なくなるほどの何かをちゃんと描いてほしい。そこらへんがさー、全部おざなり。だから納得出来ねえのよ。

なもんで半平太がただの平坦な書き割のキャラになってしまっている。でもこのドラマの中の半平太の位置って、その他大勢じゃないでしょ。激動の幕末を生きた正反対の立ち位置の2人と、その2人と全く被らない、全く違うものを目指した男が結局最後に一人生き残って、この時代と人を語っているわけざんしょ。このドラマの核の部分に位置するキャラなのに描写がすっげー浅いのが残念だぜよ。

>このフラフラと人のいい福山龍馬は許せる。
>なんといっても透明感溢れてるのがナイスね(笑)

ああ、そーねー。それはじゅーよーかもー(え? 棒読み?)。でも私はたまに本当に気の毒になるけどね、あの溢れる透明感が(笑)。
2010/02/26(Fri) 20:46 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
ども。
孫のことで気を揉んで、どんどん老け込んだり、ぶるーうぉーるさんと一緒にヤケ喰いして(笑)メタボが心配になってる婆です。

>>半平太の行動に胸を痛めるんじゃなくて、描かれた方に胸を痛める

そうなんすよ!
私は、あの第1回の半平太が、どういう外因内因があって、どういう道程を辿って黒くなってくれるのか、それも、ただの殺人司令塔でなく、魅惑の黒いカリスマになって欲しいと、楽しみにしているんですよ。
なのに、急に扱いが雑になった感じで、あれじゃ「龍馬が江戸にいない間に半平太さんは人が変わってしまいましたさと。」てな感じ。(笑)
そう思っちゃうくらい、今の半平太に厚みや陰影をつけて人物を造ろうという気持ちが、脚本面でが薄くなっているような気がするのです。
江戸に出てからの暗躍開始で、ぜひぜひ厚みのある武市半平太を描いていただきたい。

>>今回のメインイベント、吉田東洋

天才だから何をしてもいいって聞いた時にはプッ飛びましたが、同時に「カチョエエー!やっぱ、この人、破格だね」と唸ってしまいました。
冷徹なリアリストであるところ、だから偏見や非合理なことには囚われないところも、鷲津と共通してますね。
だからこそ、龍馬と弥太郎に会って、あの「それが世の中ぜよ」という言葉が出たわけですし。
こりゃ、今のままの半平太像では、かなわない。
きっと、今の半平太だったら、東洋に何を言われても、その真意がはかれないでしょうからね。
だらか、暗殺?うーん。
江戸で急伸していただかないと、婆の寿命がもたん。
あ、でも次回から江戸編だから、ピエールの出番が増えそうで、それはちっくと嬉しい。(笑)
2010/02/27(Sat) 00:57 | URL | 美冬 | 【編集
>ぶるーうぉーるさんと一緒にヤケ喰いして(笑)メタボが心配になってる婆です。

あら、私の体重が増加してるのももしかして無意識のうちにヤケ食いをしていたのかしら(違)。

>あの第1回の半平太が、ただの殺人司令塔でなく、魅惑の黒いカリスマになって欲しいと、楽しみにしているんですよ。
>なのに、急に扱いが雑になった感じで、あれじゃまるで何かが憑いている(笑)としか思えん。

そうだよねえ。がむしゃらにどん底から這い上がる超上昇志向の弥太郎や、広く物事を水平視線で見渡してあちこちふらふらチャレンジしていた龍馬とは違う人物像がここにある。だからこそこの大河でこの3人をメインのキャラに据えた意味もあるわけで、いわばこの3人で構成している三角形で成立しているようなものなのに、その一角がいまグダグダになっている。

弥太郎や龍馬が特別な人だったのは確かで、半平太も歴史を見ればとんでもない人物だった。でもoha~さんが言うように、当時のあの状況では攘夷思想は一般的な考え方であって、出発地点の半平太は確かにごく普通の江戸時代の人だった訳ですよね。

極端な例え方をするなら、体の中に異物(外国人)が入ってきたら、免疫機能が正常に働いていれば白血球がそれを排除する(攘夷)のは当たり前の事。白血球にとっては体の中(日本)だけが全てだから、その異物が実は薬だったり移植臓器だったとしてもまずは排除する。でもそれが正常に働かずにどんどん体の中の正常な部分まで攻撃し巨大化し癌化していったのが半平太じゃないっすか。そこの経過をちゃんと見せてくれよって話です。

>なのに、急に扱いが雑になった感じで、あれじゃまるで何かが憑いている(笑)としか思えん。

いやほんと。でも昨日の大友Dの第9回はさすがでしたね(ま、昨日まで風邪引いて寝込んでいてうすらぼんやりと見ていたので、あともう1回見ないと感想は書けないけど)。

>だからこそ、龍馬と弥太郎に会って、あの「それが世の中ぜよ」という言葉が出たわけですし。

あの時代の人にああいう台詞を言わせて(もちろんドラマだからだけど)ああいう人間像を表現するというのには感心させられたけれど、それにひきかえ半平太ですよね~。はぁ。

>江戸で急伸していただかないと、婆の寿命がもたん。

江戸の桃井道場で何かが目覚めるという話なのかと思ったら、あっという間に土佐戻り! 弥太郎と言い半平太と言い江戸滞在期間、短っ! でもまあ、昨日は短くても半平太の迷いとか葛藤が見えてようございました。どうせなら全部大友Dがやってくれ。

>あ、でも次回から江戸編だから、ピエールの出番が増えそうで、それはちっくと嬉しい。(笑)

ピエールは龍馬に多大な影響を与えた人物みたいだからこれからもちょくちょく出てきますよね。それよかびっくりしたのは弥太郎が入っていた牢屋ですよ。寝ながら見てたのについ心の中で「中延さん、キターーーーーッ」って叫んじゃった(笑)。 のちのち弥太郎の片腕になって登場してくれるともっといいんだけど。
2010/03/01(Mon) 06:44 | URL | tsumire→美冬さん | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック