龍馬伝 龍馬伝 第28回
龍馬伝 第23回 龍馬伝 第3回
前回、「龍馬伝 第28回」を見たときの感想がかなりグダグダでちっくと反省していたのだが(7月12日「龍馬伝 第28回「武市の夢」)、もう1回だけ見て別記事で、この半年さんざん悪態付きながらやっぱりも楽しませてもらった感謝をせめて書き残しておこうかと思ってぼんやりしてたら、昨日は土曜日だったもんで「龍馬伝」の再放送が始まったのね。それで武市半平太(大森南朋)も岡田以蔵(佐藤健)もこれで見納めだなと思いつつ(そりゃ大河ドラマ最終回お約束の走馬灯シーンでは出てくるだろうけど)見た訳ですよ。すると、日曜の夜に見たときよりは随分とすんなりと見ることができました。

まずは毎回思っていたけど書き忘れていた事を何点か。半平太が入っている牢屋がね、やっぱり何度見てもいいんですよ。天井もまた格子になっていて、中に入っている囚人が籠の中の鳥のようであり、それを常に俯瞰で撮っている。美術とカメラと演出が脚本よりもずっと歴史を見つめる視線で撮っている(作り上げている)ことを感じさせる牢屋の作りですよね。だから半平太さんがこの牢からあの白い衣装で出て行く時に、それはこの牢からの解放であると同時に、すべての物から解き放たれて最後を全うするのを感じさせてくれました。美術さん、照明さん、カメラさん、グッジョブ。

また、半平太さんのあの白い衣装がいいですよね。普通の時代劇の切腹場面では全身真っ白の場合が多い訳ですがここではあの衣装、浅葱色の入った裃に真っ白な熨斗目で立ち上がった姿が毅然としていて、そして真っ白だけの衣装よりもずっと立体的になおかつ非常に美しく見えるんです。今までの格好がどこぞの新興宗教の悪教祖みたいな容貌だっただけに(←ヒドイ)、対比ぶりがまた映えますよね。

そういや半平太さんは今まで着ていた衣装も、毎回、派手ではないけど非常に落ち着いた、シックな感じで、半平太という人のキャラクタをちゃんと表現しているんですよね。勝太郎(武田鉄矢)が登場したときの黒のモンペみたいな上下も、現実主義者であったであろう勝という人となりを衣装でも表現していて、なおかつ洋装でもなく正式な和装でもない感じがまたいいなあと思ったもんです。これは全ての人物の全ての衣装と扮装に対して言えるとはおもいますけど。はぁ~、衣装さん、人物設計さん、グッジョブ。もちろん他のスタッフの皆さん、どれもこれも本当にグッジョブなんですけど書いていったらキリがないので、ここらでやめておいて。

さてと、牢屋に来た大殿様(近藤正臣)ですよ。私は前回、大殿様は半平太に自分を見ていたと書きましたが、今回見て思ったのは、大殿様は「半平太に自分を見ていた」という生易しいレベルの心情ではなかったという事ですね。「徳川に失望しながらも忠義心だけは捨てられん。わしやち、心の底から帝を敬い奉っちゅう。この日本は、徳川幕府のものではないき」。攘夷運動自体はともかく、自分の立場上幕府にたてつく事になるであろうことには加担することが出来なかった、でも半平太がやってきたことこそ自分がやりたかったことだった。もしかするとある種の憧れににた視線と嫉妬のようなものもあったかもしれない。しかも自分の身に染み付いた上士・下士差別意識が、その自分の心情を素直に認める事を許さなかった。「虫けら同然」の者達に自分を見る事など、まず自分が我慢ならなかった。そのままならない心情の発露があの極楽絵図であり、アル中状況だったのではないか。……とか、思いました。

一方、半平太さんですが。上士・下士の区別(差別)から自由だった龍馬とは違って、半平太さんにとって上士・下士の区別は厳然としていて、乗り越えられない壁だった。例え半平太さんがのし上がって(出世して)どんなに権力を手に入れようとも、大殿様は常に自分の上に輝く太陽だった。その太陽が自分と同じ地べたに落ちて来たということは、半平太さんにとっては驚天動地の出来事であり、(この言葉、使いたかあないが)まさに「龍馬が起こした奇跡」だった。そして大殿様の「俺とお前は同じだ」、違う(←しつこい)、「おんしとわしは、よう似ちゅう」という大殿様の言葉から、半平太さんは大殿様の苦悩の程を読み取ってしまったのではないのか。だからあのとんでも「自白」に至ったのではないのか……。うーん、いや、やっぱりわからんです。ま、もう終っちゃったからいいんだけどさー。

あと、自分用のメモとして、先週号のステラ(2010/7/16号、Vol.1559)の一部を書き残し。
今週は、いよいよ半平太が切腹という最後を迎えます。これまでドラマでは、半平太の迷いや劣等感といった、人間としての弱い部分が重点的に描かれてきました。でも僕は、最後は「この人はやっぱり侍だった」と示して終りたかったんです。
切腹を前に、半平太が牢番に告げた言葉が実際に記録に残っています。彼は牢番に対して敬意を表したそうなんですが、それを知ったとき僕はすごく感動して。半平太は死を前にしながらも自分の姿勢を崩さず、真に侍であり続けたのだとーー。演出の方に「ぜひやらせてください」とお願いして、牢番への言葉をセリフとして追加してもらいました。罪状を後藤象二郎に読み上げられた後にも、二言くらい加えてもらって。凛とした様を具体的に示す事で、「半平太は、最後まで侍としての意地を見せたんだ」ということを、視聴者の皆さんに感じてほしいと思ったんです。


大森南朋、グッジョブ! 半年間(えっとー、「龍馬伝」に入ってからは8ヶ月?)、本当にお疲れさまでした。
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テーマ:龍馬伝
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
>この半年さんざん悪態付きながらやっぱりも楽しませてもらった

そんなんだよね、なんだかんだで我々、楽しんでました(笑)

>対比ぶりがまた映えますよね。

まるで別人のようでした。きれいな半平太さんは、粒あんを抹茶あんにかえてくれなんてこんまいことは言わない(笑)この佇まいとこの容姿の半平太をずっと見ていたかったよ~(泣)
それにしても、tsumireさんの洞察には、「なるほど~」だわ。言われてみると一々納得出来るけど、自分ではとても思いつかないな。深いなぁ………深すぎるよ………おら、さっぱり大殿様の行動が分からなかっただ。

切腹して一週間経つというのに、まだ半平太さんの最後を思い出すと切ないものがあります。(以蔵も)
でもこれからはお気楽に見れるのかしら。スタッフさんの仕事は素晴らしいので、あと半年楽しませてもらおうぜ!(悪態も含めて)

2010/07/19(Mon) 00:04 | URL | suika | 【編集
こんばんは

自分でもよく分からない感情なんですが、この切腹の回観たときは何ともなかったのに、今日、今まで大森さんの名前があったところに伊勢谷さんの名前が出た途端……凹みました。
なんだかんだと言ってはおりましたが…寂しかったです…


>そのままならない心情の発露があの極楽絵図であり、アル中状況だったのではないか。

牢内の会話はどれも複雑に思うけど、容堂公に関しては私も同じように感じたな。
複雑な立場と価値観にがんじがらめになって、『行っても地獄、行かなくても地獄、』みたいな。
武市がもっと無能だったら楽だったのにね。


>半平太さんは大殿様の苦悩の程を読み取ってしまったのではないのか。

ふふふ。tsumireさん、ちっくと鷲津臭がしてる?(^^ゞ
自白の感情も複雑な気がしてます。
何事も反応が鈍いワタクシですし、のんびり考えよっかなー。(そうこうしている内に忘れそうだけど)

牢を出るときから切腹までが大森さんのイメージする侍としての武市先生よね。
牢番への台詞は声も穏やかで立ち姿もほんと美しかったっす~~(涙)
2010/07/19(Mon) 00:32 | URL | BOOKO | 【編集
うーーん、tsumireさんのレビューは、いつも深いです。
私なんか、めったにしない2回目視聴でも、武市の自白で思考停止してしまって、大殿さまの心情も、あの行動の理由の孤独と苦悩も、汲み取ってあげられなかった。
近藤さんの気迫のこもった演技は凄いと思いましたけどね。
意識レベルが目の粗いザルな私なので、こちらでtsumireさんや常連コメンテーター様方の繊細で深い見守り方(と鋭い舌鋒)に、感心してばかりの半年間でした。
今後も勉強させていただきます。

このドラマは本当に美術と人物デザイン、そして、もちろん役者さんたちのお芝居も素晴らしくて、それら意識の高いプロのお仕事が、脚本を補って余りある、と感じました。


>>半平太さんのあの白い衣装がいいですよね。

いやー、あの装束は本当に良かった。
牢から出ていく後姿が、大森氏の所作の綺麗さとあいまって実に美しく、それだけに切腹シーンが辛かったです。
2回目も号泣はしなかったど、じわじわ涙が滲みました。


>BOOKOさん

>>今日、今まで大森さんの名前があったところに伊勢谷さんの名前が出た途端……凹みました。


「私は、あなたなんだ!}
ざんす!
ああ、もう、ここには半平太いないんだな…って、いきなり思い知らされて。
いろいろ文句言ってしまったのも、孫可愛さだったのね、と今更実感しました。
とか言って、高杉晋作が超イカしてて、ちょっこしときめいた婆を許しておくれ>F半平太



2010/07/19(Mon) 01:55 | URL | 美冬 | 【編集
>そんなんだよね、なんだかんだで我々、楽しんでました(笑)

そういや、子どもの頃はいつも妹とテレビドラマを見てはツッコミまくって見ていたもんだったけど……(そして母親にいつも「そんなに文句があるなら見なきゃいいのに」と言われていたもんだけど)、結局「三つ子の魂百まで」っつーことか(笑)。

>この佇まいとこの容姿の半平太をずっと見ていたかったよ~(泣)

なーんかさー、上のステラの文章読むとさー、今まで散々な半平太像を演じてきたことについては致し方なしと思っても、さすがに最後の最後だけは、半平太本人に対して申し開きできないような最後はやりたくない、という大森南朋の決意の程がわかるね。

「でも僕は、最後は「この人はやっぱり侍だった」と示して終りたかったんです」
「凛とした様を具体的に示す事で、「半平太は、最後まで侍としての意地を見せたんだ」ということを、視聴者の皆さんに感じてほしいと思ったんです。」

十分、それは伝わったよ、最後の最後は、本当の、本物の武市さんだったよ!と大声で伝えたいね。

>切腹して一週間経つというのに、まだ半平太さんの最後を思い出すと切ないものがあります。(以蔵も)

BOOKOさんじゃないけど、第3部のオープニングロールのところで名前を確認して、ああ、やっぱりいないんだと思っちゃったよ。でも回想シーンとかで出るかな?とか思ったけどそれもなくて。本当に終わっちゃったんだね……。

>でもこれからはお気楽に見れるのかしら。スタッフさんの仕事は素晴らしいので、あと半年楽しませてもらおうぜ!(悪態も含めて)

少なくとも第3部第1回は面白かったね。龍馬はともかく、高杉晋作と西郷どんの対決、サイコー。他の部分も政治劇をじっくり見せてくれてよかったし、脇のキャストの半端ないうさんくささがまたいいし、冒険活劇感があって楽しめたよ。ま、これから話が進むにつ入れて今度は高杉晋作が龍馬age要員にならないことを祈りつつ、あと半年、楽しみましょ~(もちろん、悪態込み(笑))。
2010/07/20(Tue) 15:31 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
>今日、今まで大森さんの名前があったところに伊勢谷さんの名前が出た途端……凹みました。
>なんだかんだと言ってはおりましたが…寂しかったです…

そうなんだよねえ、そんなに入れ込んでいたわけじゃないと思っていたんだけど(そりゃバリバリ、半平太中心にツッコミまくってはいたけど、鷲津の1万分の一ほども入れあげてなかったし。「龍馬伝」関連のロケ地めぐりをしようとは微塵も思わないし、武市半平太関連の資料を読もうとも全く思わなかったしな)、本当にいなくなってしまったのがわかって、結構きちゃったなあ。

>ふふふ。tsumireさん、ちっくと鷲津臭がしてる?(^^ゞ

ちぇ、BOOKOさんは全部お見通しだな(笑)。半平太は鷲津みたいな機を見るに敏というタイプじゃなかったんだよな。むしろ色々と見えてなかった(あえて見ようとしなかった部分も?)人鴨。それに大殿様に目がくらんでなおのこと見えてない部分もあったろうし。でも大殿様がすべてだったから、あの場に大殿様が来たという衝撃で揺らいだ部分も大きいんじゃないかなーという気はするんだよね。

>自白の感情も複雑な気がしてます。

でも結局なぜ切腹になったのかしら。あの「龍馬伝」の中では吉田東洋殺し=武市半平太で確定なの? なーんかごまかされちゃったような気もしているんだけど(後藤象二郎の罪状読み上げでもあんましよくわからなかったし)。

>牢番への台詞は声も穏やかで立ち姿もほんと美しかったっす~~(涙)

できれば、この半平太で、最初から最後まで見たかったけどね……。
2010/07/20(Tue) 17:25 | URL | tsumire→BOOKOさん | 【編集
>今後も勉強させていただきます。

ちょっとちょっと、美冬さん、勉強するんだったら場所間違ってますよ。ここはコメントを下さるみなさまの書き飛ばしぶりは楽しめるし、なるほど~と思わせられるコメントも沢山いただいて私はそれを存分に楽しんでますが、はっきり言ってブログ主の文章は「いわゆる飛ばしです」から(笑)。

>それら意識の高いプロのお仕事が、脚本を補って余りある、と感じました。

ほんと、そうなんですよねえ。そういえば今年始めにやってた「あなたが主役 50ボイス 龍馬伝編」、新しいバージョン(後半戦バージョン)もやってくれないかなあ。この、ドラマ作りに関わる人達の仕事っぷりをまた見てみたいんだけど。

>牢から出ていく後姿が、大森氏の所作の綺麗さとあいまって実に美しく、それだけに切腹シーンが辛かったです。

牢から出てすっくと立っているあの白い衣装の姿に光が当たってて天使みたいだったなあ(ちょっとどうかと思う例えだけど)。切腹シーンも3文字ってだけでなく、絶命したであろう場面(普通に倒れ込んでいるように見えるから結局介錯はなかったっつーことか?)の余韻もあって、やっぱり今までにない場面になってましたもんね。

>とか言って、高杉晋作が超イカしてて、ちょっこしときめいた婆を許しておくれ

ふふふ、だってあれはやっぱりかっこ良かったですもんね。私はまったく期待してなかっただけに、ちょっとビックリ致しました。
2010/07/21(Wed) 00:53 | URL | tsumire→美冬さん | 【編集
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