Q10 第1回(10月16日放映)。今一番勢いがある若手俳優・佐藤健と人気アイドルAKB48の前田敦子が主演というのがこのドラマの一番のアピールポイントなのかもしれないが、私にとっては主演が誰であるというのは全く関係ない。この「Q10」を見たのは、お久しぶりの木皿泉の脚本だったからである。

[あらすじ]
「高校3年の深井平太(佐藤健)は、ある日誰もいない理科準備室で、眠っている女の子(前田敦子)を見つける。平太が彼女のある部分に触れると、いきなり女の子が目を覚ました。実は、彼女は前の晩、校長の岸本路郎(小野武彦)が繁華街のゴミ箱で見つけて、酔った勢いで家に連れ帰った子だった。翌朝、息をしていないことに驚いた校長は、平太の担任の小川訪(田中裕二)に助けを求め、理科準備室に隠しておいたのだった。居合わせた工学博士・柳栗子(薬師丸ひろ子)は、彼女がロボットだと見抜く。しかし、どこを見ても人間としか見えない。これには、きっと何か秘密があるに違いない。スキャンダルを恐れた岸本は、ある提案をする。このことは、4人だけの秘密だから…」(番組公式ページより)。

木皿泉脚本の、何気ないように見える日常を生きる主人公・平太(佐藤健)のモノローグから始まる物語も、ところどころにちりばめられたキーワード(「Q10」では「名前」「リセットボタン」「世界」「同じだけど、一人一人違う」などなど)も、そして読後感(ドラマの場合なんと表現するのが妥当かわからないが)のよさも健在だ。今回は平太のせいで起動し、まだこの世界のことが知らない事ばかりのロボットのQ10(前田敦子)によって、今までそれが普通と思われていたことや、見なかった事にすればいいとやり過ごしていた事とそれぞれが向き合う事になる。この世界に生まれたばかりQ10の目に映るものは何もかもが新しい。平太はQ10と一緒に、見慣れて当たり前だった世界を再発見する。木皿泉脚本の作品の空気はとても澄んでいるような気がする。それがこの読後感のよさにつながっているのだろうか。

一つ一つのエピソードはどちらかというとベタな感じもするし、台詞もそれだけを取り出したら「え?」と思わないでもないものも多いのに、それが全部ちゃんとつながると、本当にバラバラだった世界のパズルがきちんと出来上がっているように感じられる。今回もクラスメートみんなで(全員じゃないけど)校庭で助けを求めて叫ぶという行動なんか訳判んないし(30年以上前の青春ドラマだったらアリだったろうけど)、BGMに「戦争を知らない子ども達」が流れるのもちょっとなんだ??だけど、でもこの「世界」のためにはいいんじゃないかと思う。

そして佐藤健。「龍馬伝」の岡田以蔵役の佐藤健は本当によかったけど、この、ごく普通の日常を事なかれ的に生きようとする高校生男子・深井平太役はいいですよ。歯がピアノの鍵盤みたいだからついこの人なら音が出るんじゃないかと触りたくなってしまうとか、やっちゃいけないとわかっているのにやってしまった平太の突飛な行動もなんとなく自然に思えるし、また、奥歯を触った事でQ10を起動してしまった平太の「ラの音だ。ラの音がする女の子に出会った…」という出会いっぷり(という表現はいかがのものか(笑))もいいです。

Q10役の前田敦子は……難しい役だから、しょうがないよなあ。でも頑張っていると思う(←エラソー)。ロボット(アンドロイド)役では、「絶対彼氏」のもこみちがよかったけどね。まあ北島マヤじゃないし。

また、主役である二人が際立っているのは当然だとしても、モブであるクラスメイト達も些細なそぶりで(平太の言葉に寝たフリしていたのに目を開ける子とか、助けてと叫び続ける平太たちに少しだけ心痛める子とか、騒ぐ同級生をうるさそうにする子とか)それぞれに色合いをちゃんと見せてくれています。ちなみに今回の演出は「ビッグマネー!」(2002年、フジ)、「セクシーボイスアンドロボ」(2007年、日テレ)、「銭ゲバ」(2009年、日テレ)の狩山俊輔さんでした。「龍馬伝」を見ると、作品を決定づけるのは脚本なのか演出なのか役者なのかとか色々つらつら思いますが、この、Q10が存在する「世界」の土台を作り上げているのは確かに木皿泉で、それをきちんと見せてくれているのが役者さんで、そして完成品として届けてくれるのが演出さんや撮影や美術や他のスタッフさんの仕事なんだろうと思いますね。

サブがまた、平太の父親役の光石研、母親役の西岡尚美、家賃を払えなくて学校の理科準備室に住み着いてしまう栗子(薬師丸ひろ子)、事なかれ主義の小川(田中裕二)の母親役に白石加代子ですよ。白石加代子は木皿泉脚本の「すいか」や「セクシーボイスアンドロボ」でも主人公の母親役をやっていましたが、それぞれよかったです。

ちょっと(ちょっとじゃなくてかなりか)ひいき目にみちゃっているところはあるかもしんないですが(笑)、これはちょっと楽しみなドラマです。

ところで今週号の「AERA」(2010年10月25日号)に今までほとんど見る事がなかった脚本家・木皿泉のインタビュー記事が載っています。私が今まで読んだことがある記事は「PLANETS Vol.2」だけなので、写真付きでかなり詳細が載っているのは非常にうれしい。記事によれば妻鹿年季子(めがときこ)と和泉務(いずみつとむ)の2人ユニットである木皿泉の執筆方法は、一つの作品原稿をそれぞれが書き足しながら入り乱れて書くのだと言う。「もうどちらの考えか、今ではわかりませんねえ」「1人で書いても2人で書いているのと同じです」。今、1人は6年前の脳出血のせいで左半身が麻痺して要介護認定4の状態、そしてもう1人は重い鬱病から立ち直っているものの今も時々再発するという満身創痍の状態のようだが、どうかこれからも作品を描き続けていってほしい。

さて今日の夜は早くも第2回(っつーか、私がうかうかしすぎなんだが)、チャンネル権はなんとか死守したい(笑)。
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テーマ:テレビドラマ
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
そうなのか、おもしろいのか………
録画はしてあるのよ、なんてったって佐藤健だからね。娘のフォルダにばっちり入ってますよ。でも娘と一緒には見れないな。うるさいんだもん。「キャーーッッ!たけるーーーっっっ!かっこいいーーっっ!」とか「くぅぅぅぅぉぉぉぉーー!!」なんて野生の雄たけびが飛び交うもんでさ………orz(かと思うと急に静かになって、ギラギラした目で画面を見つめておる)
「熱で浮かれてる人間ってこう見えるんだなぁ」と冷静に観察しちゃったよ。(反省はしないけど)

まぁしばらくは消さないだろうから、そのうち一人の時に見てみます。
2010/10/23(Sat) 23:54 | URL | suika | 【編集
>そうなのか、おもしろいのか………

え!? 私、「面白い」って書いちゃった?と読み返しちゃったよ(笑)。このドラマ、私は好きだし、いいとは思うんだけど、全部見るまではまだ「面白い」とは判断できないような気がするんだよね。「SPEC」のキャラが面白いとか、「モリのアサガオ」の謎の究明部分や死刑囚キャラの造型に興味があって面白そう、というのとはちょっと違うような気がするんだよなあ(屁理屈?)。

>「熱で浮かれてる人間ってこう見えるんだなぁ」と冷静に観察しちゃったよ。

私は見る時は叫んでみた事はないけど、でもブログで思い切り書き散らしているんだから叫んでいるも同然か(笑)。会社の大お局様のK池さんのお嬢様もすごい叫びながら見ているとか言ってたなあ。

>まぁしばらくは消さないだろうから、そのうち一人の時に見てみます。

へー、愛があってもメDVDに焼いて残しておいたりはしないのか(そこまでじゃないってことか)。
2010/10/24(Sun) 18:16 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
Q10で「キュート」、AKB、と絶対見なさそうな1本だったのに、佐藤健見たさについつい見ちゃったよ。
相変わらず脚本も演出もノーチェックで見てたけど、tsumireさんの記事見てなるほど。
見るまでは「花ざかりのナントカ」みたいんだと思ってたんで、思いの外奇妙な味わいについつい2回目もしっかり見ちゃったわ。
面白いかって言われると?だが、ベタに持って行くかと思いきや、微妙にはずす辺りがクセになる感じ。
それにしても佐藤健は以蔵のときは気がつかなかったけど、魚顔だなぁ・・・でもかわゆい。
そうそう「ラストサムライ」の子役がすっかり大きくなって、でも面影がそのままでこの子もかわいいわ~。
2010/10/24(Sun) 23:43 | URL | oha~ | 【編集
>佐藤健見たさについつい見ちゃったよ。

あからさまに不憫じゃないのに!?(笑)

>思いの外奇妙な味わいについつい2回目もしっかり見ちゃったわ。

なんか、新しい昭和感があるような気がするんだよね。この間やっていた「ハンマーセッション」はまさに平成の青春ドラマだったけど、この「Q10」は昭和感がありながらも、手あかがついてない感じがするんだよなー。

>それにしても佐藤健は以蔵のときは気がつかなかったけど、魚顔だなぁ・・・でもかわゆい。

oha~さんの場合、「かわゆい」が決め手のような……。私はさっき見た「モリのアサガオ」のARATAから目が離せなかったよ。
2010/10/25(Mon) 23:49 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
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