「それでも、生きてゆく 最終回」(9月15日放映)。今期、毎週見ていたドラマが一つ終ってしまった。あとは「チーム・バチスタ」と「ドン★キホーテ」だけだけど、バチスタは事件が解決して終わりだし、ドンキも元に戻ってそれぞれが別の人生を生きた事で変わっていくという終わり方だろうしなー(録画してある今週分はまだ見ていないけど)。他のたまに見ていたドラマ(「ブルドクター」「陽はまた昇る」)が「へー、なるほど」「やっぱりね」的な終り方をしていたけど、この「それでも、生きてゆく」はそれらと比べるとちょっと不思議な終り方をしたドラマだったかも。脚本があの「チェイス~国税査察官~」(2010年、NHK)の坂元裕二だったので、「チェイス」の時のように風呂敷を広げるだけ広げて最後に「はぁあああぁぁああああ!?」という仕舞い方をするんじゃないかと心配していたのだがそんな事もなく、無事ちゃんとドラマが終ってしまった(あれ?)。

まだまだ双葉(満島ひかり)と洋貴(瑛太)の物語がこれから続くように見えるのは、決してフジテレビが映画化をもくろんでいるからではなく(笑)、「それでも、生きてゆく」というこの作品タイトルそのままに、あんな事やこんな事があっても、それでも、生き続けてゆく人たちの物語であることをちゃんと表現しているからだ。最後に洋貴が「あの時」から借り続けたままだったエロビデオを返しに行き、新しい時間が始まった事を、あるいはずっと止まっていた時間が再び動き始めた事を見せて終る。15年分の延滞料っていったいいくらだよ(笑)。

しかし双葉と洋貴のデート場面では一瞬「鹿男あおによし」(2008年、フジテレビ)の再来か!?と思ってぎょっとしましたよ(「鹿男あおによし」は最終回までは面白いミステリーコメディですごく楽しめていたのに、最終回でいきなりとってつけたような主人公の恋愛パート描写になって大幅に評価ダウンですよ。フジテレビでは男女二人がメインで活躍するとその二人は必ずひっつかなきゃ気がすまんのかーーーー!と思ったもんだ)。でも仮に双葉と洋貴が月9ドラマみたいに一緒になって終ったとしても、それは今までの二人の描写からいって納得出来るものにはなっただろうけど。

加害者家族としてごく普通の青春を過ごすことが出来なかった双葉と、被害者家族としてごく普通の青春を過ごすことが出来なかった洋貴との最初で最後のデートは「君に届け」(椎名軽穂、マーガレットコミックス)を思わせるようなもどかしさとピュアさで(笑)、あり得ない日々を過ごしてきた二人だけに、もっとひっついていいんだよ!もっと幸せになっていいんだよ、と密かに応援してしまいました(笑)。しかも最後は文通だもんね(本当に文通になっているのかどうかはわからないけど)。せめて織姫と彦星みたいに1年に1回くらいリアルで会ってもいいんじゃないのか?(←余計なお世話)。

まあ双葉が、兄の罪の償いとそれを自分の人生の一部として草間ファームに行くというのは、それはどうかなあとか思うけど。

それにしてもこのドラマは、本当に俳優さんがすごかった。満島ひかりや大竹しのぶの肩の丸め方でそれまでどんな風にちじこまって生きてきたのかがよくわかるし、満島ひかりと瑛太の会話のあれ?な台詞が却ってすごくリアルに聞こえたり、その不器用な話し方で今までごく普通の友達関係を築け得なかったこともよくわかる。最初は他の役者さんに比べて時任三郎(三崎駿輔役、双葉と文哉の父)がちょっと浮いてるなあとか思ったけど、三崎文哉役の風間俊介と二人で向かい合うと、風間俊介の演技力もさることながら、文哉が心は子どものまま止まってしまった少年であることを、時任三郎のデカさと朴訥さが生きていてちゃんと見せてくれていた。

しかし風間俊介のあの演技ですよ。これはこの人でなければだめだったよね。すごく地味で存在感があるんだかないんだかわからない俳優さんで(←非常に失礼)、でもこの風間俊介がジャニーズって聞いて、えーーーー!? じゃこのヒト、滝翼やSMAPの背後で踊ってたりするの!? とびっくりだ(笑)。

これはそれぞれの見せ方も(演出)すごくよかった。台詞がちゃんと生きていて、さりげない小道具の見せ方もよく、色んな場面がきちんとつながって次に渡されていくのが、目で見て納得させられるのである。例えば6話だか7話で(←見終わったら録画を削除するのでどのエピソードが第何話か全く覚えていない)洋貴とその弟の耕平(田中圭)と母親の響子(大竹しのぶ)が一直線に並んで座っているところを横から撮っていて、一瞬のその場面のそれぞれの姿勢や視線だけでそれぞれの心情を描写してたり。8話だか9話で双葉が電話ボックスにこもっているところに洋貴がやってきて押し問答する所なんか、あの状況で二人の心情をわざわざ台詞で言わなくても、色々な事を表現していてうまいなあとしみじみ思ったし(←エラソー)。

しかし脚本ですよ。小道具の使い方や見せ方が絶妙だったり、会話がリアルに聞こえたり、あんなトンデモ設定なのに納得させられるのはやはり脚本のおかげ?とか思っていたんですが、全部終ってからあらためて見てみると、このドラマの登場人物、ただ物語を進めるためだけの駒だよね?というのが多いような気がするんですがー。草間ファームで文哉が真岐(佐藤江梨子)を殺し損なう間接的原因を作った紗歩(安藤サクラ)とか(結局いい人だったんかい。あるいは文哉が再び犯罪を起こさなければこうなったはずだよということを言いたかったのか?)、文哉の過去の説明役だった東雪恵 (酒井若菜)とか、他の登場人物への橋渡し役と洋貴と双葉の間にヒビを入れるためのキャラ?の五月(倉科カナ)とか。なんか俳優さんの力と演出さんの力で誤摩化されてしまったような気も…… (失礼すぎ?)。

でもあの静かなラストをちゃんと見せてくれたのでよしとしておきます(←超エラソー)。今期、楽しませていただきました。
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コメント
へぇ~この脚本家、「Mother」の人だとは知っていたけど、「チェイス」や、その昔は「東京ラブストーリー」の人だったんだ!
今期は期待せずドラマをいろいろ見てしまって、けっこうどれもよかったわ。
1番ハマったのは「それでも」と、意外や「テンペスト」。
見事にこの2作は対極を行ってて、「それでも」の会話のリアリティに対する、「テンペスト」の韓流もびっくりのリアリティ0(ゼロ)ぶり。
あ~でもどっちもよかったわ~(笑)

満島ひかりの衣装や猫背のたたずまい、Tsumireさん言う通り、それだけで今までの人生を表してたね。
最初で最後のデートの会話。今時こんなじっくり見せてくれるドラマは久しぶりに見たよ。もう「はよひっ付かんかい!」ともどかしくて、おばさん血圧上がりそうだったわ(笑)
そういや、テンペストでも仲間由紀恵と谷ショーが長年の相思相愛ながら、2人の仲は「それでも」とそっくり。
ふ~む、もしや時代は純愛なのか!!?(←早計)
2011/09/20(Tue) 21:49 | URL | oha~ | 【編集
>へぇ~この脚本家、「Mother」の人だとは知っていたけど、「チェイス」や、その昔は「東京ラブストーリー」の人だったんだ!

なので「チェイス」の大風呂敷再来か!?と心配しておりました。無事、きちんと終って本当によかったです。

>1番ハマったのは「それでも」と、意外や「テンペスト」。

おや奥様、「テンペスト」にハマりましたか。やはり和製韓流ドラマのツボをしっかり押さえていたのかしら。私も途中まではみていたけど、あの仲間由紀恵のあの演技と、ぜーんぜん説得力なく話がずんずん進行していくのについてけなかったわー。なんか「テンペスト」がお姉さんで、「GOW」が歳が離れた妹っつーか(←意味不明)。

>そういや、テンペストでも仲間由紀恵と谷ショーが長年の相思相愛ながら、2人の仲は「それでも」とそっくり。

共通点はそこか。「それでも」は同じ深い闇の淵にたたずむもの同志の深い絆が描かれていたと思うけど、「テンペスト」はなーー(笑)。書き割り的な恋愛描写のような気が。

まあ何にしても今期ドラマは楽しませてもらいました。
2011/09/24(Sat) 01:01 | URL | tsumire→oha~さん | 【編集
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