11月5日に「地域発ドラマから見えるテレビ表現の原点」というワークショップに行ってきました、ということで前回(11月6日「今度こそ、『出世の階段』をちゃんと登りきる。」)の続き。

NHK放送博物館で開催されたワークショップ「地域発ドラマから見えるテレビ表現の原点」、パネリストは四宮康雅氏(HTBプロデューサー、「ひかりのまち」など)、藤村忠寿氏(HTBディレクター、「水曜どうでしょう」「歓喜の歌」「ミエルヒ」など)、黒崎博氏(NHKディレクター、「火の魚」「チェイス」「セカンドバージン」など)、清水拓哉(NHKディレクター、「母さんへ」「江」など)の4名にオブザーバーの藤田真文氏(法政大学社会学部教授)、そして司会の吉川邦夫氏(NHK放送文化研究所、「新撰組!」「魂萌え」などを演出)。予備知識ナッシングだったので期待もしてなかったのだが(←ヒドイ?)、思いのほか充実した面白いワークショップでございました。

さて最初にパネリストの紹介があったのだが、私はあの秀作「火の魚」の黒崎Dがあの「チェイス」とあの「セカンドバージン」のDだとは知らなかったYO!(笑)……どんだけ無知なんだ……。そして配布されたレジュメの清水さんのプロフィール欄に載る「07年福岡放送局に異動し、3年連続で福岡発ドラマを企画・演出。「母さんへ」(2009)でギャラクシー賞月間賞受賞。現在は大河「江」を担当」との文字に顔を見あわせる私とnanakoさん(笑)。あの「GOW」の演出さんですか~~。そしてうすらぼんやりとしててすぐに気がつかなかったのだが、HTB(北海道テレビ)といえばバリバリの民放じゃん! 「すげーなこいつ、本音できたよ」by 野中裕二(小市慢太郎)。

で、ワークショップは前半13:30~15:05、休憩10分、後半15:15~16:30とかなり長時間に渡って開催されたので、本当にざっくり。っつーか、ここまでは先週書いたのだが、あれから1週間経ったらもうほとんど何も覚えてない!(泣)以下、本当にざっくりとしか書いてませんが一応折り畳みます
まず地域発ドラマのパブリックイメージや地域発ドラマの歴史についてざっと説明があった後、パネリストが自分たちが作り出してきた作品が生まれるにあたってのことをそれぞれ語っていたのだが、テレビの世界というのは想像以上に中央集権的というか、中央と地域の間には暗くて深い河がある~っつーか。ドラマというのは基本的にキー局(東京、名古屋、大阪)が作る物であるために、地域はドラマづくりに関して金も時間もスタッフもノウハウもないという点、なおかつドラマ作りはキー局の物という不文律のようなものがあるために地域がドラマを作るにあたって常に「何故このドラマを(わざわざ)(キー局でもないのに)つくるのか」と問い続けているという共通点があるのだが、でもその地域なりの特色があるのもまた面白かった。

「火の魚」を撮った黒崎さんの赴任先のNHK広島では、NHKだから広島といえばまず原爆があり、それが優先されるのだという。そして東京ではドラマ作りのシステムができあがっているために良くも悪くもそれに組み込まれてしまうが、地域ではいちいち「何故、この物語を作るのか」と原点に立ち返り、フィクションを作る事に慣れていないスタッフとみんなで話し合いながら作っていくとのこと。

HTBのプロデューサー四宮さんのお話では、北海道では地域ドラマの歴史がそれなりにあるとはいえほぼ外注(東京のスタッフが制作していた)だったために、いざ自分たちで作るとなるとどうしていいのかまったくわからず、常に手探りで一つ一つ一から作っていった事。そしてここでもやはり、「何故地方局なのにドラマを作るのか」と問い続けていたと。

そしてあの「水曜どうでしょう」の藤村さんの発言は非常に明解で、そして面白い。「ローカルならローカルなりの作り方があるでしょう? 東京と同じ事やって勝てる訳がない」「結局、儲かるか儲からないか。地域でドラマを作るのは儲かるんです。東京と違うものを、違いを見せてクオリティの高い物を作ってブランドをあげる。儲かりますよ」と。

ごく一部で悪名高い(笑)あの「GOW」の演出をされている清水さんの赴任地・福岡はすでに地域発ドラマの土台が出来ていたが、それは地域サービスとして地域が喜ぶドラマを作らなければならないという命題があり、これまた「このドラマは福岡にどういう意味があるのか」と突き詰めながらつくってきたと。

真面目だよね。って、聞いている私が不真面目すぎるのか(笑)。合間合間にオブザーバーの勝田氏の解説と、司会の吉川氏の説明が入るのだが、この吉川さんって方は多分本当にドラマが好きな方なんだろうなあ。そんなにうまく仕切れ切ってはいなかったようにも思うのだけれど(失礼?)、でもご自身もずっとドラマを撮り続けていたせいか、ドラマ作品への愛情や作り手への敬意が感じられるんですよ(←エラソー)。

それからNHKの場合、入局したらまず地方行脚があるが(NHKの地域局へ4~5年ほど転勤になる。我らが大友啓史監督も最初はNHK秋田局勤務だったし訓覇圭Pも京都、大阪局勤務を経ている)、もしかしてこういう「なぜドラマを作るのか」と原点を突き詰める経験を経てドラマ作りの現場に入るということが、NHKドラマのクオリティにつながっているのではないのか?と思いました。

参加者からの「地域ドラマは平日の変な時間や深夜のようなあまり人が見てない時間帯に放映されるようだが?」という問いには、四宮さんは「放送枠を持っているのはキー局だから、「オールターゲット」時間、いわゆる土日の2時とか3時になってしまう。キー局には全国放送する責任がある」、藤村さんは「見させる手段は他にもある。そっちの方が儲かるならそっちに行くでしょう。関東の人が見てないなら、どうやってみさせるかです」、黒崎さん「NHKでは放映時間については戦う。地域ドラマだから見にくい時間帯でもいいと言うのは絶対嫌。作り手が地域ドラマだからという枠を作らない。日本の地方こそ競争力がある」と。黒崎さんの「火の魚」土曜ドラマ枠で全国放映されたが、黒崎さんはちゃんとした時間帯に放映してもらうためにずっと戦って待ったのだという。

最後に。藤村さん「311で何もかも止まってしまった。(これからは)テレビに多様性を持たせる事が必要。(今後の作品は)2012年6月から撮影開始予定」、黒崎さん「映画や小説は地域映画とか地域小説とは言わない。東京と地域と言う狭い観点から見るのはやめたらどうか」、清水さん「なれあいを一回やめてはどうか」、藤田さん「(地域ドラマには)旅行者の視点、ネイティブの視点があるが、(違う地域から来てドラマを作った今回のパネリスト達のように)生活者としてその地域を発見していくという視点もある」と。

さて、お話は他にも色々あったのだが、取ったメモ見てももはや解読できません(泣)。そんなわけでざっくりとところどころ拾ってみましたが、いやー、思いのほか面白いワークショップでした。また何かあったら参加してみたいと思ってNHK博物館のスタッフの方にメルマガとかないですかね?とメールで問い合わせてみたら、ないので申し訳ないですがサイトの方をチェックして下さいとお返事がきちゃったよ。そんなの、私の場合、すぐに忘れちゃうんだよう(泣)。
関連記事
テーマ:テレビドラマ
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
奥様、ヘロヘロになりながらも文化の秋を実践していらっしゃるのね。
上に挙がったドラマはどれも見ていないんだけど、最近なんとこちらで「水曜どうでしょう classic」と題して、洋ちゃんが出張っていらっしゃいます。
前回まではコスタリカでケツァールを追いかけていらっしゃいました。
同行のスタッフがいい味出してるね。いやー、笑えるわ。
毎週予約で楽しんでおります♪
2011/11/14(Mon) 20:47 | URL | suika | 【編集
お疲れのところ、レポートありがとうございます。
貴重なお話です。
NHKは全国組織で、しかも「皆様の受信料」で運営されている公共放送だから、「なぜ、ここでこのドラマを作らなくてはいけないか」ということを深く考えて答えを出していかないんといけないというのも、あるんですかねえ。
そして、そうやってハードルを越えて行った人たちがやがて本局で大河とか土曜ドラマとか朝ドラとか(他にもいろいろ)を作ってくださるんですね。
そういえば、龍馬伝でも、若い地方局のディレクターさんが担当された回がありましたね。

ところで。

>>吉川さんって方は多分本当にドラマが好きな方なんだろうなあ。

>>でもご自身もずっとドラマを撮り続けていたせいか、ドラマ作品への愛情や作り手への敬意が感じられるんですよ

吉川さんは、『新選組!』を担当されていたんですね。
あのドラマは、私が『独眼竜政宗』に続いてコンプリートした大河で、あのドラマで堺雅人と出会った(笑)のですが、三谷さんご自身が新撰組と幕末という時代を愛していて、一人ずつのキャラを大切にしているのがわかる脚本だったし、制作陣も出演者も作品に描かれた人々と時代への熱い愛のある快作だったと思います。
ドラマへの愛がある方が創っていらっしゃると、視聴者へも伝わりますね。
脚本への不満はあったけれど、『龍馬伝』でも、作品への愛と新しいことやってやろう、面白いものを見せてやろうという勢いは感じられたし、私は、それに引っ張られて観ていた側面もありました。
来年の大河には、ぜひとも、愛と熱意を感じたいものです。

地域発ドラマ、もっとゴールデンタイムに放送して、告知もどんどんやって欲しいです。
きっと見逃している秀作がたくさんあるはず。

2011/11/15(Tue) 00:54 | URL | 美冬 | 【編集
>奥様、ヘロヘロになりながらも文化の秋を実践していらっしゃるのね。

ヘロヘロのままダラダラしている方がずっと疲れたままだったりするから動いている方がいいのかなー。ま、このツケはもしかすると来年くらいにくるのかも(泣)。

>最近なんとこちらで「水曜どうでしょう classic」と題して、洋ちゃんが出張っていらっしゃいます。

まあ、うち洋がお世話になってます(←何者!?)。私、クラシックの方は全然見てないんすけど、洋ちゃんって素人臭さをいつまでも残している所がいいんだか悪いんだかと思うこともあるなー。
2011/11/15(Tue) 06:25 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
こんばんは tsumireさん

ワークショップお疲れ様でございました。
100名の参加者や関係者の熱気溢れる愛宕山ホールでの
3時間におよぶアツい濃密な時間でございましたね。
私の座っていた周辺のやく8名ほどのお嬢様がたは
「水曜どうでしょう」やその担当の藤村ディレクターさんの
いわば「追っかけ」のような方々でして
交わす会話が「今日は『入り』で握手出来て嬉しかった」とか
「このプログラムに後でサインしてもらえるかな」とかで
ワークショップ中でも藤村Dがお話しになるたびに
「ホオー」とかため息(ハートマーク付きの)が漏れ聞こえてきて
ドラマとは別な意味で感心したというか興味深かったです。
大友さんの講演会の時のCafeの常連さんたちもはたからみると
こんな感じかなーとか思ってました。

ワークショップ自体には「地域」とか「地方」とかの
対極の位置づけとして「東京」とパネリストの方々が連呼されていましたが
一応、東京で生まれ育った私はちょっと居心地が悪かったというか
一言で「東京」といっても広いんだよーという思いがずっとしていました。

まあ東京こそ地方出身者の集まりである意味日本で一番の「田舎」じゃないか
という意見もありますけど。今日ちょっとそんな話を友人としていたら
「ダメ、全然わかってない!だって今はネットとかで環境も
変わりつつあるけれど私が小さい頃はテレビはNHKと地元テレビ局しか
映らなくてドラマなんて再放送ばっかりだったんだから」と怒られました。

今は地デジ化されたり衛星放送やケーブルテレビやネット配信とかで
ドラマの視聴環境も変わってきているとは思いますがやっぱり東京に
いることでかなり恵まれているんだなと思うこともしばしばありますけど。
まあ日本で東京以外に住んだ経験がないので比較も出来ませんけど。

で、当日頂いたレジュメの中でこれから放送予定のNHK地方局制作の
ドラマが2作品ありましたのでお知らせします。

・11月25日放送予定 大分放送局 開局70年ドラマ
「無垢の島」

・12月16日放送予定 富山放送局 富山発スペシャルドラマ
「港町相撲ボーイズ」

ただ、これが全国的に視聴出来るかは確認していませんので
申し訳ありません。

その他にも3月まで放送していた井上剛D演出の朝ドラ「てっぱん」の
スピンオフドラマがNHK大阪で12月に放送しますし
(これは関東・首都圏では年明けの放送なんですよ)、
2012年には守山こと高良健吾くん出演のばんえい競馬が舞台の
ドラマも放送されますから皆様ご覧ください
(すっかりNHKの宣伝になってしまってますね)

>美冬さん

そうなんですよ、吉川さんって「新撰組!」の
実質的最終回だと私が思っている第48話「流山」の演出家さんで
しかもスピンオフの「新撰組!土方歳三最後の一日」も手掛けられた方です。
ワークショップ翌日も緒形拳さんのNHKの最後の出演作の「帽子」を
大きなスクリーンで見たくて再び放送博物館を訪れた時にも
吉川さんが進行役でいらしてアツく語っていらっしゃいました。
個人的にぜひ一度じっくりお話しをお聞きしたいと思った方でした。
(色々と引き出しが多そうな方でした)

なんてことを書いていたら真山仁先生がいよいよ来年から週刊ダイヤモンドで
「ハゲタカ4」の連載を始めることと、その取材旅行でニューヨークへ行かれるとの
待望のニュースが♪

やっぱり鷲津が見に行った「資本主義の焼け野原」はアメリカ・NYだったのね
と大感激いたしました。
2011/11/15(Tue) 20:17 | URL | むぎこがし | 【編集
コメントを投稿
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可
 
トラックバック
この記事へのトラックバック