るろうに剣心
あの大友啓史DのNHK脱藩後初の監督作品、映画「るろうに剣心」を見てきました。7月に文京シビックホールの試写会で見て、先週の水曜日(8月29日)の一般上映で2回目を見ました。シビックホールは会場がでかいせいか作品のメジャー度合いがとんでもないせいかはたまた佐藤健の集客力のせいか入場待ち行列の長さがとんでもなかったですが、でもスクリーンはともかく音響が最低で台詞が1/3くらい聞き取れませんでした。原作も読んでないし予告編以外の事前情報を全くチェックしてなかったので何がなんだかさっぱりわからなくて(まあ、推測はできるけど)、今度はちゃんとした劇場でちゃんと見なくては、と思ったわけです。

で2回目、先週の水曜日の夜18時40分の新宿ピカデリーは満席、しかし若い女性率めちゃくちゃ高い! 多分8割方若い子だったのではなかろうか。私が見る映画の客って大抵平均年齢高めだったり(もちろん私もその平均年齢を上げている訳だが)色々濃いめだったりするので新鮮でしたよ。さすがたけるんの人気すげーなー、と思って席を立ったら「原作ではこれこれこういうキャラなんだけど」とか「アニメの場合はさ」という声がそこここで聞こえて来たので、たけるんファン+原作ファンのパワーがすごかったのね、きっと。興行成績が何位とか別に数字はどうでもいいけど、やっぱり多くの人に見てもらえているのは非常に嬉しい。なので先週の興行成績第1位のニュースには本当に「おめでとう、大友さん! おめでとうたけるん!」と心の中でひそかに(なんで?)つぶやいておりました。

 goo映画興行成績ランキング(2012年8月25日~8月26日(全国集計)、8月28日付)

ちなみに大友さんの映画初監督作品「ハゲタカ」の公開週ランキングでは初登場第3位〜。

 goo映画興行成績ランキング(2009年6月6日~2009年6月7日(全国集計)、6月9日付)

[解説]
「1994年から週刊少年ジャンプにて連載され、シリーズ累計5400万部を記録した和月伸宏の「るろうに剣心ー明治剣客浪漫譚ー」が、連載終了から13年の時を経て実写映画化された。主人公の緋村剣心はまるで女性のような可愛い顔で優しい物腰ながらも、実はかつて“人斬り抜刀斎”として多くの人を手にかけてきたという二面性を持つキャラクターだ。この難役を演じたのは、『BECK』の佐藤健。激しい剣劇アクションも見事にこなし、緋村剣心を体現して見せている。ほか、武井咲、青木崇高、吉川晃司といった役者陣が、コミックスをそのままに再現しつつ、決してコスプレには終わらない見事なドラマを作り上げている。監督はドラマ「龍馬伝」の大友啓史。」(goo映画より)

↑なんで「『BECK』の佐藤健」なんだ。映画「BECK」は見てないけどあんましいい評判は聞かないけどなあ。だったらいっそすがすがしいまでにB級C級D級映画を目指していてくれればそれを楽しみに見に行ったかもしれないけどそうでもないみたいだし(←非常に悪趣味です)。佐藤健といえば「仮面ライダー電王」(2007年、テレ朝)とか「龍馬伝」(2010年、NHK)じゃだめなのか? 電王の時の佐藤健は今までに全くないタイプのライダーだっただけにびっくりしたけど、「龍馬伝」の岡田以蔵役の佐藤健は本当によかったですよ。主演で言うなら「Q10」(2010年、日テレ)もよかったしさ。とはいえ「Q10」じゃややマイナーだし「龍馬伝」だと主演じゃないし、それ以前に映画紹介のページだからテレビドラマは除外っつーことか? 

それはともかく。アクションのスピード感と迫力が本当にすごい。こういう表現をすると語弊があるかもしれないけど「チャンバラ活劇」の傑作と言ってもいいんじゃなかろうか。そして殺陣が非常に美しい。美しいと言っても型にはまった殺陣ではなく実践的ですごくリアルな殺陣で、見ててわくわくし快感ですらある殺陣でした。これは国際的に通用するレベルだと思います(←エラソー)。そしてカッコいい。このアクション活劇としての部分を見るだけでも損はないと思う。戦いっぷりが徹底していて本当に楽しめる。そしてもちろん緋村剣心役の佐藤健が、アクションシーンもそれ以外の場面もよかったです。原作を読んでないからオリジナルキャラの佇まいとか背景とか全然わかってないけど、でも佐藤健はしっかりこの物語の要の世界を作り出していたと思うし、この作品に佐藤健という役者さんを得られたのはこの作品にとっても幸せだったのではなかろうか(原作ファンの方の意見は違うかもしれんが)。少なくとも大友監督・佐藤健主演で続編が出来たらまた見に行きますよ。

あと、「龍馬伝」であんなにも不憫で、そして悲惨な最期を遂げたあの以蔵(岡田以蔵、佐藤健)が、生き延びて生まれ変わる事ができたような、ささやかな気のせい(笑)が嬉しかったり。

でもまー、一番最初に見た試写会会場を出た時に、まず真っ先に私の口から出た台詞は、

「この映画のキモは一体、何!????????」

でしたけどね。大した事は書きませんがネタバレを含む(かもしれない)ので折り畳みます。
しつこいようだけど私は原作を読んでないし事前情報も仕入れていなかったので、予告編を見てせいぜい明治維新前後の話らしいというのと、主演が佐藤健、ヒロインに武井咲、脇に香川照之、「龍馬伝」の青木崇高、というぐらいしか知りませんでした。なので最初の試写会では音が聞き取れないので台詞が何言っているかよくわからず、それで余計にわけわらんかったのですが、でも大友さんの演出は言葉や台詞でよりも目で見せてわからせてくれるし見えてない部分もちゃんと描写している事が多いので、台詞が聞こえなかったからわからんという訳じゃないと思ったですよ。

大体、映画版の話の流れから察するに、緋村剣心(佐藤健)は幕末に「新しい時代のために」と人斬りをしてきたものの、望んだ形かどうかはともかくとして幕府が倒れて新しい時代が来たのでお役御免で自ら剣を捨てた(剣を地面に突き刺した時に「来たか新しい時代が。やっと」と言っている)、でもあまりにも多くの人の命を奪い続けたためにその時点ではもう一旦自分の魂の部分が死んでしまっていたのではないか。あの峰と刃が逆になった逆刃刀をいつの時点で持つに至ったのかわからんけど、その時点では少なくとももう人を決して殺めないという決心だけはしていた(人を斬るための剣は捨てたものの、深い贖罪の念ゆえに??わざわざああいう人を斬れないだけでなく戦えばその刃が自分を斬ってしまうような刀を、自分への戒めとして常に持ち歩いていた。そういう意味で、「人斬り」の剣を引き継いだ鵜堂刃衛(吉川晃司)の剣、体制内で「侍」的ポジションで生きる斎藤一(江口洋介)の剣とも全く違う訳だね)、そして根無し草のままに生きて、でも(多分)暗くて深い闇の中から拾い上げられたような出会いと絆があって、だから(おそらく)彼らを救いたいとか、守りたいとか、そういうのがあってのあの戦いなんだろうと思いました。キャッチフレーズも「かならず、帰る」だったしさ。

だとしたら、あまりにもその肝心の部分の描写が薄いような気がしました。武田観柳(香川照之)の描写を削っても、出会いと絆の部分はもっとしっかり描写してほしいと思いました。「風の谷のナウシカ」でも映画「捜査官X」(2011年、香港・中国、日本公開は2012年)でも命を賭けて守るに値する物をきちんと描いていたからこそのあの戦いであり、戦いが終わった後のあの描写であったと思うんだけど、このるろ剣ではそこら辺が薄くて私的にはなんだか色々と唐突感が否めなかったです。剣心が「斬るのでもなく殺すのでもない、人を生かす剣」を旨とする神谷道場のあり方に深く揺さぶられたのはわかったけど、でも人と人のつながり部分の描写がすっごーーーく弱いと思いました。もちろんごく普通に、道場や道場をとりまく人々に惹かれる物があってあのラスボス戦があったことはわかりますけど、なんかなぞっている感がするというか。例えば井戸に毒物が入れられて神谷道場が野戦病院みたいになっているところも結構ご近所の皆さんが振って沸いたように見えたです。もっと前にもう少し近隣の住民描写があると、神谷道場に徒弟が子ども一人しかいないことが際立ったり、それでも地域の人には愛されている事がわかったり、徒弟がほとんどない状態でも薫がどうやって食べていっているのか(多分近所の皆の助け合い?)納得できたりするんじゃね?とか思ったです。すきやきの場面なんか、ここの食事代、誰が出しているの!?と余計な事を考えてしまいました(笑)。

でもってあの香川照之のいつだってやりすぎなキャラクタとお芝居(香川照之は「ガラスの仮面」の舞台あらし編の北島マヤだと思いましたわ(笑)。でももしかして原作まんまなだけなのかしら?)と、そしてあの迫力あるアクションと美しい殺陣が目くらましになってるですよね。もしかして求められていないのかもしれんけど、アクション活劇であると同時に人間描写の部分ももっともっと見たかったです。

あと、大ヒットした原作の"フォーマット"を無視することはできなかったのか?と思いました。他の人はともかく、佐藤健の「〜でござる」という台詞がかなり気になりました。多分原作から(作者にとっても読者にとっても)ゆずれない部分で、なおかつまだ佐藤健がこの台詞使いを自分の物にしきれていなかっただけのことなのかもしれないですが、違和感がありました。そのせいかTVCMでこの佐藤健の「〜でござる」を聞いた子ども(13歳)がしばらく何か言う度に「〜でござる」とか言っていたので、まー、CM的効果はすっごくあったのかもしれん。それから武田観柳とその周辺の扇子をパタパタさせていた実に漫画的な連中。あれも原作通りなのか? それともやりすぎの一環?(笑)。

とか文句を色々書いてしまいましたが、普通に見て普通に楽しめる作品です(もう、しょうがないのよ、私の場合はビョーキだからさー。←開き直り)。続編、続々編のたけるん剣心を楽しむためにも、今見ておけ!(←気が早い)。
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テーマ:るろうに剣心
ジャンル:映画
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