まだ普通版(?)の本編の感想も書いてないのに日本語版の感想? でもすぐに忘れちゃうからさっさと書いておきます。8月25日公開の映画「るろうに剣心」ですが、ドラマ・映画「ハゲタカ」の大友DのNHK脱藩後初の監督作品っつーことで、7月に試写会で一度見たものの会場の音響が悪すぎて台詞があまり聞き取れなかったために、これはいかん、ちゃんとした会場でみなくては、と公開翌週の水曜日にもう1回見てきました。で、感想を書こうと思っていたもののなかなかまとまらない。

そこに幣ブログにコメントをくださるむぎこがしさんよりタレコミがあり、新宿ピカデリーで2日間限定のるろ剣日本語字幕版の上映がありますよ、映画「ハゲタカ 日本語字幕版」と比較してみては?との私の発掘魂(笑)を刺激する一言が。映画「ハゲタカ 日本語字幕版」というのはDVDについている日本語字幕とは全く違って、聴覚障害の観客を想定した日本語字幕であるため、字幕文字が非常に詳細な内容を記述しているすごい代物でした。3年前に見たときの感想はコレ↓

 2009年7月8日「映画「ハゲタカ(字幕版)」5回目鑑賞

上記の「ハゲタカ(字幕版)」の感想を久しぶりに読み返したら、また見たくなっちゃった(泣)。映画「ハゲタカ」のDVDが出たときはてっきりこの字幕版が入るものと思ったのに、全然普通のよくある字幕でガックリしたもんでしたよ。映画「ハゲタカ(字幕版)」、カムバーーーーーック!

さてるろ剣日本語字幕版。今回は日本語字幕の感想についてのみ書いています。作品自体の感想はまた別記事で。また、原作は全く読んでないので原作についてどうこうという話でもありません。あくまでも実写版映画の日本語字幕についてです。

ううううむ、少なくとも日本語字幕だから、という理由でわざわざ見に行く必要はない字幕でした。映画「ハゲタカ 日本語字幕版」レベルの物は別に期待していなかったですが、基本的に台詞を拾っているだけの字幕でした。日本語の映画に日本語でついている字幕なんてそんなもんだろうと思われるかもしれないが、テレビドラマの字幕を表示させて見るとわかるように、字幕というのは音で聞こえている情報(台詞、効果音、背景音、音楽、群集の台詞など)を再現・補足するものです。

今どきのテレビドラマの字幕でも必要最低限の台詞はちゃんと拾っているし、話している人の口元が見えなければ台詞を色分けしてそれぞれ別の人が喋っている台詞だっていうのがわかるようにしているし、3人以上いてわかりにくければ台詞の前に(tsumire)みたいに名前を表示して台詞を表示するし、効果音の説明、音楽が流れているというマーク、群衆の台詞等も必要な場合はちゃんと入っています。

ドラマの字幕は基本的に聴覚障害がある人のためのものなのかもしれませんが、音はわかっても意味が分からないような言葉の場合にも表示されていると非常に便利。私はNHK大河ドラマの「平清盛」はややこしい話の時とか(笑)誰が誰だかわかんない時は字幕表示で見ることがあります。「坂の上の雲」の時なんか軍事用語とか歴史的事実とか地名とか耳で聞いてよくわからなくても表示されている文字で理解できてよかったです。みんな文語調で話すから特にわかりにくかったし。

でもってるろ剣の日本語字幕ですよ。これさー、一体どういう観客を想定した字幕なのかなー。耳が不自由なお年寄りとか聴覚障害者? 日本語ネイティブではない外国人とか原作ファン? 映画の舞台背景の知識がまだない若年層の観客? 聴覚障害者向けなら音の説明が圧倒的に少ないし、日本語ネイティブではない人なら文字自体がそんなに読みやすくないように思うし(行間が詰まっているからルビが振ってあるとなお読みづらい)、子ども向けなら難しい漢字が多過ぎる。

一番最初の戊辰戦争の場面でずーーーーーっと、斎藤一(江口洋介)と剣心(佐藤健)の会話あたりまでほとんど文字が表示されないのはまあ台詞がないんだから仕方ないかなあとか思いましたが、敵味方入り乱れて剣だけでなく銃とか大砲とか色んな戦い方をしていた事をわかってもらうためにも、そこら辺の効果音の表示はあってもよかったのでは?とかまず思いました。また、いかにすさまじい白兵戦だったかを文字表示でも表現してみたら面白いのでは?とか思ったんだけど、そんなのまったくナッシング。

以下、派手にネタバレしてますんで折りたたみます。
重箱の隅をつついてドヤ顔するのもどうかと思うんですが、やはりちゃんとした映画にはちゃんとした字幕がついていて欲しい。私は映画「ハゲタカ」の日本語字幕を見た時に、字幕もまた作品の一部なんだと初めて知りました。でも今回のこの映画のこの字幕は(←あくまでも、日本語字幕は)肝心な場面の肝心な箇所に必要な文字情報が非常に少なくて、私としてはひじょーーーーに、残念でした。

通常の字幕では、台詞以外の効果音や背景音は括弧付きで表示されることが多いですが、私は最初の戦争シーンで字幕がほとんどなかった事にビックリして、じゃあこの括弧付きの場面説明の文字はどのくらいちゃんと表示されるんだろう??とチェックしてみたら、2時間以上のこの映画で15個しかなかったですよ(←ちょっとぐらい数え漏れはあるかも)。テレビの2時間ドラマなら100個くらいあるんじゃないのか?(笑)

映画を見ながら簡単にメモっただけですが、こんな感じ(←暗闇でメモっているので、自分で自分の書いた字が読めない……(泣))。
「(衝撃)」←刃衛(吉川晃司)が剣心が残した刀に触れた瞬間
「(刀から斬られた者達の怨念が伝わって来る)」←刃衛が剣心が残した刀に顔を寄せた瞬間
「(泣きくずれる)」←剣心が殺した侍の婚約者の場面
「(上階から激しい銃声)」←戌亥番神(須藤元気)と左之助(青木崇高)の取っ組み合いのシーン。
「(左之助のいびき)」←ほぼラスト。

文字情報が少ないのもそれはあえてそうしているのだ、という考え方もあるかもしれない。大友さんの作品は、その場の状況やその人の感情をいちいち言葉で説明するのではなく、きちんと「見せて」わかるように提示してくれる、ちゃんと見ればそれはわかる、だから字幕も見ればわかる部分以外を必要最低限だけ表示している、という考え方もあるかもしれない。あの色々足りない字幕もあれはああいう形で作品の一部である、と。映画「ハゲタカ」のような過剰な字幕もありだが、映画「るろうに剣心」のように過少な字幕もありである、と。

でもだったらそれは失敗しているのではなかろうか。本当に必要な(必要だと思われる)効果音や背景音、群衆の台詞の文字表示が圧倒的に少ない(と私は思う)。例えば牛鍋屋で左之助が剣心に「伝説の人斬り、緋村抜刀斎さんよぉ」とみんなの前で言った時の周囲の息を呑むような声や驚きの声の部分くらいは入れておいてほしいとか。剣心と左之助の戦い場面では「ケンカだ、ケンカだ」という野次馬の台詞は入っていたけど、その後の軽々と左之助と戦う剣心に対する群衆の「おおーーっ」とか「すげぇ」という声も入れておいて欲しいところ(ここはもしかして剣心の戦いっぷりにだけ注目するようにあえて表示していない、のかもしれないけど)。

そして肝心の台詞部分、観客の文字を読むスピードを考慮しなくちゃいけないから、長い台詞をそのまま文字起こしして表示する事ができないという制約があるだろうから所々はしょってあるのは仕方がないとして、(ちょっと記憶が曖昧なんだけど)剣心が薫の父親の赤い着物を着て、「人を生かす剣……」とつぶやく場面はこの台詞すら表示されていなかったような気がしたんですが、ここは佐藤健の表情で何か感じたものがあった事はわかるけど、でもここのこの台詞は表示した方がよかったのでは(違ってたらすまんです)。

そんな訳で今回のこの日本語字幕、私は満足できませんでした。でも今まで全く考えた事もなかったですが、やろうと思えば字幕(文字表示)って、結構色んな冒険ができるんじゃないですかね。例えば上の方で既に書きましたが、戊辰戦争の場面、入り乱れた戦争の状況をわしゃわしゃと文字表示することで文字でも(言葉や単語によるのではなく)その状況を表現できるのでは? とか。あるいは数々の戦いの場面、説明文字をリズミカルに入れる事で見せたい場面を効果的に見せる事ができるのでは? とか(←やったことないくせに妄想だけは色々広がっている)。

しかしなんだかんだ言っても今まで見た日本語字幕付き映画(邦画)が「ハゲタカ」と「るろうに剣心」だけではあまりちゃんと比較できないような気がする。だから他の日本語字幕付き映画(邦画)も何本か見てみたいが、どうせ見るなら1回目はちゃんと普通に鑑賞したいので2回目に字幕チェックしたいところ。すると2回見てもいい邦画がなかなかない。今年公開のものなら「外事警察」(もう公開終了しているけど)とか、面白そうな気がするのは「天地明察」(9/25公開予定)とか「映画 妖怪人間ベム」(12/15公開予定)あたりか。むぎこがしさんによると映画「臨場」の日本語字幕がなかなかいいセン行っているそうだが、映画自体に別に興味ないしなー。廃人某嬢より「踊る大捜査線」の日本語字幕はどうですかとの提案をいただいたが、ファイナルなんで1回は見てもいいけど2回は見ないよな。……はっ、これって、ただの邦画日本語字幕マニアになりかけている!?(笑)

皆様、オススメの日本語字幕つき邦画があったら(DVDではなくね)どうか教えてつかあさい。ちょっと見に行ってきますんで(←やっぱり日本語字幕マニアになりかけている!?)。
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テーマ:るろうに剣心
ジャンル:映画
コメント
tsumireさん 忙しいのにレポートありがとう。お疲れ様です。

先週漸く2回目を観て来ました。
音響の良いところでがっつり観たので疲れました…。
(香川照之がキョーレツだけど、下の歯やシークレットシューズ等しょーもないトコに目がいったわ)

んでもって、最初も感じたんだけど私は台詞回しが気になりました。
多分字幕で観たらもっと気になると思う。
どんだけ気になるか確認したい気はあります(笑)

具体的に何処がどうというのは上手く言えないけど(細かくチェック出来ずスミマセン)、この時代の台詞?と思うシーンは多かった。
けど、これは個人の好みの問題なのかなーとも思う…。

やっぱり「ハゲタカ」の台詞が凄く好きだ!!と再確認しました。そうそう巡り合えないですよ。
林さんの脚本ももちろんだけど、訓覇さんが良いお仕事しているのかな♪
2012/09/17(Mon) 01:56 | URL | BOOKO | 【編集
>んでもって、最初も感じたんだけど私は台詞回しが気になりました。

まだ本編の感想を書いてないんですが(できれば今日の夕方までには書きたいんだけど、今日は先日の大友さんの講座の話をちょっと書いておきたい)、私も台詞回しがすっごく気になりました。まずたけるんの「でござるよ」口調の違和感、そして他のキャラの現代的な話し方や当時はそういう言い方はしなかったのでは?という言葉の使い方、そしてたけるんと他のキャラの台詞使いのバランスですよね。

とくにたけるんの「でござるよ」は多分原作通りの台詞なためにもっと自然な言い回しに変える事は出来なかったんだろうなあ、るろ剣で「ハゲタカ」みたいな原作からの極端な書き換えをしたら、莫大な数の濃厚なるろ剣ファンが許してくれないだろな、とか(笑)。大友さん自身は深く痛ましい過去を持つ剣心があの台詞を言う事であのキャラを演じている面があるかもしれない、とか言ってたけどさー。

で、他の皆さんの台詞ね、個人の好みの問題なのかどうか。もしかすると原作通りなのかもしれんですが、最初に見た時から「これはこの時代には言わないだろ??」と思う所が私も結構あったんですよ。そこら辺が「龍馬伝」と違うところですよね。「龍馬伝」では物語のキモの部分やキャラクタ描写でブレがあったりどうかと思われる展開がありましたが、少なくとも台詞だけの部分でこんなにも「ん?んん??」と思う事はなかったもんなー(キャラ描写がブレているからそのキャラにこの展開でその台詞?というのはあったかもしれんないけどさ)。

>やっぱり「ハゲタカ」の台詞が凄く好きだ!!と再確認しました。そうそう巡り合えないですよ。

るろ剣はアクション部分で癖になる魅力がある映画ですけんど、「ハゲタカ」は結構何言ってんだこいつ?的な台詞もあるのに(笑)、台詞がドラマのキモに根付いた言葉になっているが故に台詞(っつーか、それぞれのキャラが話す言葉)が癖になる魅力がある作品になってますよね。

>林さんの脚本ももちろんだけど、訓覇さんが良いお仕事しているのかな♪

大友さんは脚本は脚本家さんにまかせて作品作りをして下さい、っつーか(笑)。
2012/09/17(Mon) 11:27 | URL | tsumire→BOOKOさん | 【編集
ご多忙中、興味深いレポありがとうございます。
うーーん、遠路はるばる深谷まで『ハゲタカ』を観に行った時のことを思い出しました。
風の音の表現でも、『ハゲタカ』の字幕は素晴らしかったですね。
私はあのとき、初めて日本語字幕というものを観て「ほおーー」と感心したのだけれど、ブルーレイの字幕を見て全然違っていたのでびっくりしましたっけ。
邦画の日本語字幕についても色々と知ったり考えたりすることが出来た『ハゲタカ』とtsumireさんの記事に改めて感謝です。

さて…。かつては大友さんの母とか自称しておきながら、先週やっと『るろ剣』を観ることができたダメ母な私です。(泣)
でも、この三連休は『最強のふたり』と『鍵泥棒のメソッド』という愛らしい快作二本を観て「人間ていいな」「いろいろあるけど生きていくんだ」という気持ちになれました。
さらに『天地明察』も観る予定。
この勢い(?)で『るろ剣』の2回目も行きたいところですが…。
ともあれ、興行的には大成功で一安心。
続編の可能性もありそう。
もちろん、『ハゲタカ』ファンとしては『ハゲタカ』の続編をお願いしたいですが。

>>やっぱり日本語字幕マニアになりかけている!?)。

ほほほ。また趣味?あるいは追っかけテーマが増えましたね。
tsumireさんは何事もしっかり深く掘り下げて探求する学者肌だと思いますので、きっと日本語字幕に関しても今後ますます掘り下げていかれることでしょう。
ただし、ご自分の琴線に触れる作品に日本語字幕版があれば、というハードルがあるので、なかなかサンプル数が増えない可能性が高いかもしれませんね。
これ以上、お疲れをためないためには、その方がいいですが。(笑)
2012/09/18(Tue) 00:33 | URL | 美冬 | 【編集
>うーーん、遠路はるばる深谷まで『ハゲタカ』を観に行った時のことを思い出しました。

懐かしいですね、あれは3年前の9月でしたね……(遠い目)。また、深谷シネマでやってくれたら駆けつけるんだがなあ。っつーか、もう関東圏だったら群馬辺りでも行っちゃうかもしれん。

>風の音の表現でも、『ハゲタカ』の字幕は素晴らしかったですね。

そうですよね、始まりと終わりの風の音が違うんだと、(実際の音自体は違ってないんだろうけど)字幕が非常に意識して風の音について表現している事に本当にびっくりしたもんです。あと、ところどころきちんと鳥の鳴き声が入っているとかね。

>ブルーレイの字幕を見て全然違っていたのでびっくりしましたっけ。

あれには本当にがっかりでした。

>先週やっと『るろ剣』を観ることができたダメ母な私です。(泣)

だって「ハゲタカ」じゃないんだもんんんんっ(泣)。

>でも、この三連休は『最強のふたり』と『鍵泥棒のメソッド』という愛らしい快作二本を観て

今年は「新参者」とか「テルマエロマエ」とか、10月には「大奥」も控えているし、内容はともかく(あれ?)美冬さん的にはウハウハ(←死語)ですね。

>さらに『天地明察』も観る予定。

私は今日は夏休みがまだ1日残っていたので会社を休んで「天地明察」と「夢売るふたり」と「踊る大捜査線ファイナル」を見てきました。さすが3本見るとヘトヘスですが、「天地明察」は数学オタクのオヤジどもがナイスでした。

>この勢い(?)で『るろ剣』の2回目も行きたいところですが…。

私もアクション場面はあともう一回くらい見たいなー。

>ともあれ、興行的には大成功で一安心。

いやあ、ほんと。よかったです。これで直近での制作はむりとしても未来につながる可能性は出てきましたもんね。

続編の可能性もありそう。
もちろん、『ハゲタカ』ファンとしては『ハゲタカ』の続編をお願いしたいですが。

>>やっぱり日本語字幕マニアになりかけている!?)。

>きっと日本語字幕に関しても今後ますます掘り下げていかれることでしょう。

ううう、とりあえず「天地明察」は日本語字幕版が出ても多分見に行かないと思いますが、予告編で見た「のぼうの城」が面白そうだったので、時代劇続きだけど、もしかするとこれは見てしまうかもしれません。来年公開の大友さんの「プラチナデータ」と、三浦しおんの「舟を編む」も気になるところです。どうも興味の方向があっちに行ったりこっちに行ったりしちゃうのはトシのせいかしら。
2012/09/19(Wed) 23:53 | URL | tsumire→美冬さん | 【編集
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