大河シリーズ「生大友Dを見に」第7弾、ドラマで言ったらもう1クールの後半です(意味不明)。しかしまあ今回は3月末から4月にかけて絶不調だったせいか、大友さんの講座「池袋コミュニティカレッジ/大友啓史の役者論」も申し込んだものの、前日まで今回は欠席しようかと思っていました。でも前日にハゲタカ廃人な某嬢から久しぶりにメールをもらったら、この2ヶ月程あまりにも忙し過ぎて桜も「ハゲタカ」もない生活を過ごしていた事にやっと気がついて、いきなり体調回復(←単純)。そんな訳で半年ぶりに大友さんの、っつーか、世界のケイシ・オートモ?のお話を聞きに行きました(前回は2012年10月20日「生大友Dを見に6 茅ヶ崎で質問攻めのランチ」)。

講座は定員200名前後のところ、愛が足りない私の整理番号は186番、受付が整理番号順なので完全に後ろだからそんなに早く行かなくてもいいやと20分前に会場に着いたら受付前のロビーが超満員状態でびっくり。参加者の話を横で聞いているとやはり「プラチナデータ」流れのニノファンもかなり多かった模様。しかし「年齢層、高くない?」とか話していたお嬢さん、そりゃコンサートやライブでは若い人が多いでしょうが、「役者論」なんつーテーマで、役者ではなく監督がお話しする講座に来るような人はやっぱりある程度の年齢の人の方も多くなるのでわ。

さてあまりにも受講者が多かったせいか講座は15分遅れではじまり、いよいよ大友D登場、最初に受講者層のリサーチ、やはり圧倒的に映画「プラチナデータ」ファンの皆様多し。次に映画「るろうに剣心」、そしてやや少なめな「ハゲタカ」「龍馬伝」などのNHK系ファン。次は現在「週刊現代」で連載中の「役者論」の連載趣旨などを15分程でざっくり説明。相変わらずのマシンガントークな上に私もすっかり弱っていたので今回はあまり言葉を拾えていません(泣)。なので超ざっくりと(って、いつもか)感想を交えつつ「ハゲタカ」ネタ周辺の事を書いておきます。ところどころ意味不明な所は私の聞き取りができてないせいなので、どうか許してくれ。

大友D:役者は役を演じる仕事。役者の起源は天上の言葉を天に代わって伝える仕事、神様になりかわってある役割を伝えてくれるというルーツを持つ。それぞれの役割をいかにらしく振る舞うか、らしく振る舞う事でその役に近づけて行く。そういう努力をする事ができるのが役者、キャラクタを通して何かを伝えたいという、その伝える力を持つのが役者。彼らが演じきることができる場を作るのが(自分の)仕事。役者の中にも"お客さん"としての本人がいる。本人がイケてると思わなくてはいけない。嘘をもっともらしく見せて、これでイケてると思った瞬間に、これで生きていけると言う糧を得られる。

ここで前回の池袋コミュニティカレッジの「役者論」(2012年9月9日)の講座の時にもお話しされてた児玉清さんのお話に(2012年9月17日「生大友Dを見に5「大友啓史の役者論 映画『るろうに剣心』(9月9日)」」)。でも弊ブログの記事を読み返してみたら児玉清さんのネタは端折ってあったので、去年の時のメモをごく簡単に(今回、ここのところのメモがかなり飛んでいるので)。

大友D(2012/9/9):「龍馬伝」(2010年、NHK)で龍馬(福山雅治)の父親役だった児玉清さんはその時に実年齢は70代、でも龍馬が17、8歳だと40代と言う設定になるので、衣装合わせででは70歳を40歳に作っていかなきゃならない。髪の毛も白髪じゃなくて黒い髪のカツラをかぶって衣装を合わせていくんだけど、児玉さんは鏡に映った(自分の)姿を見て、ものすごく悲しそうな顔をした。そのカツラがその役になりきるのに背中を押しているか?というとそうなっていない。(自分の役の姿が)イケてないし、似合わない。肌も40歳の肌じゃないのでメイクが厚くなる。すると皮膚が死んでいく、顔の表情が作り物になっていく。そうするとどっちを優先させていくのか。40歳(という設定)に無理矢理合わせていくのか。自分に似合ってない物を無理してやらなくちゃいけないのか。皆知らないんだし(笑)(龍馬が)60歳の時の子どもでもいいじゃないか。どうせ演じるにしても、イケてると思って自信を持って演じるのとイケてないと思って自信を持って演じるのとでは全然違う。それぞれの役をどうやって自信を持って演じきるか。役者力というのは、その役になりきろうとする努力、(でも)その役「らしさ」が喪失して、そこにどうやって近づいていいかわからなくなると、演じる力もなくなる。演じる力というのはその人になりきる努力と、その人になりきる様相に包まれていくっていうことだと思う。

今回、2度目の児玉さんのお話を聞いて、前回と同じテーマだから話のネタに同じ物があっても別に不思議じゃないんだけど、でも今回もこの話が最初に出たということは大友さんの「役者論」と言うテーマの中では、この「『らしさ』が役を作る」「役になろうとする役者の努力がその役を本物にする」というのが重要な部分だと思ったし、ふと思い当たることもありました。映画「ハゲタカ」DVDのオーディオコメンタリの中で以下のような会話があります。

玉山鉄二(劉一華役)「あとね、鷲津って普段着、こういうかっこするんだって、すごく思った」
大森南朋(鷲津政彦役)「俺もね、衣装合わせで結構思った。最初、でも、衣装合わせでスケスケのなんか−(笑)」
玉山鉄二「写真、見た(笑)」
大森南朋「着せられて」
大友D「見た?」
玉山鉄二「見ました、見ました(笑)」
大森南朋「これは、ねえな、と(笑)」

このコメンタリを聞いた時は、(鷲津の逃亡先が)南の島だから多分沖縄のかりゆしとか、フィリピンのバロンタガログみたいな衣装なんだろうなあとか思ったものの、映画の中でスケスケ衣装の鷲津は見たくないわー、けどどんなもんなのかそのスケスケ鷲津の写真は見てみたいかも(笑)と思っていました。でも大友さんは、このスケスケ衣装を着た時の大森南朋の「これは、ねえな」という表情を見逃さなかったって事ですよね。そして、鷲津政彦のあのビジュアル、わしらはあのキャラを作り上げた大森南朋すげえ、とか、NHKのスタイリストさん他スタッフさんグッジョブとか思っていた訳ですが、鷲津政彦のあのビジュアル(「鷲津らしさ」)が出来上がった事で、大森南朋もまた鷲津政彦になることができたということですよね。

さて、今回の児玉さんの話の続き。
大友D:こういう設定の嘘を乗り越えるのが(役者の)芝居。違う人になろうとする努力が映像に見える瞬間が、ある真実になる。僕らは演じる力を信じていく。

と、ここから先は最後までずっと受講者との質疑応答で、ほとんどが「プラチナデータ」絡みでしたが、最初の質問が、「プラチナデータは原作とは内容が違っているが、原作からのアレンジはどのようなものだったのか」という物で、大友さんは原作からの翻案は本当に大変と色々話されていたんですが、その中でも印象的だったのは。

大友D:皆、原作を見てから来るけど、予習しないで欲しい(笑)。原作を(先に)読んでいると、(映画そのものを見る前に)原作とはどう違うんだろうという見方で見てしまう。

*そうなんですよね。だから私は映画を見る時は原作物なら映画の前には原作を読まないし、余計な情報も入れたくないから予告編以外はあらすじ程度の情報しか見ないようにしています(そして失敗することもある(笑))。だって、「初めて見る」という体験はたった1回しか出来ない訳ですから。私も映画「ハゲタカ」は32回見ましたが(「ハゲタカ映画祭」を入れると33回)、1回目は1回だけです(当たり前)。その、何も知らずに見るという貴重な経験は大事にしたいと思うんですよ。とはいえ、ある作品を見るためには(理解するためには)あるレベルの知識や情報は必要な訳で、そこんところが難しいといえば難しい鴨。

Q.「プタチナデータ」で、13年前のリュウをニノが演じているのに、(あまり変わらない時期であるはずの)父親との場面のリュウが子役なのは何故なのか?

大友D:もちろん二宮君は(その子役の場面も)出来ますよ。(でも)子役としてのキャリアがない子は、(お芝居に)慣れていないからここまでやればいいという限度を知らない。感情がはっちゃけてすごい芝居をすることがある。映画「ハゲタカ」で派遣工員の役をやっていた高良健吾くんが自分で人を集めて組織して、全員が集まって集会をやる場面で、高良くんの演説を聴いている人を見せずに、ずっと高良くんを撮った。誰もいなくなって泣く芝居で(感情が高ぶった)高良くんは演説が終っても泣き止まない、自分でコントロールできなくなっていた。役者ってそういうシーンがある。(「プラチナデータ」の)あの場面は神楽のルーツでもある場面なので(二宮和也と子役で)どっちでやった方がいいのかギリギリまで検討した。スケジュールの調整したり。スケジュールで可能かどうかというのは本質。そこに向けて役者が準備できるかどうかなので。お芝居ってぽっと出てぽっと出来る芝居とぽっと出てぽっと出来ない芝居がある。「龍馬伝」の龍馬の子役の濱田龍臣くんはオーディションの時に、自分の前に演った子の芝居を見て悲しくて泣いてしまい、自分の番になった時にはもう泣き尽くしてしまっていた。オーディションって演じている時だけでなくこういう所も見ている。子役としての面白さは慣れていない面白さにある。(それゆえに)思いもよらないすごい芝居をすることがある。子役の真実ってこういうところにある。でも思い通りにはいかなかったので(子役を使った場面は)二宮君がアテレコしている。

Q.「アクターズ・ファイル 松田龍平」(キネマ旬報社、2013年4月19日発行)のドラマ「ハゲタカ」のインタビューのところで、(一つのドラマに)演出家が3人いてそれぞれアプローチが違ったとあるが、(一つのドラマを複数の演出家で演出するにあたって)他の監督たちとの意思の疎通とか演出についての擦り合わせはどうだったのか?

*「アクターズファイル」では松田龍平(西野治役)がインタビューに「『ハゲタカ』は全6話で短かったし撮影が始まる前に台本が出来上がっていたから、連ドラだから、みたいなものはあまり感じなかったと思います。でも監督が三人いたことは今までと大きく違ったかな。大友さんを中心にしてやっている感じはあったけど、やっぱりそれぞれ演出のテイストが違うから変な感じがして」と答えている。

大友D:テレビドラマは10本とか6本なので到底一人ではできない。全部ひとりでやると死んじゃうから(笑)。「ハゲタカ」の場合、井上剛(*大友さんの呼称がなんだったか覚えてないのでフルネームで)は前に仕事を一緒にした事があるし、堀切園健太郎(*同上)はお互いよくわかっていた。僕と同じように1年間ロスに行き演出家として勉強していたし。チーム編成の段階でやっていける人達で組んでいる。ドラマをやる時にはそうでない場合もあるけど。彼らはNHKの演出家の中でもやはりいいんですよ。チーフ演出家の立場からすると1話と6話のアタマとケツを走らせて、その間の脚本とかキャスティングとかプロデュース的な役割をして彼等の撮りたいものを撮って良いよと。撮影とか照明は昔からやって来た人達だったからある種のスピリットとか基本的な絵作りは変わらないけれど(監督)それぞれ個性は出てきて当たり前。監督が違う事を担保していくのがスタッフ。好きなサイズとか芝居とか微妙に違ってくるけれど決定的に違うというチームではなかった。しかも決定的に違う事をしたら紐付きの技術スタッフや美術スタッフが言って来る。大森南朋さんが「こういう事だったんですがどういう風に解釈すれば良いですか?」とか俺に言ってきたりとか、そういうキャッチボールをしながらやって来たから僕的には違和感はない。でも(演出家が変わるので)演じる役者さん、特に映画からきた役者さんはかなりびっくりする。監督というひとりの方向だけ見ていればよかったのに指示する人がひとりふたり増えたりするから物理的にびっくりする。でもそこに差異がなければ(役者も)やがて慣れて行く。「白洲次郎」のときも伊勢谷くんがびっくりしてた。でもそこにズレがなければだんだんなれてくる。

*ちょっとここは前々から聞いてみたいと思っていた事なので大友さんに耳を傾けすぎたのか(笑)あまりメモがとれていなくて、この質問をしたハゲタカ廃人のMさんに内容を確認してしまいました。Mさん、ありがとう〜。

Q.「ハゲタカ」の大森南朋の印象的だった場面は?

大友D:ドラマではなく映画の「ハゲタカ」の一発目のシーン、(カットして)使わなかった裁判所の場面。それまで劉、玉山さんの場面が多くて大森さんが主役なのに出が遅かった。それで大森さんが溜め込んで来てとんでもない芝居をした。気合いがすごかった。でも映画をそこから入ると、見る人にとっては入りづらいという判断で切ってしまった。いまだに飲んでいると言われます(笑)。

こんな感じでハゲタカ的にも非常に充実した講演で楽しく聞けました。そして質問タイム後は抽選タイムで、今まで景品にポスターとかパンフレットとかTシャツとかは何度も見ましたが、今回の景品にはなんと、映画「ハゲタカ」撮影時にエキストラ参加者に配布したと言うアルミボトル(鷲津ファンド マーク入り)がっっっ! いつもはへー、ふーんってな感じですが、今回は本気でドキドキ(笑)、受付時に配られた抽選用の番号札をしっかり握りしめ、番号が読み上げられるときは本当に緊張しました。当選番号は……168番、惜しい、私の手にあるのは186番、しかし次こそは! 次は180番、惜しすぎ(泣)。あともうちょいじゃないかYO! 残念無念さひとしお(笑)。くっそー、当てたかった……。

そんな訳で前日までの体調不良も吹っ飛び、萌えチャージもできて満足な1日でした。しかし大友さんのお話のメモがいつも以上に読み取れねえ。常にマシンガントークだからそりゃ仕方がないんだけど、面白いからちゃんと聞き取りたいので、ちょっと聞き取り書き取り読み取りの特訓をしようかと思いました(笑)。
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コメント
あの講演会のハゲ話で少しお元気が出たようでヨカッタですよ~(^-^)
2013/05/07(Tue) 10:08 | URL | seiu | 【編集
今日本屋で大友啓史「クリエイティブ喧嘩術」(NHK出版新書)
を買ってきたのですが、
ここでもまた大友さん話になっていて、偶然にちょっと笑いました。


2013/05/09(Thu) 02:07 | URL | 風来坊 | 【編集
おかげさまで、大友Dのハゲタカネタにはすっかり癒されました。やっぱり体調回復にはハゲチャージですよ!
2013/05/15(Wed) 22:43 | URL | tsumire→seiuさん | 【編集
>ここでもまた大友さん話になっていて、偶然にちょっと笑いました。

そういうハゲタカ廃人的運命っつーことで(笑)。「クリエイティブ喧嘩術」にもハゲタカエピソードが載ってて、さらに萌えチャージができてウハウハ(←死語)ですよ。
2013/05/15(Wed) 22:49 | URL | tsumire→風来坊さん | 【編集
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