真山仁トークイベント「ハゲタカ視点で斬る「日本のクライシスマネジメントの盲点」」(9月13日) 真山仁トークイベント「ハゲタカ視点で斬る「日本のクライシスマネジメントの盲点」」(9月13日)
9月13日(木)、我らが愛する「ハゲタカ」の原作者、真山仁さんのトークイベントに参加してきました。このイベント、8月3日発売の「ハゲタカ」シリーズの新刊「シンドローム」に合わせて本当は8月8日開催予定だったのが、前日に関東地方に台風直撃の可能性ありという事で延期になっていたものです。真山さんは去年12月のトークイベントの時に「2018年はハゲタカイヤーになる」と言っていたのですが、今年5月のテレビ朝日版「ハゲタカ」製作のニュースにはそりゃもう大驚愕、わしら緊急ミーティングですよ(2018年5月24日「NHKドラマ「ハゲタカ」から11年、映画から9年、2018年の鷲津政彦はどう描かれるのか?」)。

8月のトークイベントの前にはそこらへんも突っ込んで質問しなくてはとか思っていましたが、延期になって9月の開催、結局テレビ朝日版「ハゲタカ」も先々週で終わってしまいました。残念ながらドラマ的に特にどうこう言いたくなるような作品でもなかったし、なんだったら私なんか「ハゲタカ」じゃなくて「木曜時代劇 旗本鷲津政彦 禿鷹見参!」とか言っていたし、もちろんあの綾野鷲津に全く萌えなかったし、近所の本屋で買った「シンドローム」も本が重くてまだ全然読んでないしで、当初ほどの勢いは全くなかったです(笑)。

場所はいつもの池袋ジュンク堂、しかし真山さんのトークイベントっていつも結構人が集まるけど当日申し込んでもまだ大丈夫なくらいのゆるさだったのに、今回は開催の3日前に念のためにジュンク堂に電話確認してみたらなんと満員御礼。こ、こ、これはもしかして今期のドラマ「ハゲタカ」の綾野剛ファンが殺到しているのでは!?と思ったけど……いや、全くそんな感じはなかったです。新刊を発売したばかりなので濃いめの真山さんファンが多かったようでした。

さて当日、時間通りに真山さんと講談社担当編集の国兼氏が登場し、最初に真山さんと今回の新刊の紹介から始まりました。例によって必死になって走り書きをして覚えているうちにと帰宅してすぐに文字起こししたんですが、記憶はアルコールのように蒸発しやすく記録は古代ローマ文字のように意味不明。なので細かい言い回しは実際とは違うかもしれませんが、まあ、だいたいこんな感じっつー事で、忖度して読んでいただければと思います。なお前半はドラマ「ハゲタカ」の話で後半は新刊「シンドローム」について、そしてその後に質疑応答が15分ほどありましたが、後半と質疑応答部分は省略します。
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(真山)1ヶ月前に本当は行われる予定だったけど台風で延期になって、おかげ様であの日予定されていたドラマの打ち上げに参加することができた。日頃の行いはこういう所に出るのかと(笑)。今回は史上最高、60人くらいが集まった。みんなの熱気に負けないように頑張りたい。

(国兼)今日のテーマ「ハゲタカ視点で斬る「日本のクライシスマネジメントの盲点」」、最近数多く起きている災害、この間北海道でも大規模な停電があり、その話も後でしていただきますが、まずはホットな話題という事で、先週最終回のドラマ、最終回は視聴率も伸びて11.9%、綾野剛の「ハゲタカ」、大人気ですが真山さんの評価はどうですか?

(真山)元々オファーいただいたのは去年の年末、「シンドローム」が夏に出るって決まってから。テレビ朝日の方から平成の30年を総括するドラマをやりたい、経済が大混乱した30年、それには「ハゲタカ」がふさわしいのではないかというっとりするようなお話があった。11年前のNHK版の「ハゲタカ」と雰囲気とやろうとしているコンセプトは同じだけど、中身はまったく別物。今回は原作に大変寄り添って作られている。脚本家が大変だったと思う。その時は安請け合いした後で後悔したけど、平成をやる以上、今、現代の鷲津が何をしているかを描きたいと。「シンドローム」は2011年で、7年後(2018年)となったらまだ何もない、本にもなってないものをやりたい、全8話のうち最後の2話を現代でやりたいと。誰がやるのかなと思ったらプロット書いてくださいと言われて。5作目の「シンドローム」の後のハゲタカ6作目、7作目を考えていたところだった。ハゲタカ7なら2018年になるかなと思って書いた。今回ドラマが好評だったのは(まだ原作には出てこない)読んだことがない鷲津がいるというのがよかったのかな。一つ間違って欲しくないのはNHK版もテレビ朝日版も私が原作であるという意味で、どちらも大変素晴らしい、と。

(国兼)テレビ朝日版は原作に寄り添った作品になって。

(真山)今回のドラマは「ハーディ」の松平貴子という存在を残してくれた事、日光という場所、イヌワシという存在、(原作では)初期の頃非常に重要だった。NHKの弁護をすると、(NHKのスタッフは)イヌワシウォッチャーのおじいさんまで見つけてきて、イヌワシの映像を沢山持ってて準備していたんだけど、ホテルとうまくいかなくてロケ地が見つからなかったのと、色々な事情で、相当ロケハンしていたのに全然使えなかった。今回初めてああいう場所でイヌワシの映像を見て、(原作では)殺伐とした会議室の場面の中にああいう風景を確信犯的に入れたんだけど、原作の読者も映像で見る事ができてよかったんじゃないかと。

(国兼)主演が綾野剛さんというのにびっくりしました。イメージが……。

(真山)綾野剛さんが演じると聞いて「(鷲津を)20代がやるの?」と言ったら「綾野さんは36歳です」と。大森さんがやった時よりも1歳若いだけだった。大森さんがやった時も本当は40代なんだけど若くなっちゃった。11年前の大森さんと今の綾野さんでは5歳くらい若いように見えるけど、年齢的には問題ない。綾野さんは若く見える部分を上手に生かしていたと思う。大森さんもすごい色々考えてるけど、綾野さんはオタクのようにすごく原作を全部読み込んでいて、脚本と原作との差などを撮影現場に行った時に色々聞かれた。

(国兼)ドラマ第1話で綾野剛いいじゃないかと評判になってましたが、「IN★POCKET」(2018年8月号、真山仁、綾野剛)対談の時に役作りについて熱く語っていたという話で(「IN★POCKET」の対談の一部抜粋はテレビ朝日「ハゲタカ」公式サイトに掲載。「綾野 剛(鷲津政彦役)×真山 仁(原作者)対談インタビュー【『IN★POCKET』(講談社)2018年8月号より転載、一部を抜粋】」)。

(真山)対談の前に2回撮影見学に行った。行くとものすごい勢いで(綾野剛が)「これ、いいですかね?」と色々聞いて来る。それで対談の時に(撮影の時に)何を考えてやっていたのかと聞いてみた。「このドラマのキーポイントは怒りだと思う。復讐とかの個人的な怒りではなく社会に対する怒りだと思う」と言っていて、僕も表ではそういう事を言ってこなかったけどそう思って書いてきた事を言われてびっくりした。それで十分、あとは好きにやっていいよと言った。でも彼は製作発表会の時に「ハゲタカ」は希望のドラマだと言っていた。それで対談の時に怒りがエンジンなのに希望って言うのはすごいねと言ったら「怒りは希望のためにある」と言っていた。すごい。

それから原作の中にある冴えない男というのをやってみたいと言っていた。でも色々話し合って現在の形にしたと。それに異論はなかったけど、今回のドラマの鷲津はマンガっぽくないかと思うかもしれない。でも(原作でも)最初の頃、バブルが弾けた後の暗い時代だから現代の歌舞伎のように作っていて、メリハリが効いた、いそうでいなさそうなキャラクターの作り方をしていた。社会からはみ出た人たちが気を込めてやる事で、社会の真実が出るようにやっている。そうしないとこの暗い話は終わる。だからどれだけ傾(かぶ)いてくれるかが重要だった。第3話だったか小林薫との場面で「ハゲタカー」という所、「もっと傾(かぶ)いていいですか?」と自分の判断で脚本にない感じで言っていた。

(国兼)今までは大森南朋さんだったけど、これからはあの綾野剛さんの鷲津政彦が「ハゲタカ」の鷲津として、読む人の頭に思い浮かぶ事になるのでは。

(真山)あのキャスティングを見た人は記憶の更新がされる。(鷲津政彦は)大森さんが綾野さんになり、(芝野健夫は)柴田さんが渡部さんになり、(飯島亮は)中尾さんが小林さんになる。第1話を見た時にそう思った。綾野さんのものすごい傾(かぶ)き方に対して渡部さん小林さん沢尻さんの抑えた演技、特に渡部さんはものすごい当たり役になったんじゃないのか。彼は「外事警察」(2009年、NHK)というドラマをやったけど「外事警察」のプロデューサー(訓覇圭)は「ハゲタカ」のプロデューサー。先生どうしますか?これNHK超えちゃいますけどと笑ってたけど(笑)。みんなNHKを意識して、わかっていてそうじゃないものを自然に出しているのが、俳優ってすごいなと思った。

綾野剛「ハゲタカ」 綾野剛「ハゲタカ」
綾野剛のあの指を組む仕草は鳥の羽ばたきなんですよ。そしてこうして(メガネの上から)メガネを抑えるのも鳥の羽を表している。あの鷲津の眼鏡はすごい揉めた。眼鏡はやめてくれと直前までみんなで説得した。眼鏡のことを聞いたら、真山さんが反対してプロデューサーが反対してNGがくるの分かっていた、でも素顔の鷲津、自分と敵の間にフィルタをかけたかったという。自分の弱さや感情を隠すためにどうしてもフィルタが欲しかった、だから仕事をする時は眼鏡をするけど、眼鏡をはずしていると父親の事とか松平貴子の事を考えている。髪の毛が半分かかっているのも半分隠したいんだと。色々考えている。ここまで説明されたら、もうどうぞどうぞと(笑)。

朝日新聞 撮影5分前「ハゲタカ」
(2018/7/22 朝日新聞朝刊より)
できる俳優さんってその役を生きる。完全に鷲津として生きているなと。全部説明できちゃう。確かに過剰というのはあるけど、小説が過剰だから。あれが過剰というならそれは原作者が悪い。
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以上。後半の新刊「シンドローム」についての話も鷲津の活躍ぶりや原発問題だけでなく先日の北海道胆振東部地震のブラックアウトの話とかもあって面白かったですが、ちょっと力尽きたので今回はここまでということで。トークイベントの一番のテーマ部分を省略っていかがなものかと思いつつ、すまんです(てへっ)。
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テーマ:テレビドラマ
ジャンル:テレビ・ラジオ
コメント
レポ、ありがとうございます!!

ものすご~くザックリ言うと、真山さんはNHK版よりテレ朝版の方が良かったってことですかね?
2018/09/24(Mon) 16:01 | URL | ぶるー | 【編集
>真山さんはNHK版よりテレ朝版の方が良かったってことですかね?

うーん、なんつうかねぇ、ものすごく微妙なんだと思う。

まずテレ朝版は真山さんのこだわりである松平貴子と日光のイヌワシ場面が入っている事にすごく感謝していると思う。それから綾野剛のあの演技については綾野剛の勉強ぶりと入れ込みぶりに圧倒されたのと真剣に鷲津政彦に向かい合ってくれていることに敬意を評して、フォローしているんだと思う。

NHK版については最初に作品を取り上げてドラマ化してくれた事、原作通りの物語と設定ではなかったけれど最大限原作に沿うようスタッフが努力してくれた事やその作品の出来上がりにはありがたいと思っていると思う。でもNHK版の評価が高くなりすぎたが故に「ハゲタカ」と言えばまずNHK版と言われる事に内心忸怩たる思いがないわけでもないんじゃなかろうかと思うし、でもある意味、そのドラマ版と一緒に鷲津政彦が大きくなった的なところがある事も分かっているし、っつう感じ鴨。多分NHK版には複雑な思いが色々あるんじゃないのかなー。
2018/09/24(Mon) 16:38 | URL | tsumire→ぶるーさん | 【編集
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