ちょっと事情があってある組織の郵便局の定期預金1000万円を解約して、銀行の口座に入金しなくてはならなくなった。……と書くとなんだか怪しい組織のヤバイ裏金のように聞こえてしまうが、組織名が書けないだけで、ちゃんとした真っ当なお金である。

さて郵便局の定期預金の解約には一体何が必要なのか、まず郵便局に電話して聞いてみた。個人扱いの定期預金証書の場合は本人確認の書類と印鑑が必要だが、法人扱いの場合は更に登録法人の登記簿謄本も必要とのことだ。証書を保管してもらっていた経理部のFさんに確認すると、証書は個人扱いの物だという。

しかし、問題は解約した後である。解約してドカンと渡してもらった1000万円をどうやって銀行まで運べばいいか。この物騒な時期、しかも会社周辺はやはりちょっと物騒な地域なので、郵便局から取引銀行までの距離が300mしかないとはいっても、私が1000万円の現金を抱えて銀行に行くのはあまりにも危なすぎる。

また郵便局電話して聞いてみる。郵便局から銀行に振込みが出来るのかどうか。すると、窓口からは出来ないがATMからならできるのだという。しかも100万円ずつなら。

そ、それこそ危ないよ! 100万円の束を10回も郵便局のATMから振り込む(しかもいちいち帯封を解いたりして?)なんて、もたくさしているうちに後ろからガツンと一発でアウトじゃないのか!
さらに銀行に無事持っていっても、1000万円をすぐに入金することは出来るのか。銀行に電話してみる。ATMから入金する場合は200万円ずつしか出来ないという。つまり、入金処理を5回やらなきゃならないわけである。その銀行は利用者が非常に多いので、そんな場面を目撃されたら後を付けてくるやつだって現れそうである。だから窓口に持っていくのが一番なのだが、そうなると、取り扱いは午後3時までだ。この時、時間は既に午後2時、とにかくなるべく早く郵便局に行かなくては。しかし現ナマの運搬は一体どうすればいいのか!? 会社のみんなにきいてみた。

「ガードマンを雇うっていうのはどうですかね」
それはどうかなぁ。却って金持っているってのがバレそうな気もするんだけど。
「会社に車で来ているY男に、車に乗せてもらって郵便局から銀行まで運んでみたら」
社内で一番軽薄な、あのY男に?
「とりあえずこのフロアの男性陣みんなに付き添ってもらうっていうのは」
みんななんか不健康で非力な連中ばかりだよ。
「銀行に預けるんですから、1000万円もあれば銀行の人が郵便局まで取りに来てくれないもんですかね」
そこまではやってくれないだろー、いくらなんでも。

前回この1000万を銀行から郵便局に運んだNさんに聞いてみた。
「あの時はねぇー、銀行から郵便局に振り込めないか聞いたらダメだっていうからさ、1000万円の現金を鞄につめて自力で運んだわよ。ただしダンナに付き添ってもらったけどね」
Nさんのダンナは昔暴走族の総長だか副長だか旗振りだかをやっていたという、大柄でちょっと強面の人である。付き添いにはもってこいの人だが、いくらなんでも今回は頼むわけにはいかない。
「郵便局もさー、民営化とか何とか言う前に、まず銀行と郵便局の間で振込みOKにすべきだよね」
ほんとほんと。

しかし経理部のFさんに聞いてみたところ、「昔は年末調整のお金は現金で出たからさ、3千万とか4千万円のお金を自力で運んだものだったよ。でも心配なら銀行でも郵便局でも振出し小切手って言うものがあると思うからさ、小切手にして銀行に持っていけば?」とのことだった。なーるほど、ポンッ(手を打つ音)。少なくとも現ナマを直に運ぶよりはまだましだ。郵便局にまたもや電話してみると貯金小切手というのがあるという。

そこで郵便局に行って、定期預金の証書と印鑑と身分証明書を出して「こちらの証書を解約して、貯金小切手にしてください」と伝える。窓口の女の子は書類を確認して「少々お待ちください」と言って奥に引っ込んだのだった。お、結構スムーズに事が運んでますよ。するとしばらくたってから「お客様……」とその担当者に呼ばれた。貯金小切手が出来たのかと思いきや。

「あの、私、先ほど100万円と1000万円を見間違えておりまして」
なにーーーーーーっ! 貯金窓口の担当者がケタを見間違えるなよ。
「この金額になりますと、本人確認が非常に厳しくなっているので」
身分証明なら提出したのになんだよう。
「この証書には組織名+お客様の名前が入っていますよね。ですからこの組織を証明する書類も必要になってくるんです」
さっき電話で個人扱いのものは組織の証明なんか必要ないって言ってたのにー。
「2年前から本人確認が厳しくなっていまして」
でもその組織、学校のPTAみたいなもんで、企業でも法人でもないから登記簿謄本なんてのも存在しないんですけど。
「何かその組織の規約のようなものでもあれば」
あーー、規約ね。規約ならありますよ。わかりました、出直して持って来ましょう。
「規約にお客様のお名前は入ってますか?」
普通、組織や団体の規約に個人の名前なんか入れませんって。私の名前が入っている書類といえば議事録あたりが妥当なセンだろうか。
「あ、その議事録で結構ですので、では規約と議事録の提出をお願いいたします」

というわけで、一旦会社に戻ることになったのだが、この時点で午後3時ですよ。銀行窓口は店じまいだ。規約と議事録を持参してまた郵便局の窓口に行く。さっきよりはあっさりと貯金小切手を発行してもらえた。ただし「多分、この書類(規約と議事録)で大丈夫だと思いますが……、もし何かありましたらこちらの連絡先に連絡させていただいてもよろしいですか?」と、ちょっと不安げな口調で言われたが。

なお、翌日朝一で銀行にその小切手を窓口に持っていったら、本人確認もされずにあっさりと口座に入金されたのだった。一体、一千万円までの道のりは長かったのか短かったのか。
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2005/12/08(Thu) 11:53 |  |  | 【編集
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