このところ何かと忙しくて本を読むのも電車とトイレの中という状況なのでなかなか読み進まなかったのだが、やっと読み終えましたよ、「オタク女子研究 腐女子思想大系」(杉浦由美子、原書房、218p、1,575円)。「オタク女子の最大派閥「腐女子」とは、やおいやボーイズラブを嗜好する人々のこと。頭数では「アキバ系」男性をはるかに凌駕 するという、静かなるマジョリティの彼女たちは、何に萌え、どんな生活をしているのか!? その思想と生態を話題の新進オタクライターが大解剖!!」(出版社 / 著者からの内容紹介)

漫画にハマりはじめた小学生時代を含めると35年以上のオタク歴と26年のコミケ参加歴がある私だが、この本は読み物としてはそれなりに面白く読めた。しかし常に思いつきでしか物を言わない私ですら、これが論理的に記述されているとはとうてい思いがたい。少ないサンプル数でこうだと言い切って実証する事なく次の項目に移って行くので常にあれれれれ? と思うのだが、おもしろおかしく描いているので流れですらすら読めてしまう。まあ、確かに「そういう子」もいるよねーなのだが、それを腐女子一般、負け犬女子一般として描くのはいかがなものか。それにそもそも「腐女子」と「負け犬」は対立する概念ではないんじゃないのか? 

また、同人誌の歴史や用語の中で、あれれ? これってそうだったけ?という記述があり、まあ、私は腐女子ではないので断定はできないのだが、多分用語の使い方や歴史認識(!?)が違っているのではないかという気がする。たとえば私は「やおい」という単語を初めて聞いたのは1970年末~1980年初め頃で、コミケ仲間のS川(2005年8月15日「「コミックマーケット68に行ってきました。1」参照)から漫画同人誌「ラブリ」(主宰・坂田靖子)を見せてもらい、「ヤマなしオチなしイミなしだってよーー」と面白おかしく紹介されたのが初めてで、これ以降やおいという言葉をごくたまに耳にするようになったが、しかしこの時点では当然のことながらアニパロとやおいは別物であり、なおかつアニパロとやおいは別と言う共通認識は結構長く続いたように思うのだ。またこの時点ではアニパロもやおい物も必ずしも男性同士の恋愛物だけに限定してはいなかったように思う。しかしこの本ではそこら辺が全部ごっちゃになっているようだし、だいたい「やおい」「JUNE」[ボーイズラブ」の定義からして、え? そうだっけ?(←とにかく私はそこらへんには自信がないので)と思うような書き方がされているような気がするのだ。

この著者の人、自分は腐女子だって言っているけど、ホントなのかなぁ。なんか、妄想世界への「愛」が全然感じられないんだけど。三浦しをんのエッセイなぞ読むと、とんでもなく妄想世界への「愛」で満ち満ちていてその暴走ぶりが同じオタクとして非常に楽しめるのだが、この本にはそれがまったくないな。

とりあえず趣味にのめりこんでいる人を「オタク」ということにしておいて(昔はマニアといったもんだし、昔は「オタク」といえばネガティブなマニアのことだったわけだが、現代ではそうでもないので)。今までオタクは圧倒的に男性が主役と言われてきたけれど、まあ、自分の周りを見ても女性のオタクは山ほどいて、そして全体を見回してみても男性と同じくらいいるのは明らかであるのにも関わらず、例えば40年ほど前には漫画といえば少年漫画のことのみを指し少女漫画は論外だったというのと同様に、オタクといえば男性オタクのみを指すのは違うんじゃないのかーとは思っていたので、女性にもオタクはいる!と言うこと自体、それはいいと思うけど、でもこの本の内容ではまったく知らない人に誤解を与えかねないような気もするのだが、どうだろう?

とりあえずこのテーマはもっと読みたいので、もっとしっかり掘り下げたもので、なおかつ「愛」があるものをおかわりしたい。
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テーマ:雑記
ジャンル:日記
コメント
危なかったなー。わたしなんか腐女子学園の新一年生クラスだから、先にこの本読んでたら、そんなもんだと思ってたなぁ。
でもまあ、もともとあんまり深く物事を掘り下げないたちだから、「腐女子とはなんぞや」なんてことは全然考えずに、「ちょっとー!男同士の恋愛もなんかズキッ後キュンとくるんですけど?(ただし漫画および小説の世界のみ!リアル世界は絶対不可!)」「え?これがやおいっちゅーもんかい。このズキッてーのが萌えとかいうやつかい。ほんでわたしゃ腐女子になるわけだな」くらいの認識だわ。
オタクって言葉もどうなの。映画俳優で誰が好きかって聞かれたから、ちょっとごひいきの曲者を数人並べただけなのに、「映画オタク」って言われちゃったけど、こんな使い方であってるのか?
ちなみにtsumireさんのはハゲおたくじゃなくて、ハゲフェチ?
2006/04/24(Mon) 15:28 | URL | suika | 【編集
まあ、普通は腐女子とはなんぞやなんて考えないし考える必要もないからいいんじゃないの~。それに私はこの本には文句ばかり書いたけど、もちろんいいところもあるしね。例えばこの本がでてしかも内容がちょっとアレだったことで、より内容の濃い類書がこれからもっと出てくる事だろうし、基本的に腐女子擁護論なので知らない人が読んだら、腐女子をいい方向に誤解してくれるだろうし。

>オタクって言葉もどうなの

実は私は使いたくないんだけど、もうマニアと言う言葉に取って代わられちゃってるもんね。しかもずっと軽めになって。でもsuikaさんの場合は曲者すぎるんじゃないの~? 

ハゲオタクとハゲフェチももちろん違うよなー。私の場合は多分結果的にハゲフェチと言わざるを得ないのかもしれんけど(でもたまたま、たまたま気に入った人がハゲてるだけなのよーーーー!)
2006/04/25(Tue) 06:20 | URL | tsumire | 【編集
はじめまして!
はじめまして。夏生と申します。記事をとても興味深く読ませていただきました。
実は私、まあ一応「腐女子」だと思っているんですが、おたく・やおい・BLなどの言葉の定義や世間の認知度などが、今更とても気になっていて、自分のブログでも取り上げているのです。似たテーマの記事を求めてネットサーフィンでこちらに辿り着き、嬉しく思っています。TBが何故かできませんでしたので、コメントをさせて頂きました!

このような研究本はいくつかあるんですね。私は未読なのですが、誤解を与えるような本だと困りますよね。

それでは、突然失礼致しました!他の記事などもこれから読ませて頂きますね。
2006/04/28(Fri) 12:14 | URL | 夏生 | 【編集
こんにちわ、はじめまして。お立ち寄りありがとうございます。

私も同人歴は長いのですが、残念ながらやおい方面の興味がまったくないので、はっきりと断言できるわけではないんですよねぇ。まあ、件の本も悪い所ばかりじゃないので、実情を分かってさえいればそれなりに楽しめるし、著者が言っているようにフランス文化や恋愛至上主義がなんぼのもんじゃいとは私も思いますしね。
それに、まあ、感想は人それぞれだと思うので、読んでみたらもしかしたら思いがけない収穫があるかもしれないですし。「腐女子」を自認される夏生さんなら、機会があればご一読をお勧めします。
2006/04/28(Fri) 20:13 | URL | tsumire | 【編集
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