寿町美女御殿」(山下和美、クイーンズコミックス、集英社、580円)、「地下室に住む謎の女性エリザベス。彼女の正体は一体…!? アパートを探していた大学1年生の菅平くんは「家賃1万円」という夢のような物件を探し当てた。そこは、女性ばかり4世代5人暮らしの古いお屋敷・早乙女家の1室。何やら怪しげな雰囲気漂うそのお屋敷には、実はもうひとりの家族がいた。その名はエリザベス。年齢102歳。果たして彼女は一体何者なのか…!? 」(出版社作品紹介より)。

ごく普通の大学生菅平くんが下宿(今時下宿なんてあるのか?)している早乙女家がまた、美女OL優子、女子高生玲、その義母で風水やら占いやらに凝っている咲子、その姑テイ、そのまた姑ミドリ(何かっちゃー「嫁がごはんを食べさせてくれない」とボケババァぶりをいかんなく発揮しているくせに3分間だけすごいまともな顔になることができる)と4世代5人がどれも一癖も二癖も三癖もあるくせにさらにその上に御年102歳の大姑エリザベスが君臨。エリザベス、すごいよ……。だいたい少女漫画においてシワは厳禁(シワがあるキャラは主人公にはなりえない)なのにも関わらず、エリザベスの容貌はもう化け物か妖怪レベル。なんたって102歳だからな。しかも一日一千万使っても100年かかる財産を持ち、人生を楽しむためだったらなんでもする。

なんだろな、山下和美の作品ってごくふつうの人間関係の話もいいけれど、こういう異形物が一番本人がノリに乗って描いているような気がする。あの「天才柳沢教授の生活」だってこなれてきたら柳沢教授が知識と教養だけでなく、深い洞察力を持ち柔軟で臨機応変でなおかつ包容力のあるジジィだっていうのが分かってくるけど、登場した一番最初は他の人がギョッとしてしまうくらい融通がきかなそうなスクエアなオヤジっぷりで、これまた異形物の一種だったと思う。「不思議な少年」は外見こそ美少年だがその実態は永遠の命を持ちありとあらゆる場所に出現する「おろち」や「バンパネラ」のような存在で、やはり異形物。しかし数ある山下作品の中でもエリザベスの異形度がNo.1ですよ。

連載媒体が「YOU」なので、まあ、嫁姑物といえないことはないだろうけど、もちろん「嫁が」とか「姑が」という台詞もバンバン出てくるけど、これはそういうドロドロ系の話ではなく、年とっていようが若かろうが貧乏だろうが金持ちだろうが嫁だろうが姑だろうが日本人だろうがモンゴル人だろうが関係なく(話自体はそれらが無茶苦茶からみあって進行するわけだが)、世の中色々な人間がいて色々な関係があるという当たり前のことにしみじみするのだ。物語の面白さもさることながら、これから世の中高齢化が進み、自分もどんどんバアァ化してゆく中で、ババァになっても全然OK!という気分にもなれる(←そんなこと思うのは私だけかもしれんが)。今まで少女漫画に描かれたババァ物(ババァが主人公の少女漫画作品)では高野文子の「田辺のつる」や松苗あけみの「カトレアな女たち」「女たちの都」なんかがあったけど、(もしかしたらジャンルは老女物じゃなくて宇宙人なのかもしれんが)エリザベス、その遥か上をいってるよ……。

なお、私はエリザベスの手下で、無表情の謎の不動産屋の洋子ちゃんと、エリザベスの側近のエディ、そして姑のテイが結構好き。
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コメント
なんでエリザベス?外人?
ジジィの増殖は「エロイカ」で楽しめることが実証済みだけど、ババァでもいけるの?
柳沢教授はちらっとしか読んでないんだけど、「動物のお医者さん」みたいに低血圧漫画という印象だったな。(←そういうの、割と好き)
見てないけど、ジブリの「ハウルの動く城」は老婆が主人公とか。(実態は違うらしいが....やっぱ本物のおばばでは無理か)
だからと言って「これからは、おばばの時代がくるのね♪」と浮かれるほど、おばちゃんはもう夢見る年頃でもない。
買うかどうかはともかく、とりあえず漫画喫茶で読んでみたいな。
2006/06/27(Tue) 16:09 | URL | suika | 【編集
>ババァでもいけるの?

ババァも、もちOK。高齢化社会だしな。ハウルは……全然ババァ映画じゃないなー。最初は魔法をかけられてババァになるんだけど、どうやら魔法をかけられてババァになったソフィの心情次第で若返ったりババァになったりしているんだもん。どうせならもっと徹底的にババァ路線で行けばいいのに~(←見に来る人激減)。

なおエリザベスは(多分英国の)王位継承権第16位のお姫様だったのが、若かりし日に何もかも捨てて留学生だった日本人の彼を追って来日、そしていまや102歳の怪物というキャラ。
2006/06/27(Tue) 16:29 | URL | tsumire | 【編集
あっこれ面白そう・・。
いくらマンガ空白期が長いとはいえ、元マン研としては、おかゆからは やっぱカッタルイぜ!柳沢教授はドラマも見てたし、大丈夫。

Kさんお勧めの腐女子方面、今市子で早くも玉砕しました。百鬼夜行抄がかなり面白かったので期待したけど、この人のBL路線は私、まるっきりダメだった。
やっぱ暑苦しい季節、そっち方面は進まんでおくわ。
結局、私、「動物のお医者さん」みたいのが一番好きらしい?佐々木倫子だけは、空白期にも人から借りてけっこう読んでたし。
まぁ、これからもKさんのブログ参考にさせてもらいまっせ。


2006/06/27(Tue) 21:33 | URL | oha-ran | 【編集
>今市子で早くも玉砕しました。

今市子のBLではBLならではのカタルシスが味わえないんじゃないのかなー。だいたいラブシーンが腐女子的にはダメなんじゃないの? BLが苦手な私でも読めちゃうくらいだもん。ぬるいんじゃないのかなぁ(←あくまでも想像)。
2006/06/28(Wed) 00:19 | URL | tsumire→oha-ranさん | 【編集
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