今さら渡辺淳一の「失楽園」を読むわけないんだから、実はジュンちゃんじゃなくてミルトンの方じゃないのかとか、漫画マニアなら当然諸星大二郎の方じゃないのかとか、もしかして「釣りバカ日誌 鈴さん、南の失楽園へ」(やまさき十三、北見けんいち)とか「三毛猫ホームズの失楽園」(赤川次郎)の間違いじゃねーの? と自分に突っ込みたくなるくらいだが、もちろん、あの渡辺淳一の方の「失楽園」だ。ただし本屋で上巻を立ち読みしたのみだが。

先日本屋で真面目な本を漁っていたら(←珍しく主に純文学の棚を見ていたのだ)、ふとこの本が目に付いたのだ。そういえばこの本て、評判もストーリーも映画化キャストもテレビ化キャストも知っているのに(TV版は川嶋なおみと古谷一行ってだけでもげんなりなのに、みのもんたと小柳ルミ子まででてくると言うすさまじいまでのくどさと脂ぎりようはどうなの。ま、一度も見なかったが)、肝心のオリジナルの方はまったく読んだことがなかったなーと思って手にとって見たのだが。いやー、驚きました。

渡辺淳一は高校・大学時代にそこそこ読んだ事があるのだが、そのころの渡辺作品は割とクールというか、非常に涼やかで、美しい読後感を得られる恋愛物が多かったように思うのだが、「失楽園」はぜんぜんっ、違ってたよ。かつての面影はすでになく、クールな美少年が脂ぎったエロジジィになって「ねぇちゃん、パンツの色、何色?」って聞いてきているような感じと言おうか(←非常に下品で不適切な例えです)、行間からにじみ出る脂っぽさと無駄な気取りがたまらない。

そして問題は、ストーリーの方はもうどうしようもないから置いておいて、キャラクタである。主人公の薀蓄たれのジジィ(50代の壮年男性は老け専の私から見ればまだジジィではないが)がヒジョーに鬱陶しい。なにかにつけちゃどうでもいい薀蓄をたれ、講釈し、セックスにかこつける。おまえはフロイトかっ! 10代の男子じゃないんだから、あれみてもナニ、これ見てもナニってなんだよ。だからリストラされるんだよ。おまけに相手の女の立場も考えず常に身勝手にやっちゃう(←ここら辺がまた不愉快ポイント高し)。

しかし相手の女のほうも、何言われても「そうね」「そうかしら……」「わからない……」とばっかり言っていて、いつの時代だよっ!とつっこみたくなるような30代後半の女性。こんな人形みたいな女いるか?という以前に、たとえフィクションで夢の女性だとしてもこんな女性といて楽しいかなぁ(はたまた書いてて面白いかなぁ)と不思議に思うのだが。でも若くてきれいで逆らったりせず自分の薀蓄をちゃんと聞いて感心してくれて(多分オヤジギャグにもちゃんと笑ってくれることだろう)いつでもセックスOKなら(←ここが一番のポイント?)別にかまわないのか? あ、もしかしてこれって女性がBL読むように男性が読むその手のファンタジーだったのか。

まあ元々日経新聞に連載していた話だから、読者層のオヤジにはこの設定とストーリーで受けていたのかもしれんが(とか言いながら私も日経は読んでいるが)、小説として面白いのかなあ? もしかして下巻になると格段に面白く、登場人物も生き生きとして魅力的になり、そしてあのとんでもない心中をしちゃうのか? 疑問は多々あれど、下巻を手に取る気にはなれそうにもないのだった。
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コメント
この手の話、苦手で本も映画もTVも見ていないんだけど、やっぱり知らなくていい世界だわ。

>女性がBL読むように男性が読むその手のファンタジーだったのか。

的にストライク!
男って口答えしないというか自己主張しない女が好きみたいだから
2006/08/31(Thu) 10:50 | URL | P子 | 【編集
いや、ほんと読むだけ時間の無駄だったなあ(とか言って15分立ち読みしただけだけど)。「愛の流刑地」の方はもっとパワーアップしてバカらしいようなので、もしかするとそこらへんの「成長振り」が「愛ルケ」の読書ポイントなのか?とも思ったり。ま、もう渡辺淳一の現代の物は読む気ないけど。
2006/08/31(Thu) 11:24 | URL | tsumire→P子さん | 【編集
わたしもP子さんと同じく、一生読まない本の一冊だな。
テレビの方はチャンネル変えてる途中に一瞬見ちゃったけど(しかもエロエロシーン)、いやもう、濃いかったですよ奥さん。とんこつ背脂スープを飲まされる感じ。映画も黒木瞳が嫌いだから全然興味なかったし。
でもさ、何言われても「そうね」「そうかしら……」「わからない……」っていう女の態度って、「結婚できない男」で例のおじさんが言ってた「あぁ、だめなんだなぁってわかるんですよ」に分類される態度じゃないのか?会話することを拒否するというか、さっさと一緒にいる時間を終わらせたいというか....それに気づかず薀蓄たれてるじじぃもじじぃだが、目的がセックスで、周りがうっとうしがる薀蓄も(流してるとは言え)聞いてくれるなら、それはそれでありなんだね。
こんな本読んじゃったらますます「男って本当に馬鹿」って思っちゃって、それはわたしの人生に悪影響を与えるであろうから、やっぱり一生読まないでおこう。
2006/08/31(Thu) 12:45 | URL | suika | 【編集
好奇心で色々バカな本を手に取ってしまうのが私の悪い癖だな。しかも他にも色々な本を手に取っているのに、「なんなのよ、これ!?」とここに書いてしまうあたりがまた、なんとも(自分が)おバカ? しかしトシ、とったら脂ギトギト浮かんでいるとんこつ背脂スープ丸呑みはできないやね。

>会話することを拒否するというか、さっさと一緒にいる時間を終わらせたいというか

そこらへんがファンタジーなのか、お人形さんみたいな言動をとるくせに、女性はよがってらっしゃるし(←お下品)、男は男で悦にいっているわけだね。確かに現代の渡辺淳一が描く「男って、本当に馬鹿」。その通り(←児玉清で)。
2006/08/31(Thu) 13:10 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
渡辺淳一、パート先でも大人気で貸出し頻度めっちゃ高いよ。お年寄りが多いね、借りてくの。以前2、3回新聞で読んだ事あるけど、げんなりする程キャラクターに魅力がなかったね、確かに。
なんでこーゆーのが売れるかね・・謎だ。

同じ恋ものでも今、私が読んでる中島京子の「イトウの恋」はおすすめでっせ。
こっちはなかなか好感の持てるキャラたちで、明治と現代が交互に出てくるけど、少年漫画の原作者が主人公の1人っていうのも漫画好きのKさんにはお勧めよ♪
2006/08/31(Thu) 20:48 | URL | oha-ran | 【編集
>同じ恋ものでも今、私が読んでる中島京子の「イトウの恋」はおすすめでっせ。

今アマゾンでどんな話かチェックしてみたけど、これは面白そうだね。とりあえず今読んでいる「文学賞メッタ斬りリターンズ」(大森望、豊崎由美)と「三四郎はそれから門を出た」(三浦しをん)と「ゴルゴ13はいつ終わるのか」(竹熊健太郎)と「貸本漫画リターンズ」と「快楽の動詞」(山田詠美)と「メモリー」(ロイス・マクスター・ビジョルド)と「マンガは今どうなっておるのか?」(夏目房之介)を読み終わったら手を出してみる事にするわ。あーーー、ちょっと先は長いけど。来週は試験もあるしね(ふぅ……)。
2006/08/31(Thu) 21:09 | URL | tsumire→oha-ranさん | 【編集
週末、映画「失楽園」見た。
週末、映画「失楽園」見た。
確か97、98年、北京師範大学にいた時に、見たかった映画だったです。

それきり10年後、やっと映画を見ました。

主人公2人最後の選択には理解できない。
一緒に海外へ生活していくほうがもっと幸せだと思う。例えば中国~
2008/03/09(Sun) 10:12 | URL | joe | 【編集
こんにちわ、はじめまして。
コメントありがとうございます。

>主人公2人最後の選択には理解できない。

おじいちゃんが書いた物語で、読者もおじいちゃんが多いから、妙にクラシカルなオチの付け方をしているのかも。
2008/03/10(Mon) 21:33 | URL | tsumire→joeさん | 【編集
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