先週まで会社の同じフロアで仕事をしていたAさんは派遣社員で、多分30代半ばだとは思うのだが、非常に地味でおとなしい人だった。しかし練馬のS嬢に言わせると「間違いを指摘しても謝らずに、そうですかとしか言わないのよ」「今時あんな変な地味な服を着ている人っていない」「何を言ってもはぁとか、そうですかとしか言わなくて全く覇気がない。絶対変」「歩き方がモサーーッとしていて牛みたい」ということで、彼女とNさんの間でAさんは「牛さん」という名前になっていた。

しかしAさんは契約が切られたのかそれとも本人の事情もあったのかは不明だが(何せ他の人ともあまり話をしない人だったので情報が入ってこないのだ)、先週末でうちの会社での仕事がおしまいだった。でも最後の最後までお局様を色々を怒らせていたようで、今度はNさんが怒っていたのだった。なんでもNさんが7Fからエレベータに乗って1Fに行こうとしてエレベータの「閉」ボタンを押そうとしたら、向こうからAさんがやってきてエレベータに乗りそうな感じだったので「開」ボタンを押して彼女が乗るまで待っていてあげたところ、Aさんは走ってエレベータに乗り込むでもなく相変わらずもたーーっとゆっくり歩いてエレベータに乗り込み、しかも「すみません」の一言もなかったそうだ。この程度のことではめったに怒らない温厚なNさんもさすがに「人が待っててあげてるんだから急いでほしいよねっ、それに一言ぐらいなんか言ったってバチはあたらないと思うんだけど」とのことだった。

こんなことでそんなに怒らなくてもと思うかもしれないが、まあ、これはほんの一例っつーか、年季を経て社内の荒波にもまれて滅多な事では動じないお局様を怒らせるからにはそれなりの失礼な小ネタの蓄積があるのだ。そして今日はAさんの代わりに新しく来た派遣社員のYさんがS嬢の新たな怒りを買っていた。

S嬢「給与明細の件で電話したら牛さんの代わりの新入りが出たんだけど、もうね、電話の応対からしてダメだね」
私「え? どんな感じなの?」
S嬢「派遣社員特有の、どうでもいい感じみたいな。微妙に横柄」
いや、派遣社員がすべてそうだというわけではないのだが。
Nさん「へー」
S嬢「それで今回これこれこうなっているんだけど、今までと違うのはどうしてですかって聞いたらさ、保留ボタンを押さずに隣に色々聞いていたみたいで、それが全部筒抜けなのよ。なんか私が勝手なこと言っているけどどうしたらいいんですかみたいなニュアンスで聞いているのよ!」
私「えーーっ!?」
S嬢「しかも散々待たせた挙句いきなりブチッっと電話を切りやがったのよ、ブチッとね!」
私、Nさん「うわーっ、知らないって、怖い!!」
Nさん「Sさんを怒らせるなんて……」
私「この社内でSさんとNさんを怒らせたら事務職なんてやっていけないじゃーん」
↑もちろん冗談だが、S嬢は自分が短時間でささっときちんと仕事をこなす人なだけに、きちんと挨拶や応対が出来なかったり、ちゃんと仕事をしない社員には本当に厳しいのだ。
S嬢「それですぐに(Yさんの指導をしている)Y岡からすみませんって電話が入ってさ、保留ボタンと他のボタンを間違えて押しちゃったみたいでって言ってたのよ」
私「まあ、来たばっかりだしね」
S嬢「それで話を聞いたら、(先週まで)引継ぎ作業をやっていたはずの牛さん(Aさん)がちゃんと引継ぎをやってなくてそれで間違いが生じたらしくてさ、Y岡に今後こういうことがないようきちんと指導してくださいねっっ!ていってやったのよ」
私「怖っっ!」

でも、牛さんと呼ばれていたAさんのすぐそばで仕事をしていた社歴25年以上の大お局様のK池さんは「Aさんは仕事は早くて完璧で、あれはすごかったよね」と言うし、その隣の席でK池さんの仕事のサポートをしている派遣のMさんも「Aさんはスペシャリストですよ。自分の後に来る人のために完璧なマニュアルを残した上に、誰それがこういう用件で来そうだからという予定リストまで作ってあったんですよ。事務職の鑑ですよ」とのことだ。もっともMさんがK池さんに「じゃあ、Aさんみたいな人が部下だったらよかったんじゃないですかぁ?」というと「一緒に仕事するなら、明るい人の方がいいわ」ときっぱり断言したのだった。いやぁ、世の中仕事の能力だけじゃ渡っていけないっつーか、なんというか。
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