かねてからの宿題を片付けるため(え?)早速宅の本棚から「舞姫(テレプシコーラ) 」1巻から9巻までを借りて読んでみた。かつて同じ著者の「アラベスク」(りぼん、1971.10-1973.04、花とゆめ、1974.01-1975.No.22連載)をリアルタイムで見た者には、これが現代のリアルなバレエ漫画かとしみじみもする作品でしたよ。「アラベスク」が登場したとき、それまでは登場人物を華やかに飾るための道具でしかなかったバレエが、実にリアルな、登場人物の生き方や考え方も左右する手段に変わったのは実に画期的なことだった。それからすでに30年、かつてのバレエ漫画のように天才少女が別の実力あるライバルと切磋琢磨しながら、バレエのこと以外何も考えずに打ち込めた素直なバレエ漫画の時代はとうに終わっていたのだと、しみじみですよ(いや、もちろん「アラベスク」はそんな単純な物語ではなかったが)。

だいたいこの漫画、いまどき珍しいくらいに登場人物に華がないのだが(「萌え」のかけらもありゃしねぇ)、淡々と続く物語を読み続けていくとだんだんと癖になり、そのうちあれよあれよと次の巻を手にとらせる魅力がある漫画だ。しかも現代風な物語と思って読んでいくと、骨格は「アラベスク」と共通するものがあり、姉・千花と常に比較され続けぐじぐじやたら悩みしりごみする主人公・六花(ゆき)は「アラベスク」の時のノンナに結構似ているし、お約束のアクシデントや指導者達の「彼女には大きな欠点がある」の台詞も健在。でも「アラベスク」のときは実力ある男性指導者がぐいぐいと主人公を引き上げていったのに、この物語の中では数々の失敗を繰り返しながら(いざというときにはささえてくれるアドバイザーもいるとはいえ、また土壇場での強運にもめぐまれているとはいえ)なんとか自分の力で這い上がっていこうとしてゆく登場人物たちが数多くでてくるのは、やはり「今」なんだなあとも思う。

今のお若い人には想像もつかないかもしれないが、昔の少女漫画の中では女性の主人公が何かの道を究めようとすれば、必ず男性の先達に導かれながらでないと前に進むことが出来なかったものだ。それはそれだけあの時代には男性の先達者はいても女性の先達者がほとんどいなかったからというのもあるし、結局のところかつては女性は男性に支えられて生きるものという価値観があったからというのもある。同じ作者の同じテーマの時間を置いた作品だからその違いがはっきりとわかるのだが、それにしても世の中変わったもんですよ。またね、現実の進学問題や学校生活、体調管理やダイエット、解剖学的解説や指導方法などの盛り込み方もすごいですよ。

それはさておき、最初のころに活躍した超貧乏な天才少女・空美(くみ)は一体どうなったのだ。中盤で千花(六花の1学年違いの姉)の靱帯断裂による闘病ネタがメインになってそれどころじゃないんだろうが気になるところだ。また千花が中学で先生のえこひいきのせいで何やら数々のアクシデントがあったらしいのもサラッとしか描かれてないのが気になるし、六花の中学のダンス部の活動も結局校長先生の思惑が何だったのかも気になるのだが、これらは今後ちゃんとどこかに説明が出るのかなあ。

今月はこの「舞姫(テレプシコーラ) 」の第10巻が出て、多分第1部完結になるらしいが、広げたれた風呂敷をどこまでちゃんとたたんでくれるのか、これまた楽しみである。あ、そうそう、この話読んでいるとこのトシでもついバレエをやりたくなってきてしまう。私の場合重度の貧血でさえなければ、東京に戻ったらすぐにでもバレエ教室に通い始めちゃうところだ。危ない、危ない(何が?)。
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コメント
山岸涼子、頑張るねぇ。この人もまた素直な少女マンガを描く人じゃなかったね、昔から。もうノンナのことは背が高かったってことしか覚えてないけど、あの頃のバレエ漫画といえば貧乏だけど才能ある少女のトゥシューズに画鋲が仕込まれたものだった....(遠い目)テニスをすればボールはポールの外側からまいて入ってくるし、バレーボールをすれば前衛の二人が交差してジャンプするし、野球をすれば目の中に炎がゆらめくし、親父はちゃぶ台ひっくり返すし。(あれ、少女マンガじゃないや、これ)
>このトシでもついバレエをやりたくなってきてしまう
わかるよ、tsumireさん、わたしもそんな気分になるもん。でもバレエやっててもおばちゃん体形の人もいるけどね。あと、「のだめ」みた後はバイオリンもやりたくなった。(もちろん瞬間的な気の迷い。面倒くさいからね)
2007/01/05(Fri) 11:23 | URL | suika | 【編集
>才能ある少女のトゥシューズに画鋲が

「ガラスの仮面」と「アラベスク」以前のバレエ漫画ではアリの代物だったけどね。そういや「テレプシコーラ」は結構いじめ場面も多かったよ。作者、性格悪いな。

>「のだめ」みた後はバイオリンもやりたくなった。

なぜピアノじゃないのだ? さては峰龍太郎に入れ込んでいたか?
2007/01/05(Fri) 12:17 | URL | tsumire→suikaさん | 【編集
山岸涼子のアラベスクかぁ、りぼんで現役読みしましたがな! 今は今の時代のバレエを描いているんだわねー。(しみじみ)

のだめのCD買ったけど、やっぱり映像付がいいなーと思っちゃった。
やりたいと瞬間思ったのはバイオリンだな。
好きなのは真澄ちゃんだけどね。
2007/01/05(Fri) 12:45 | URL | いがらし | 【編集
>やっぱり映像付がいいなーと思っちゃった。

DVD BOXがそろそろ出るのでわ。やっぱり映像つきでみたいよね。でも私は帰省の移動中iPodで曲を色々聴いていました。

>やりたいと瞬間思ったのはバイオリンだな。

え? いがらしさんまで? ピアノよりもお手軽感があるのか? 同僚のM様(←腐女子)はのだめじゃなくて某BLにはまって今バイオリンを習っているけど。
2007/01/05(Fri) 12:53 | URL | tsumire→いがらしさん | 【編集
この漫画1巻目からはまりまくりです。一緒にはまっている友人なんて千花ちゃんが学校でいじめを受けている辺りでは親のように心配していました。この引き込み方が山岸マジック?
10巻目で1部完になりますが今年中に2部が始まるらしいです。とっちらかったエピソードの数々は2部で説明されるのでは?と期待していますが山岸先生は非常なまでに期待を裏切ってくれたりするので、それはそれで楽しみにしています。
過去にバレエを習っていたので再度tryを考えましたがが、増えすぎた体重のせいで膝、腰にかかる負担が大きいので痩せてからでないと・・・。
>やりたいと瞬間思ったのはバイオリンだな。
P子はティンパニーに・・・
2007/01/05(Fri) 14:29 | URL | P子 | 【編集
読む人の年代と立場によっては親のような目線で見てしまうのね。私はどうだろ……親的な目線じゃないんだよなあ。といって六花のあのウジウジめそめそキャラには入れ込めなかったしなあ。もっぱら物語の進行が気になって読み進んだなあ。

>腰にかかる負担が大きいので痩せてからでないと・・・。

とするとまずは水泳とか水中エアロビクスあたりから? 私もそこらへんからやりたいけど自宅の近くには30分フィットネスが3軒も4軒もあるのに、水泳系の施設がないのが残念なところだ。
2007/01/05(Fri) 17:45 | URL | tsumire→P子さん | 【編集
;お8位8y
やっぱいいですよねー

2008/09/14(Sun) 12:17 | URL | さき | 【編集
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